日経平均の予想: August 2022

Wednesday, August 31, 2022

[2022/08/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

830日、NYDowNASDAQは下落しました。831日の日経平均先物は、前日比310円安で寄付くと、午前中は330円安から100円安と下落幅を縮め、午後は190円安から80円安の間でもみあって、結局、80円安で取引を終了しました。日経平均の終値は104円安の28091円で、出来高は13.32億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

830日の米国市場では、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄で売りが優勢となりました。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、金融引き締めについて「来年まで続け、実質金利をプラスにする必要がある」と述べたことから、高い金利が長期間続くとの警戒感が高まりました。また、7月の雇用動態調査で非農業部門の求人件数が市場予想を上回ったことは、インフレ高止まりへの警戒感につながりました。NYDowNASDAQ3日続落しました。

831日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって続落した流れを受け、幅広い銘柄に売りが先行しました。一方で、外国為替市場で円相場が円安ドル高基調で推移していることが支えとなり、株価指数は次第に下げ幅を縮めました。米株価指数先物が上昇したことも好感されました。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+4.1%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.1%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+12.2ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が3430円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+7.7ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2160円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.06VIX26.21となりました。日経VIは不安心理の高まりを示す20を上回っており、VIXは不安心理がかなり高まっているとされる25を上回っています。日米市場のボラティリティーの差はやや拡大し、NYDowと比較して、日経平均の強さは前日より拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-2.3と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.91ポイント(日経平均換算で28170円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率0.6%減で、速報値の0.9%減から改善されました。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちました。

 

経済指標を見てみます。

8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月の小売売上高、7月の耐久財受注、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の消費者物価指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比52.8万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、7月の新築住宅販売件数数、7月の中古住宅販売件数、7月の新築住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、824 3.0100% 825 3.0431% 826 3.0695%と、ここ5年の最高値を連日で更新しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2022826日に記録した3.0695%がここ5年間の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.82PBR1.17となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+4.1%で、こちらは3か月前より3.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均は20円の割安から190円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-530円から+190円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.86ポイントから2.89ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

831日の米国市場では、8月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを380円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在28380円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在27130円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回りました。また、VIXは、不安心理がかなり高まっているとされる25を上回っています。日米のボラティリティーの差は依然として大きく、日本市場の相対的な強さが目立っています。米国市場の下落基調は続きそうですが、目先の日本市場は、弱含みながら、米国市場よりは強い動きとなりそうです。



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Tuesday, August 30, 2022

[2022/08/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

829日、NYDowNASDAQは下落しました。830日の日経平均先物は、前日比140円高で寄付くと、午前中は30円高から270円高と上昇幅を拡げ、午後は220円高から310円高の間でもみあって、結局、290円高で取引を終了しました。日経平均の終値は316円高の28195円で、出来高は9.98億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

829日の米国市場では、引き続き金融引き締めの長期化観測が重石となり、景気の一段の悪化を懸念した売りが優勢となりました。ただ、原油先物相場の上昇が支えとなり、NYDowは小幅に上昇する場面もありました。長期金利の上昇を受け、相対的な割高感が意識されやすいハイテク株は売られました。NYDowNASDAQは続落しました。

830日の日本市場では、前日の急落の反動で、短期的な戻りを期待した買いや売り方の買い戻しが優勢となりました。原油先物相場が上昇したことや、今後も円安が続くとの観測も支えとなりました。ただ、米金融政策への警戒感は根強く、上値では戻り待ちの売りが出ました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+5.4%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.5%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+11.7ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が3300円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+7.2ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2030円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.08VIX26.21となりました。日経VIは不安心理の高まりを示す20を上回っており、VIXは不安心理がかなり高まっているとされる25を上回っています。日米市場のボラティリティーの差は拡大し、NYDowと比較して、日経平均の強さは前日より拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-2.4と日本が5.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.86ポイント(日経平均換算で27710円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率0.6%減で、速報値の0.9%減から改善されました。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちました。

 

経済指標を見てみます。

8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月の小売売上高、7月の耐久財受注、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の消費者物価指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比52.8万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、7月の新築住宅販売件数数、7月の中古住宅販売件数、7月の新築住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、824 3.0100% 825 3.0431% 826 3.0695%と、ここ5年の最高値を連日で更新しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2022826日に記録した3.0695%がここ5年間の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.85PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+4.6%で、こちらは3か月前より4.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均の割安幅は530円から20円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-530円から-20円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.89ポイントから2.86ポイントに縮小しました。ドル円相場はやや円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

830日の米国市場では、6月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを30円ほど下回り、下値は想定ラインを350円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在28470円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ(現在27790円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。また、日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回っています。ただ、日米のボラティリティーの差は拡大し、日本市場の相対的な強さが目立ちました。目先、日本市場は、米国市場より強い動きが続きそうです。



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Monday, August 29, 2022

[2022/08/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

826日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。829日の日経平均先物は、前日比740円安で寄付くと、午前中は660円安から850円安の間でもみあい、午後は810円安から690円安の間でもみあって、結局、700円安で取引を終了しました。日経平均の終値は762円安の27878円で、出来高は10.74億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、非常に強まりました。

 

826日の米国市場では、ジャクソンホール会議でおこなわれたパウエルFRB議長の講演で、インフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針が改めて強調されたことから、金融引き締めが長期化し、米景気が一段と悪化するとの観測が強まり、幅広い銘柄に売りが膨らみました。主要3指数はそろって大幅に反落しました。

829日の日本市場では、金融引き締めへの警戒感から前週末の米株式市場で主要3指数がそろって急反落した流れが波及し、金利上昇局面で割高感が意識されやすいグロース(成長)株を中心とした幅広い銘柄に売りが膨らみました。日経平均は大幅に反落し、節目の28000円を下回りました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+2.1%と前週末よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.3%と前週末よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線と200日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線と200日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+9.7ポイントと前週末よりプラス幅を拡げ、日経平均が2700円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.5ポイントと前週末よりプラス幅を拡げ、日経平均が1530円ほど割高であることを示しています

 

日経VI21.50VIX25.56と、日米市場のボラティリティーは上昇しました。日経VIは投資家の不安心理の高まりを示す20を上回り、VIXは投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25を上回りました。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いており、強さは前週末よりやや拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.7、米国-2.3と日本が5.4ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.05ポイント(日経平均換算で28970円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率0.6%減で、速報値の0.9%減を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちました。

 

経済指標を見てみます。

8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、7月の小売売上高、7月の耐久財受注、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の消費者物価指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比52.8万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、7月の新築住宅販売件数数、7月の中古住宅販売件数、7月の新築住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、824 3.0100% 825 3.0431% 826 3.0695%と、ここ5年の最高値を連日で更新しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2022826日に記録した3.0695%がここ5年間の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.60PBR1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+4.3%で、こちらは3か月前より4.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの大幅下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は340円から530円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-530円から-130円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.84ポイントから2.89ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

829日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを750円ほど下回り、下値は想定ラインを460円ほど下回りました。目先は、25日線(現在28250円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在27560円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を上回りました。また、日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回りました。日米ともにボラティリティーは上昇し、信用の売り圧力も急激に強まりました。目先、日経平均は、一段安となる公算が大きそうです。



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Saturday, August 27, 2022

[2022/08/28]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、パウエルFRB議長は講演で、インフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調しました。金融引き締めの長期化観測が強まり、株価指数は週間で下落しました。

週間変動率 NYダウ:-4.22%, NASAQ:-4.44%, S&P500:-4.04%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、サプライチェーン混乱の長期化による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.74ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.74ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER25.3程度になるか、又は、日経平均が55750円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は27110円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、27110円分魅力に欠けるとも言えます。日本市場の弱さはやや拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYDow25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント改善しています。また、利益伸び率は+4.3%3ヶ月前に比べて4.1%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は2.78から2.83と拡大して、ドル円は135円から137円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.68%上昇しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率は、日本が+3.54%で、米国は+4.88%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.34ポイント劣ります。

  83週は売り越しで、84週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に12.4ポイント(日経平均に勘算すると3550円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に8.2ポイント(日経平均に勘算する2350円程度)割高です。

 

週間では米国市場に対する日本市場の強さは拡大しました。米国市場のボラティリティーを示す、VIX25.56投資家の不安心理示す25を上回りました。

 

日経平均は、9日線の下にあり、25日線の上にあります。短期トレンドには”黄信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+10.4%となり先週と比較しプラス幅は縮小しました。 200日移動平均線との乖離率は+4.0%で、プラス幅は縮小しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には赤信号で、中期的には黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、ウクライナ紛争、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては日銀による金融緩和政策の維持が挙げられます

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。日本市場も中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安トレンドが続いています。今週は136円台から139円台が想定されます。

 

今週、投資家は米国の8月の雇用統計を最も注目するでしょう。FRBの利上げ計画の変更の影響を推測することになります。その他、ドイツやユーロ圏の消費者物価指数、中国のPMIが発表される予定です。また、ドイツの小売売上高、米国の8月のISM製造業景気指数も注目されるでしょう。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを420円ほど下回り、下値は想定ラインを100円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ (現在28730円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在27760円近辺)の間での動きが想定されます。

 

週末の米国市場の大幅下落でボラティリティーは急上昇しており、今週の日経平均は下落傾向となりそうです。


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