日経平均の予想: October 2022

Monday, October 31, 2022

[2022/10/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

1028日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。1031日の日経平均先物は、前日比470円高で寄付くと、午前中は390円高から560円高と上昇幅を拡げ、午後は500円高から580円高の間でもみあって、結局、540円高で取引を終了しました。日経平均の終値は482円高の27587円で、出来高は12.29億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を3日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、一気に弱まりました。

 

1028日の米国市場では、アップルやインテルなど、市場予想を上回る決算を発表した銘柄が買われ、相場上昇をけん引しました。マクドナルドやキャラピラーなどへも、業績期待の買いが向かいました。NYDow6日続伸し、およそ2か月ぶりの高値をつけました。NASDAQ3日ぶりに反発しました。

1031日の日本市場では、前週末の米株高が投資家心理を上向かせ、主力株を中心とした幅広い銘柄に買いが向かいました。良好な決算を発表した銘柄への物色も目立ちました。日経平均は3日ぶりに反発し、およそ1か月ぶりの高値水準となりました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+4.4%とプラスに転換し、200日線との乖離率も+1.5%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがプラスとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線と25日線の上にあり、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+11.4ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が3140円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.6ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が170円ほど割高であることを示しています

 

日経VI22.91と前週末より低下し、VIX25.75と前週末より低下しました。日米市場のボラティリティーの差は縮小し、NYDowと比較して、日経平均の強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-1.8と日本が5.8ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.44ポイント(日経平均換算で35780円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率2.6%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、79月期の米企業の決算は、ハイテク株の下方修正が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、9月の耐久財受注、8月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.3万人増で、市場予想の27万人増をやや下回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数数、9月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+13.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、9月に0.75%の大幅利上げを実施し、量的引き締めの検討を開始しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1026 4.3738% 1027 4.4147% 1028 4.4395%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20221028日に記録した4. 4395%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.72PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+4.8%で、こちらは3か月前より1.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-7.0%となり、日経平均の割安幅は1490円から1890円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1890円から-890円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.71ポイントから3.79ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

1031日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式市場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを110円ほど上回り、下値は想定ラインを550円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在27840円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在27200円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日ぶりに大きく下回りました。日経VI23.0と、不安心理がかなり高いとされる25を下回っています。日経平均は急反発し、26日の高値を更新しました。緩やかな上昇傾向がしばらく続く可能性が高そうです。



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Saturday, October 29, 2022

[2022/10/30]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、主要企業の四半期決算は明暗を分け、一部のビック・テックは売られたものの、株価指数は週間では上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+5.72% NASAQ:+2.24% S&P500:+3.95%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、サプライチェーン混乱の長期化による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.58ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.0に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.58ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER29.1程度になるか、又は、日経平均が63150円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は36050円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、36050円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さはやや縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+4.8%3ヶ月前に比べて1.3%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.97から3.77と縮小して、ドル円は149円から145円の範囲でやや円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-1.08%下落しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率は、日本が+3.54%で、米国は+4.88%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.34ポイント劣ります。

  103週は売り越しでした。104週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に9.6ポイント(日経平均に勘算すると2600円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に1.2ポイント(日経平均に勘算する330円程度)割安です。

 

週間では米国市場に対する日本市場の強さは減少しました。米国市場のボラティリティーを示す、VIX低下し、25.8投資家の強い不安心理示す30を下回っています。

 

日経平均は、9日線の下にありますが、25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-0.9%となり先週と比較しマイナス幅が縮小しました。 200日移動平均線との乖離率は-0.3%で、マイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"赤信号"が点灯しています。

 

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線と25日線の上にありますが、200日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には青信号で、中期的には黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては日銀による金融緩和政策の維持が挙げられます

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年から円安トレンドが続いています。今週は146円台から149円台が想定されます。

 

今週、米国では、ISM製造業景気指数、FOMCとパウエルFRB議長会見、10月の雇用統計、決算報告などが中心となりそうです。また、英国、オーストラリアの中央銀行総裁会議、ユーロ圏のGDP成長率とインフレ率も注視する必要があります。その他、中国が10月の製造業とサービス業のPMIを発表する予定です。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを180円ほど下回り、下値は想定ラインを90円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在27680円近辺)で、下値が25日線(現在26830円近辺)の間での動きが想定されます。

 

先週の米国の株価指数は週末に大幅に上昇しました。ボラティリティーは週間では低下しました。今週の日経平均は上昇中のボリンジャーバンド+1σを挟んだ動となりそうです。


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Friday, October 28, 2022

[2022/10/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

1027日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。1028日の日経平均先物は、前日比230円安で寄付くと、午前中は340円安から30円安と下落幅を縮め、午後は30円安から290円安と下落幅を拡げて、結局、290円安で取引を終了しました。日経平均の終値は240円安の27105円で、出来高は24.10億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、急激に強まりました。

 

1027日の米国市場では、キャタピラーやマクドナルド、メルクなど市場予想を上回る決算を発表した銘柄が買われ、相場を押し上げました。また、79月期のGDP速報値が市場予想を上回り、景気敏感株への買いを支えました。一方、メタ・プラットフォームズが2割強下げ、他のハイテク株にも売りが波及しました。結局、NYDow5日続伸し、NASDAQは続落しました。

1028日の日本市場では、前日の米ハイテク株安や、アマゾン・ドット・コムの業績見通しが振るわなかったことが投資家心理を冷やし、ハイテク株などに売りが広がりました。香港などアジア株の下落も嫌気されました。一方で、決算を上方修正した銘柄などには見直し買いが入り、相場の支えとなりました。日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は-0.9%とマイナスに転換し、200日線との乖離率も-0.3%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスとなり、中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の上に出ました。NASDAQは、25日線の上にありますが、200日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+12.2ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が3310円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+1.4ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が380円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.70と前日より上昇し、VIX27.39と前日より上昇しました。日米市場のボラティリティーの差は縮小し、NYDowと比較して、日経平均の強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.8、米国-2.1と日本が5.7ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.35ポイント(日経平均換算で32210円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率2.6%増で、市場予想の2.4%増を上回りました。また、79月期の米企業の決算は、ハイテク株の下方修正が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、9月の耐久財受注、8月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.3万人増で、市場予想の27万人増をやや下回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数数、9月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+13.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、9月に0.75%の大幅利上げを実施し、量的引き締めの検討を開始しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1024 4.3268% 1025 4.3580% 1026 4.3738%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20221026日に記録した4.3738%がここ5年間の最高金利です。ただ、市場金利と比べ、今のところ、金融不安を示唆するほど上昇しているとは言えません。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.47PBR1.14となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+4.1%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.6%となり、日経平均の割安幅は890円から1490円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1490円から-890円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.77ポイントから3.71ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

1028日の米国市場では、9月の個人消費支出・個人所得や、9月の中古住宅販売仮契約指数のほか、エクソン・モービルやシェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式市場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを420円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在27460円近辺)が上値の目安に、25日線(現在26830円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。日経VIは、不安心理がかなり高いとされる25を下回っています。日経平均は続落しましたが、月末に特有の、空売り比率の急激な上昇のあとは、大きく変動する例も多く、週明けは注意が必要です。



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Thursday, October 27, 2022

[2022/10/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

1026日、NYDowは小幅上昇し、NASDAQは大幅下落しました。1027日の日経平均先物は、前日終値と同値で寄付くと、午前中は0円安から110円安の間でもみあい、午後は40円安から170円安と下落幅を拡げて、結局、140円安で取引を終了しました。日経平均の終値は86円安の27345円で、出来高は10.79億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

1026日の米国市場では、長期金利の低下を好感した買いが先行しました。カナダの中央銀行が利上げペースを緩めたことから、FRBも同様の措置をとるとの観測が強まりました。一方で、主力ハイテク銘柄の市場予想を下回る決算を嫌気した売りがかさみ、相場を押し下げました。結局、NYDowはほぼ前日比横ばいとなり、NASDAQ4営業日ぶりに大幅に反落しました。

1027日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が売られた流れが引き継がれ、運用リスクを回避する目的の売りが優勢となりました。外国為替市場で円安ドル高が一服したことも重石となりました。一方で、米長期金利の低下をうけてグロース(成長)株の一角は買われ、相場を下支えしました。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+1.7%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.5%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+10.7ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2930円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+1.8ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が490円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.23と前日より低下し、VIX27.28と前日より低下しました。日米市場のボラティリティーの差は縮小し、NYDowと比較して、日経平均の強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.7、米国-2.0と日本が5.7ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.31ポイント(日経平均換算で32710円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率0.6%減で、改定値の0.6%減から変化しませんでした。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちました。

 

経済指標を見てみます。

9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、8月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、8月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.3万人増で、市場予想の27万人増をやや下回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数数、9月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+13.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、9月に0.75%と大幅利上げし、量的引き締めの検討を開始しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1021 4.3584% 1024 4.3268% 1025 4.3580%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20221021日に記録した4.3584%がここ5年間の最高金利です。ただ、市場金利と比べ、今のところ、金融不安を示唆するほど上昇しているとは言えません。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.63PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+4.2%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが小幅に上昇したにもかかわらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.3%となり、日経平均の割安幅は1370円から890円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1470円から-890円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.82ポイントから3.77ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

1027日の米国市場では、週間の失業保険申請件数や、ECB定例理事会およびラガルド総裁の会見、79月期のGDP速報値、9月の耐久財受注のほか、アップル、アマゾン・ドットコム、キャタピラー、インテル、メルク、マスターカードなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式市場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを260円ほど下回り、下値は想定ラインを260円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在27710円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在27070円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を4日ぶりに上回りました。日経VIは、不安心理がかなり高いとされる25を下回っています。日経平均は伸び悩んでいます。ボリンジャーバンド+2σを越えるには、さらなる力強さが必要でしょう。



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Wednesday, October 26, 2022

[2022/10/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

1025日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。1026日の日経平均先物は、前日比190円高で寄付くと、午前中は140円高から330円高と上昇幅を拡げ、午後は330円高から150円高と上昇幅を縮めて、結局、180円高で取引を終了しました。日経平均の終値は181円高の27431円で、出来高は10.45億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

1025日の米国市場では、長期金利の低下を受け、割高感の薄れたハイテク株などが買われ、相場を押し上げました。FRB12月以降に利上げペースを緩めるとの見方が強まっているうえ、イエレン財務長官が「米国債を買い戻すことはありうる」との見解を示したことも影響したようです。また、米企業の好決算を好感した買いも支援材料となりました。NYDowNASDAQ3日続伸しました。

1026日の日本市場では、米長期金利の低下を背景に前日の米株式市場が上昇した流れが引き継がれ、グロース(成長)株を中心に買いが優勢となりました。香港ハンセン指数の上昇も追い風となりました。ただ、上値追いの材料は乏しく、午後は方向感のない展開となりました。日経平均は3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+2.6%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.8%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+10.3ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が2830円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+3.2ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が880円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.43と前日より低下し、VIX28.46と前日より低下しました。日米市場のボラティリティーの差は縮小し、NYDowと比較して、日経平均の強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-2.0と日本が5.6ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.33ポイント(日経平均換算で33400円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率0.6%減で、改定値の0.6%減から変化しませんでした。また、46月期の米企業の決算は、下方修正が目立ちました。

 

経済指標を見てみます。

9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月の消費者物価指数、9月のISM非製造業景況指数、8月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、8月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月の小売売上高、9月のISM製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.3万人増で、市場予想の27万人増をやや下回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の中古住宅販売件数、8月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、9月の住宅着工件数、10月の住宅市場指数、8月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+13.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、9月に0.75%と大幅利上げし、量的引き締めの検討を開始しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、1020 4.32455% 1021 4.3584% 1024 4.3268%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20221021日に記録した4.3584%がここ5年間の最高金利です。ただ、市場金利と比べ、今のところ、金融不安を示唆するほど上昇しているとは言えません。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.68PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+4.8%で、こちらは3か月前より1.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.0%となり、日経平均の割安幅は1460円から1370円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1470円から-1120円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.94ポイントから3.82ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

1026日の米国市場では、9月の新築住宅販売件数のほか、メタ・プラットフォームズ、ボーイング、フォードなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式市場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを80円ほど下回り、下値は想定ラインを450円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在27760円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在27110円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で下回りました。また、日経VIは、不安心理がかなり高いとされる25を下回っています。日経平均は、三角持ち合いを上に抜けましたが、勢いはさほど感じられず、ボリンジャーバンド+2σを越えるには、さらなる力強さが必要でしょう。



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