日経平均の予想: July 2018

Tuesday, July 31, 2018

[2018/07/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
730日、NYDowNASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付くと、午前中は190円安から10円安の間でもみあい、午後は120円安から150円高と上昇に転じましたが、結局は20円安で取引を終えました。日経平均の終値は8円高の22553円で、出来高は19.72億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

730日の米国市場では、売りが優勢となりました。46月期決算で成長鈍化が目立ったネットフリックスとフェイスブックが下げ止まらないことや、「中小企業の海外決済の為替レートを顧客に無断で変更していた」と報じられたアメックス株が下落したことなどが、投資家心理を悪化させました。
731日の日本市場では、前日の米国株安を受けて売りが先行しました。午後、日銀が金融政策決定会合の結果を発表すると、材料出尽くし感から買い戻しが入りました。日経平均は前日終値を挟んでもみあいましたが、結局は小幅に反発しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にありますが、9日線の下にあり、短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+2.7%と横ばいで、200日線との乖離率も+1.0%と横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の上にありますが、200日線の下にあり、9日線を下回りました。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より1.5ポイント縮小して-4.6ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1040円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.01ポイント(日経平均で15620円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率4.1%増と高い伸びを示し、事前予想値と一致しました。46月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は83負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は4.0%で、先月の3.8%から悪化したものの、これは労働参加率が高まったことが主因とされています。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約は市場予想を下回りました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.6%で、市場予想の+6.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、725 2.3368% 726 2.3388% 727 2.3423%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.6PBR1.24となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より15.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.1%となり、日経平均の割安幅は350円から250円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-350円 から-230円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.86ポイントから2.89ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。米国の長期金利は低下しましたが、日本の長期金利も低下し、金利差が広がりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

731日の米国市場では、5月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、アップル、ファイザー、ラルフローレン、プログレッシブ、P&G、アルコアなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを90円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、60円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+100(現在22770円近辺)、下値が25日線+100(現在22410円近辺)と想定されます。



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Monday, July 30, 2018

[2018/07/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
727日、NYDowNASDAQは下落しました。30日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付くと、午前中は70円安から190円安の間でもみあい、午後は180円安から130円安の間でもみあって、結局160円安で取引を終えました。日経平均の終値は167円安の22544円で、出来高は14.51億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

727日の米国市場では、インテルが発表した46月期決算で、データセンター向け売上が市場予想に届かなかったことや、次世代チップの発売が来年にずれ込む見通しが示されたことが嫌気され、同社株が急落しました。マイクロソフトやアップルなど大型ハイテク株にも売りが波及し、相場を押し下げました。
730日の日本市場では、前週末の米国株安が投資家心理を悪化させ、売りが優勢となりました。日銀の金融政策決定会合の結果発表を明日に控えており、金融緩和策見直しへの期待感から銀行株が買われましたが、一方で内容を見極めたいとする様子見ムードも支配的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にありますが、9日線を下回り、短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は+2.7%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と25日線の上にありますが、200日線を下回りました。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より0.9ポイント縮小して-6.1ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1380円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.02ポイント(日経平均で15540円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率4.1%増と高い伸びを示し、事前予想値と一致しました。46月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は83負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は4.0%で、先月の3.8%から悪化したものの、これは労働参加率が高まったことが主因とされています。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約は市場予想を下回りました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.6%で、市場予想の+6.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、725 2.3368% 726 2.3388% 727 2.3423%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.5PBR1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より24.3ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%となり、日経平均の割安幅は310円から350円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-350円 から-180円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.88ポイントから2.86ポイントに縮小し、ドル円相場はやや円高方向に推移しました。米国の長期金利は上昇していますが、日本の長期金利も上昇しており、金利差は拡大していません。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

730日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。キャタピラー、ロウズ・コーポレーション、シーゲイト・テクノロジーなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを290円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、40円ほど下回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ+100(現在22760円近辺)、下値が25日線+100(現在22400円近辺)と想定されます。



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Saturday, July 28, 2018

[2018/07/29]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、米中の貿易摩擦が激化するとの懸念と、四半期決算内容に影響されて、売り買いが交錯しました。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBの利上げ、欧州政治の混乱と欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2019年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が2.96ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.6との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2019年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.0%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER22.9程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が38100円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は15380円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2019GDP予測値(現在+1.21%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、7月のISM製造業景気指数、7月の雇用統計が注目されそうです。NYDowが一目均衡表の雲の上を維持できるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は1-3月期の決算発表に伴い、ROE予想値は9.1%3ヶ月前に比べて0.2ポイント悪化しています。また、今期業績予想の伸び率は-6.0%3ヶ月前に比べて25.5ポイント悪化しています。
   米国の長期金利は上昇したものの、日米の金利差は2.86から2.86%と変わらず、為替は111円台から110円台で円高方向の動きでした。今週は110円台から112円台が想定されます。
   OECDの日米の2019年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+1.2%で、米国は+2.8%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.6ポイント劣ります。
   73週は買い越しで、74週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①が強気材料でしたが、③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に5.3ポイント(日経平均に勘算すると1200円程度)割安となっています。先週比割安幅が縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+5.1%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+1.8%でプラス幅が縮小しました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線の上に在りますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には黄信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米企業業績の伸び悩み、米国の景気減速、原油相場の低迷、信用収縮に伴う金融市場混乱、世界的な長期金利低下傾向、北朝鮮の情勢、ハイイールド債市場の下落などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、中国など新興国の景気減速や貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利がここ5年来の高値を更新し続けており、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、トランプ新大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利はマイナス金利と国債買い入れが維持されています。ただ、国債買い入れ枠は20174月から段階的に減額され、年末に終了する計画ですEUも金融正常化へ向かう方向です。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期は上昇トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期は上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は上昇したものの、日米長期金利差は拡大せず、為替は週間では円高でした。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを300円ほど下回り、下値は想定ラインを50円ほど上回りました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在23010円近辺)で、下値は25日線(現在22300円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, July 27, 2018

[2018/07/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
726日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。27日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は0円高から110円高の間でもみあい、午後は50円高から130円高と上昇幅を拡げて、結局120円高で取引を終えました。日経平均の終値は125円高の22712円で、出来高は13.81億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

726日の米国市場では、米欧間の貿易摩擦が激化するとの懸念が後退し、海外事業の比率が高い銘柄を中心に買いが優勢となりました。一方、フェイスブックが19%安と急落し、NASDAQを押し下げました。
727日の日本市場では、米欧間の貿易摩擦への懸念が後退したことや、前日のNYDowが上昇したことなどが好感され、買いが優勢となりました。外国為替市場で円相場が円安ぎみに推移したことも支援材料となりました。ただ、月末に予定されている日銀の金融政策決定会合を見極めたいとの思惑もあり、上値を追う動きは限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+5.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+1.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より1.7ポイント縮小して-7.0ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1590円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.95ポイント(日経平均で15280円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率2.0%増で改定値の2.2%増から下方修正されました。13月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標を見てみます。7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月のニューヨーク連銀製造業景気指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高は市場予想と一致しました。一方、6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は83負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.3万人増で、市場予測の19.0万人増を上回りました。また、失業率は4.0%で、先月の3.8%から悪化したものの、これは労働参加率が高まったことが主因とされています。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。7月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、6月の新築住宅販売件数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売仮契約は市場予想を下回りました。4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.6%で、市場予想の+6.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

全世界的に景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。金利は上昇傾向ですが、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額は600億ユーロから300億ユーロ規模に減額され、年内に終了予定です。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、723 2.3353% 724 2.3348% 725 2.3368%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。上昇ピッチは一服していますが、金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、201854日に記録した2.3690%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.6PBR1.25となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、これは3か月前より25.5ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.4%となり、日経平均の割安幅は290円から310円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-310円 から-180円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.88ポイントから2.88ポイントと横ばいでしたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など、欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因です。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

727日の米国市場では、46月期GDP速報値のほか、ツイッター、ムーディーズ、シェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、40円ほど下回り、下値は想定ラインを200円ほど上回りました。目先の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ-100(現在22910円近辺)、下値がボリンジャーバンド+1σ-100(現在22560円近辺)と想定されます。



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