日経平均の予想: April 2023

Saturday, April 29, 2023

[2023/04/30]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、良好な経済指標と企業決算の発表が続き、景気の先行きへの懸念が後退して、株価指数は週間で上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+0.86% NASDAQ:+1.28% S&P500:+0.87%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.94ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.94ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER30.4程度になるか、又は、日経平均が63380円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は34520円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、345200円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて+0.0ポイントで同水準です。また、利益伸び率は+0.1%3ヶ月前に比べて-3.5%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.11から3.04に縮小したものの、ドル円は133円から136円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.05%下落しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  43週は買い越しでした。44週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①③⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.8ポイント(日経平均に勘算すると520円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に0.6ポイント(日経平均に勘算する170円程度)割高です。

 

米国市場に対する日本市場の弱さは、この週に縮小しました。 米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 15.8 まで低下しました。 日経 VI は 週間で 15.2まで低下しました。日米市場とも、楽観的であることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+11.7%となり、200日移動平均線との乖離率は+4.8%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は135円台から138円台が想定されます。

 

今週は、米雇用統計のほか、FRBECBの金融政策決定を、投資家は注視することになります。さらに、ファイザー、AMD、ウーバー、クアルコム、アップルの決算報告、ISMサービスおよび製造業PMI、求人情報、米国の貿易データにも注目が集まります。また、オーストラリア、ブラジルの中央銀行が金融政策を決定し、ユーロ圏、スイス、韓国のインフレ率が発表されます。その他、中国、インド、韓国の製造業PMIも発表されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを130円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+3σ(現在29460円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在28600円近辺)の間での動きが想定されます。

 

米国市場では景気後退懸念はあるものの、VIXは低下しています。日経平均はボリンジャーバンド+2σ挟んだ動きとなりそうです


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Friday, April 28, 2023

[2023/04/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

427日、NYDowNADSAQは大幅上昇しました。428日の日経平均先物は、前日比280円高で寄り付くと、午前中は290円高から50円高の間で上下し、午後は100円高から430円高と上昇幅を拡げて、結局、430円高で取引を終了しました。日経平均の終値は398円高の28856円で、出来高は15.87億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を3日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

427日の米国市場では、13月期決算が市場予想を上回ったメタプラットフォームズが14%高と急伸し、他のハイテク銘柄にも買いが波及しました。前日までに大きく売られていた中堅銀行の下げが一服したことも安心材料となりました。NYDow3日ぶりに反発し、NASDAQは続伸しました。

428日の日本市場では、前日の米株式市場の急伸を受けて投資家のリスク選好姿勢が強まり、幅広い銘柄に買いが向かいました。日銀の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持が決まったことも買い安心感につながりました。また、円相場が急速に円安ドル高方向に推移したことも支えとなりました。日経平均は大幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+11.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+4.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.0ポイントとマイナスに転換し、日経平均が290円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+1.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が400円ほど割高であることを示しています

 

日経VI15.23と低下し、VIX17.03と低下しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さはやや縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.8、米国-1.8と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.04ポイント(日経平均換算で36590円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率1.1%増で、市場予想の2.0%増を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月の耐久財受注、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面ではやや強気材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比23.6万人増で、市場予想の23.0万人増をやや上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面ではやや弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では424 5.2681% 425 5.2915% 426 5.2727%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023425日に記録した5.2915%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.84PBR1.24となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+1.8%で、こちらは3か月前より3.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.0%となり、両指数は均衡した状態となりました。プレミアム値は、ここ一週間、-190円から+260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから3.13ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

428日の米国市場では、3月の個人消費支出(PCE)・個人所得のほか、シェブロンやエクソン・モービルなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを330円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在29130円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円線(現在28500円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は弱まりました。また、日米市場の楽観的な心理は続いています。きょうの日経平均は、大幅に続伸しました。3月の米PCE物価指数に影響されそうですが、ボリンジャーバンド+2σを試す動きも期待できそうです。



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Thursday, April 27, 2023

[2023/04/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

426日、NYDowは下落し、NADSAQは上昇しました。427日の日経平均先物は、前日比120円安で寄り付くと、午前中は170円安から50円安と下落幅を縮め、午後は90円安から50円高と上昇に転じて、結局、30円高で取引を終了しました。日経平均の終値は41円高の28457円で、出来高は11.97億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

426日の米国市場では、ファースト・リパブリック・バンクが引き続き下落し、大手銀行や地銀にも売りが波及しました。また、銀行の貸し渋りが景気を冷やすとの懸念から、景気敏感株も売られました。一方、決算内容を手がかりにマイクロソフトやボーイングが買われ、指数を支えました。結局、NYDowは続落し、NASDAQ3営業日ぶりに反発しました。

427日の日本市場では、前日のNYDowの下落を受け、運用リスクを回避する動きが先行しました。主力の半導体関連株の下落も重石となりました。ただ、売り一巡後は、好決算が期待できる銘柄を中心に買いが入り、相場を押し上げました。また、米株価指数先物の堅調さも支えとなりました。結局、日経平均は小幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+7.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+3.4%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が30円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+1.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が430円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.47と低下し、VIX18.84と上昇しました。両指数ともに、まだ不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.9、米国-1.8と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.09ポイント(日経平均換算で35180円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、改定値の2.7%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

3月の耐久財受注、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面ではやや強気材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比23.6万人増で、市場予想の23.0万人増をやや上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面ではやや弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では421 5.2551% 424 5.2681% 425 5.2915%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023425日に記録した5.2915%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.53PBR1.22となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+3.6%で、こちらは3か月前より1.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均の割高幅は40円から260円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-190円から+260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.96ポイントから3.01ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

427日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP速報値、3月の中古住宅販売仮契約指数のほか、アマゾン・ドット・コム、インテル、キャタピラー、メルク、マスターカード、ファースト・ソーラー、ギリアド・サイエンシズ、アムジェンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを280円ほど下回り、下値は想定ラインを130円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在28740円近辺)が上値の目安に、25日線(現在28110円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、かなり強い状態です。ただ、日米市場の楽観的な心理は続いています。きょうの日経平均は小幅に反発しました。引き続き、主要企業の今期業績見通しに左右される相場となりそうです。



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Wednesday, April 26, 2023

[2023/04/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

425日、NYDowNADSAQは大幅下落しました。426日の日経平均先物は、前日比150円安で寄り付くと、午前中は230円安から70円安の間で上下し、午後は150円安から300円安の間で上下して、結局、210円安で取引を終了しました。日経平均の終値は203円安の28416円で、出来高は11.10億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を3日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

425日の米国市場では、決算発表で4割超の預金流出が判明したファースト・リパブリック・バンクが暴落し、他の地銀株にも売りが波及しました。また、地銀が融資に慎重になり、景気に悪影響が及ぶとの懸念から、消費関連株や景気敏感株にも売りが広がりました。業績下振れへの警戒感から、ハイテク株も売られました。NYDow3営業日ぶりに反落し、NASDAQは続落しました。

426日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れが引き継がれ、銀行株を中心にリスク回避の動きが優勢となりました。米金利の低下を受けて円相場が円高ドル安方向に推移したことも、輸出関連株の重石となりました。一方で、マイクロソフトやアルファベットの決算が市場予想を上回ったことが投資家心理を支えました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+7.6%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+3.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.4ポイントとプラスに転換し、日経平均が110円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が200円ほど割高であることを示しています

 

日経VI16.84と上昇し、VIX18.76と上昇しました。両指数ともに、まだ不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.0、米国-1.9と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.04ポイント(日経平均換算で34260円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、改定値の2.7%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、3月の小売売上高、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のISM製造業景況指数、2月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比23.6万人増で、市場予想の23.0万人増をやや上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面ではやや弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数数、3月の住宅着工件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では420 5.2727% 421 5.2551% 424 5.2681%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023420日に記録した5.2727%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.51PBR1.21となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.6%で、こちらは3か月前より1.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均は170円の割安から40円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円から+40円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.96ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

426日の米国市場では、3月の耐久財受注のほか、ボーイング、メタ・プラットフォームズ、イーベイなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを410円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在28710円近辺)が上値の目安に、25日線(現在28070円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、かなり強まりました。ただ、日米市場の楽観的な心理はやや後退しました。きょうの日経平均は反落しました。しばらくは、主要企業の今期業績見通しに左右される相場が続きそうです。



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