[市況]
29日のNY Dowは下落し、NASDAQが小幅上昇したことを受けて、日経平均先物は前日比200円高で寄り付き、前場は一時20円高まで売られる場面もありましたが、後場にかけて上昇に転じ、結局730円高で引けました。日経平均は817円高で、寄付き前の外人は160万株の買い越しで、出来高は30.3億株と高水準となり、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数の差はプラスとなり、個別銘柄は"買い"が有利な状況となりました。
29日の米国株式市場では、FRBは市場予想通り金利の0.5%引き下げを決定。利下げ観測でNY Dowはすでに前日大幅高となっていた為に、一旦、利益確定の売りで下げ、その後300ドル高まで買い戻されたものの、引け際に売りが出て乱高下の後、下げて終えました。
30日の日本市場では、米利下げを受けた各国の協調利下げ姿勢が買い安心感につながったようです。後場はアジア株高や先物買い、公的年金の買い観測などが材料となり一段高となりました。業績予想の下方修正の発表が相次いだにもかかわらず主力株は全面高となり、ストップ高まで上昇する銘柄が続出しました。
[テクニカル視点]
日経平均は大幅上昇し、75日線、25日線の下に在りますが9日線を抜きましたので、短期トレンドは"黄信号"です。一方、一目均衡表の雲の下に在り、総合乖離率は-58.0%とマイナス幅は縮小し、200日線との乖離率は-29.6%とマイナス幅が縮小しましたが、3つともマイナスですので、中期的トレンドは、"赤信号"のままです。
金利差とファンダメンタルから見たイールド・スプレッドの日米差からの売られすぎ度は2.0ポイントに縮小しましたが、市場は米国よりも日本の方が今後、企業業績の低下が大きいと見ていると解釈できます。テクニカルから見た割高・割安度である日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、日本市場が2.2ポイント下回わるレベルとなり、売られ過ぎ度は大幅に縮小しました。
NY Dowは、大幅上昇しまし、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが、9日線の上に在ります。Nasdaqは、75日線、25日線、一目均衡表の雲の下に在りますが9日線を抜きました。米国市場の短期トレンドは"黄信号"ですが、中期トレンドは、引き続き"赤信号"です。
[ファンダメンタル視点]
米国市場は利下げ実施で、一旦は材料出尽くしとなったようです。市場テーマである①IMFは赤字国の通貨危機を救えるか、②世界的リセッションの対策は出るのか、③株安で新たな金融危機は来ないのか?という課題のうち①、③に改善が見られるので、信用の投売りや、ヘッジファンドの解約売りを始め、投資家の現金回帰は一旦は収まったようです。しかし、中長期的に見ると、世界景気の減速がいつ収まるかは不透明で、加えて、市場は不動産価格も2010年までは下げが続くと見ているようですので、銀行の損失拡大懸念と企業の資金調達への影響は根深そうです。先安感はまだ残っていると思われます。ただ、超長期で見れば日経平均のPBRの1倍割れは明らかに買い場到来を意味していると思われます。ここからは、日本の主要企業の中間決算と米国の経済指標、金利切り下げの有無などに関心が移るものと思います。これからも、米国の金融機関の株価の推移を見守ることが重要と思われます。ちなみに、シティー グループの株価は、29日は下落しました。(10月の年初来安値11.7ドルに対して現在12.9ドル)一方、今日現在の日経平均採用銘柄の今期予想増益率は-13.5%で、予想PERは12.2、PBRは1.07となりました。
[今後の見通し]
日本市場はNY Dowの下落にも関わらず、為替の落ち着きと協調利下げを好感し、大幅に上昇しました。その結果、ドルベース(為替考慮後)の終値でのNY Dowと比較した場合の日経平均のプレミアムは+4.0%(360円の割高)とプラスに転換しました。プレミアム値はここ2週間は-650~+360の範囲で動いています。グローバルな視点で見た日経平均の動きである、ドル換算チャートでは、25日線の下に在りますが、9日線を抜きました。目先の米国市場は大統領選挙が終わるまでは株価対策は出しずらく、VIX (恐怖指数)は以前として、高い位置にありますので、市場はまだ波乱が有り得ると考えているようです。米国市場はFOMCの利下げも終わりましたので、経済指標と企業業績に関心が移ると考えられます。日本市場は3日で2000円の上昇となり、NY Dowと比べても360円ほど買われ過ぎとなりましたので、利益確定売りで25日線近辺で一服する可能性が高いのではないかと思います。
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