日経平均の予想: January 2015

Saturday, January 31, 2015

[2015/02/01]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、ドル高の影響による企業業績減速懸念から、週間では下落しました。一方、中長期的には、EUのギリシャ支援問題、原油相場低迷、エボラ出血熱、中東やウクライナの地政学的リスク、FRBの利上げによる信用収縮懸念、中国の景気減速など世界経済減速懸念に引き続き注意が必要です。目先、米国の経済指標に弱さが目立ちますので要注意です。
2016年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、2016年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.2ポイント割高となっています。割高の要因はS&P500PER16.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.6との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2016年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.2%分縮まる(日本が上方修正又は米国が下方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.1程度になる(日経平均が17140円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は530円ほど割高です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と円安、
OECDによる日本の2016GDP予測値(現在+1.0%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaq200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。今週は、1月のISM製造業景況指数、1月の雇用統計、決算発表などが影響しそうです。NYDow が一目均衡表の雲の下に抜けるか否かに注目する必要があります。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は10-12月期の決算発表に伴い前年比+3.3%前後の伸びとなっています。また、ROE予想値は8.7%と伸び率は前四半期に比べて0.1ポイント低下しています。
   米国の長期金利は低下して、日米の金利差は1.57%から1.37%に縮小したものの、為替は118円台から117円台でもみ合う動きでした。今週は116円台から118円台の動きが想定されます。
   OECDGDP予想値が改定され、日米の2016年の実質GDP伸び率は日本が+1.0%で、米国は+3.0%と予想されていますので、この面では日本市場の方が2.0ポイント劣ります。
   13週は買い越しで、14週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち①が弱気材料でした。今週は、①③が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、8.5ポイント(日経平均に勘算すると1500円程度)割高となっています。先週比割高幅が3.6ポイント縮小しました。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+18.4%となり先週と比較してプラス幅は拡大しました。200日移動平均線乖離率は+11.9%となりプラス幅が拡大しました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。日経平均は25日線、9日線の上に在ります。短期的トレンドは"青信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dow200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の中に在ります。Nasdaq200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の中に在ります。短期的には赤信号"で、中期的には黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、資源高、住宅市況の低迷、米国の景気減速懸念などは後退しているものの、ギリシャEU離脱懸念、原油相場の低迷による世界経済減速懸念、米国の早期利上げによる新興国の景気減速懸念、欧州の景気後退とデフレ懸念、エボラ出血熱影響拡大、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因です。また、中国の不動産価格下落とシャドーバンキング問題も残っています。好材料としては米国の景気拡大、日銀による2%のインフレターゲットの設定と追加金融緩和による異次元の金融緩和措置強化、ECBによる政策金利のマイナス金利幅拡大と毎月600億ユーロの国債購入など一段の金融緩和措置が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドで
目先の日本市場の状況を分析すると、米国長期金利が低下して日米長期金利差が縮小したものの、為替は週間ではもみ合う動きとなりました。ここからも、米国市場動向、為替の動きを注目する必要があります。

先週の日経平均は、想定レンジ内の動きでした。上値は想定ラインを170円ほど下回りましたが、下値は想定ラインにほぼ一致しました。今週の日経平均は、週初大幅安で始まりそうですが、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在17710円近辺)で、値がボリンジャーバンド-1σ((現在17050円近辺)の間での動き想定されます


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Thursday, January 29, 2015

[2015/01/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
29
日のNYDowNASDAQは大幅上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比160円高で寄り付き、午前中は200円高から60円高の範囲で上げ幅を縮める動きでした。午後は50円高まで上げ幅を縮小する場面があり、結局60円高で取引を終わりました。日経平均の終値は68円高の17674円で、出来高は26.74億株と高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は70万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
29
日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数が前週比で減少したことや、好決算のボーイング、経営再建期待が高まったマクドナルドの上昇が株価指数の上昇をを支えました。
30日の日本市場では、米国市場高を受けて買いが先行しましたが、その後は、週末で円安一服もあり利益確定売りに押されて上げ幅を縮小する動きとなりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+18.4%でプラス幅は拡大しました。200日線との乖離率は+11.9%でプラス幅は拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、0.6ポイント縮小して、中長期的には日本市場が7.4ポイント(日経平均で1310円程度)割高(強い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2016年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.04イント(日経平均で100円程度)割高ですが、ほぼ均衡しています
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の7-9月期のGDP確定値は5.0%となり改定値の3.9%を上回りました。10-12月期の米主要企業の決算発表では、ドル高による企業収益鈍化懸念を生んでいるようです。
経済指標では、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、1月のNY連銀製造業景気指数は市場予想を上回りましたが、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は予想以下でした。38負で弱気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比25万人増で、市場予測の24万人増を上回りました。また、失業率は先月の5.8%から5.6%に改善しました。強気材料です。
一方、住宅関連では12月の新築住宅販売件数、、12月の住宅着工件数は予想以上でしたが、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約、は予想以下でした。11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で+4.3%で、市場予想の+4.3%と一致しました。231分けでやや弱気材料です。
目先の経済指標は弱さが目立ってきました。米国の景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスは崩れる可能性も出てきたようです。また、EUの景気後退が顕著で世界経済全体の先行き不透明感も残っています。
ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は無くなっています。ただ、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされ、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。また、ギリシャ問題の再燃も懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針ですが、利上げ時期は近付きつつあるようですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込みました。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れるとの追加緩和に踏み切りましたので、ドルは円に対して高くなり易い環境がより強化されました。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は126 0.2561% 127 0.2526% 128 0.2546%となっています。昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、昨年5月からは上昇傾向で、ここ1年の最高金利を昨年12月に更新しています。ただ、2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ4年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.6で、PBR1.37となっています。10-12月期の決算発表の結果、ROE8.8%となり、企業の収益力は前四半期と比べて変わりません。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇率ほどは上げませんでした。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.1%となり、日経平均は700円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+190円 ~+1090円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはやや割高で、テクニカルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.45と拡大し、ドル円はやや円安方向の動きでした。直近の米国の長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、欧州経済の低迷とギリシャのEU離脱問題、原油相場の下落、中東やウクライナ情勢、エボラ熱の世界経済への影響はどうなるか、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、日本の景気は回復できるのか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?など世界全体の景気後退懸念が、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇傾向ですが、まだ低水準で推移しています。これは、最近の原油の下落や地政学リスクの高まりは先進国の金融不安には繋がっていないことを示しています。ただ、上海銀行間取引金利は目先落ち着きつつありますが、不安定で注意が必要です。また、中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題など不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標に弱さが目立ちますが、FRBが最も重視している雇用は改善傾向との基本認識は崩れていませんので、FRBは米景気を改善傾向と判断して、量的緩和は予定通り終了しました。短期金利の超低金利政策を当面継続するものの利上げ時期を模索しています。ただ、原油の下落も影響して米国の長期金利は低迷しており、米国の景気も中長期的には自信が持てないことを示唆しています。この面では、とても利上げが近いとは感じ取れません。ただ、米国の株式・債券市場への資金流入が続きやすい面もあります。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利幅拡大し、さらに一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安傾向の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、30日の米国市場では、10-12月期のGDP速報値、1月のシカゴ購買部協会景気指数やシェブロン、マスターカードなどの決算発表が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定した範囲内の動きとなりました。上値は想定ラインに接近しましたが、下値は想定ラインを130円ほど上回りました。ただ、昨夜の先物の下値は想定ラインに接近していました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ+150(現在17860円近辺)で、下値が25日線+200(現在17580円近辺)の間での動きが想定されます


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Wednesday, January 28, 2015

[2015/01/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
28
日のNYDowNASDAQは大幅下落しました。29日の日経平均先物は、前日比220円安で寄り付き、午前中は230円安から60円安の範囲で下げ幅を縮める動きでした。午後は280円安まで下げ幅を拡大する場面がありましたが、結局240円安で取引を終わりました。日経平均の終値は189円安の17606円で、出来高は24.13億株と比較的高水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は790万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
28
日の米国市場では、FOMC声明でFRBが利上げについて慎重な姿勢を示すとの観測が後退して、年内に利上げ再開との見方が再び意識され、引けにかけて売りを誘いました。
29日の日本市場では、米国市場安を受けて売りが先行しましたが、午前中は業績改善期待の買いで下げ幅を縮める動きとなりました。午後は、円相場が再び強含んだことやアジア株安などを受け、大引けにかけて売り圧力が強まりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+17.4%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+11.6%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上に在ります。
NYDowは、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表では雲の中に在ります。
NASDAQは、200日線の上に在りますが、、25日線の下に在り、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の中に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドは黄信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、0.3ポイント縮小して、中長期的には日本市場が8.0ポイント(日経平均で1410円程度)割高(強い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2016年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.0ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.06イント(日経平均で170円程度)割高ですが、ほぼ均衡しています
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の7-9月期のGDP確定値は5.0%となり改定値の3.9%を上回りました。10-12月期の米主要企業の決算発表では、ドル高による企業収益鈍化懸念を生んでいるようです。
経済指標では、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、1月のNY連銀製造業景気指数は市場予想を上回りましたが、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は予想以下でした。38負で弱気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比25万人増で、市場予測の24万人増を上回りました。また、失業率は先月の5.8%から5.6%に改善しました。強気材料です。
一方、住宅関連では12月の新築住宅販売件数、、12月の住宅着工件数は予想以上でしたが、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約、は予想以下でした。11月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で+4.3%で、市場予想の+4.3%と一致しました。231分けでやや弱気材料です。
目先の経済指標は弱さが目立ってきました。米国の景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスは崩れる可能性も出てきたようです。また、EUの景気後退が顕著で世界経済全体の先行き不透明感も残っています。
ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は無くなっています。ただ、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされ、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。また、ギリシャ問題の再燃も懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針ですが、利上げ時期は近付きつつあるようですECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、さらに国債の買い取りを含む量的緩和に踏み込みました。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて1031日にマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の3倍の3兆円まで買い入れるとの追加緩和に踏み切りましたので、ドルは円に対して高くなり易い環境がより強化されました。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は123 0.2561% 126 0.2561% 127 0.2526%となっています。昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、5月からは上昇傾向で、ここ1年の最高金利を昨年12月に更新しています。ただ、2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ4年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.5で、PBR1.37となっています。10-12月期の決算発表の結果、ROE8.8%となり、企業の収益力は前四半期と比べて変わりません。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.3%となり、日経平均は910円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+140円 ~+1090円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはやや割高で、テクニカルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.43と縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米国の長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期もみ合いで、短期は下降トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、欧州経済の低迷とギリシャのEU離脱問題、原油相場の下落、中東やウクライナ情勢、エボラ熱の世界経済への影響はどうなるか、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、日本の景気は回復できるのか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?など世界全体の景気後退懸念が、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇傾向ですが、まだ低水準で推移しています。これは、最近の原油の下落や地政学リスクの高まりは先進国の金融不安には繋がっていないことを示しています。ただ、上海銀行間取引金利は目先落ち着きつつありますが、不安定で注意が必要です。また、中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題など不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標に弱さが目立ちますが、FRBが最も重視している雇用は改善傾向との基本認識は崩れていませんので、FRBは米景気を改善傾向と判断して、量的緩和は予定通り終了しました。短期金利の超低金利政策を当面継続するものの利上げ時期を模索しています。ただ、原油の下落も影響して米国の長期金利は低迷しており、米国の景気も中長期的には自信が持てないことを示唆しています。この面では、とても利上げが近いとは感じ取れません。ただ、米国の株式・債券市場への資金流入が続きやすい面もあります。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利幅拡大し、さらに一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安傾向の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、29日の米国市場では、週間新規失業保険申請件数やフォード、ダウ・ケミカル、ビザ、グーグル、アマゾンなどの決算発表が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定した範囲内を下振れしました。上値は想定ラインを260円ほど下回り、下値は想定ラインを130円ほど下回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ+150(現在17860円近辺)で、下値が25日線+150(現在17530円近辺)の間での動きが想定されます


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