日経平均の予想: April 2022

Saturday, April 30, 2022

[2022/05/01]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、中国の景気後退やアマゾンの決算内容が嫌気されて、投資家心理が悪化し、株価指数は下落しました。

週間変動率 NYダウ:-2.47%, NASAQ:-3.93%, S&P500:-3.27%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、サプライチェーン混乱の長期化による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.98ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.98ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER17.4程度になるか、又は、日経平均が36100円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は9250円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は9250円分、魅力に欠けるとも言えます。

日本市場が休場で取引が無く、見かけ上、日本市場の弱さは改善しました。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYDow200日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.3%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント改善しています。また、利益伸び率は+25.3%3ヶ月前に比べて8.0ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は2.66から2.72と拡大して、ドル円は126円から130円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+2.07%上昇しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率予測が公開されて、日本が+1.8%で、米国は+4.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.1ポイント劣ります。

  4月第3週は買い越しで、4月第4週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③が強気材料で、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に11.3ポイント(日経平均に勘算すると3030円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に1.4ポイント(日経平均に勘算する380円程度)割高です。

 

週間では米国市場に対する日本市場の弱さは縮小しました。米国市場のボラティリティーは高まり、VIX33.40と先週から上昇し、投資家の最高レベルの不安心理の高まりを示す30を超えています。

 

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには”赤信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は-6.5%となり先週と比較しマイナス幅は拡大しました。 200日移動平均線との乖離率は-4.4%で、マイナス幅は拡大しました。2つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には赤信号で、中期的にも赤信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、ウクライナ紛争、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては日銀による金融緩和政策の維持が挙げられます

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。日本市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向に反転しています。今週は128円台から130円台が想定されます。

 

今週は、FRBの金融政策決定会合と雇用統計が中心となりそうです。また、アマゾンの決算が嫌気され、金曜日に急激な売りが出たため、企業決算に注目が集まります。その他、イングランド銀行とオーストラリア準備銀行が金利を決定する予定です。経済指標としては、米国の4月のISM製造業景気指数、3月の製造業受注などの発表があります。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下ぶれしました。上値は想定ラインを370円ほど下回り、下値は想定ラインを120円ほど下回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値が 25日線(現在27240円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在26160円近辺)の間での動きが想定されます。

 

ボラティリティーは高まり、投資家の不安心理が最高レベルに高い状態を示しています。また、信用の売り圧力も強く、今週の日経平均は、下落基調が続きそうです


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Thursday, April 28, 2022

[2022/04/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

427日、NYDow小幅上昇し、NASDAQは小幅下落しました。428日の日経平均先物は、前日比20円高で寄付くと、午前中は60円安まで下落したのち180円高まで上昇し、午後は140円高から490円高と上昇幅を拡げて、結局480円高で取引を終了しました。日経平均の終値は461円高の26847円で、出来高は13.84億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は弱まりました。

 

427日の米国市場では、マイクロソフトなど好決算を発表した銘柄を中心に買われました。NYDowは前日に800ドル超下げており、短期的な戻りを期待した買いも入りやすい環境でした。ただ、金融引き締めや世界景気の鈍化への警戒感は根強く、上昇の勢いは限定的でした。結局、NYDowは反発し、NASDAQは小幅に続落しました。

428日の日本市場では、好決算を発表した銘柄や、値ごろ感の出てきた銘柄が買われました。日銀の金融政策決定会合の結果公表を受け、緩和的な金融政策の維持が確認されると、外国為替市場で円安ドル高が急激に進み、輸出関連株への買いをさそいました。連休を意識した売り方の買い戻しも相場を押し上げました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-6.5%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-4.4%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+10.4ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2790円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は+0.5ポイントとプラスに転換し、日経平均が130円ほど割高であることを示しています

 

日経VI25.07VIX31.60と、日米市場のボラティリティーは下落しました。VIXは節目の30を上回っており、投資家の不安心理は最高レベルまで高まっています。日経平均は、NYDowに対して強い状態に転換しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-2.3と日本が5.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より2.08ポイント(日経平均換算で9910円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率6.9%増で、改定値の7.0%増から小幅に下方修正されました。また、1012月期の米企業の決算は、好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月の消費者物価指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の小売売上高、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比43.1万人増で、市場予想の46.0万人増をやや下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが速まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の中古住宅販売仮契約指数、3月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、4月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、422 1.2137% 425 1.2248% 426 1.2381%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.93PBR1.20となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.3%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+27.5%で、こちらは3か月前より8.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.3%となり、日経平均の割安幅は390円から360円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1190円から-360円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.53ポイントから2.62ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

428日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP速報値のほか、アップル、インテル、マスターカード、アマゾン・ドットコム、メルク、ツイッター、メルク、キャタピラー、ギリアド・サイエンシズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを180円ほど上回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、25日線(現在27240円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在26500円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を5日ぶりに下回り、信用の売り圧力は弱まりました。VIX30を上回っており、投資家の不安心理は最高レベルまで高まっています。日経平均は、期待どおりリバウンドしました。VIX30を下回るようであれば、25日線までの戻りも期待できそうです。



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Wednesday, April 27, 2022

[2022/04/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

426日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。427日の日経平均先物は、前日比560円安で寄付くと、午前中は610円安から340円安と下落幅を縮め、午後は400円安から240円安と下げ幅を縮めて、結局260円安で取引を終えました。日経平均の終値は313円安の26386円で、出来高は16.56億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、さらに強まりました。

 

426日の米国市場では、主要企業の決算発表が本格化するのを前に、世界景気の減速やサプライチェーンの混乱が業績を下押しするとの警戒感から、幅広い銘柄に売りが膨らみました。わけても、テスラをはじめ、ハイテク株への売りが目立ちました。NYDowは大幅に反落しました。NASDAQも大幅に反落し、年初来安値を更新しました。

427日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって大幅に下落した流れが引き継がれ、運用リスク回避の売りが優勢となりました。26日に決算を発表した米アルファベットが時間外取引で大幅安となったことも投資家心理を冷やしました。ただ、米株価指数先物が堅調に推移したことが好感され、売り急ぐ動きに歯止めをかけました。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-11.8%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-6.0%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下に出ました。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドも黄信号から赤信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+8.8ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2320円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は-0.9ポイントで、日経平均が240円ほど割安であることを示しています

 

日経VI26.61VIX33.52と、日米市場のボラティリティーは上昇しました。VIXは節目の30を上回り、投資家の不安心理が最高レベルまで高まったことを示しています。日経平均のNYDowに対する弱さは、前日より改善されました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.7、米国-2.4と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より2.16ポイント(日経平均換算で9940円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率6.9%増で、改定値の7.0%増から小幅に下方修正されました。また、1012月期の米企業の決算は、好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月の消費者物価指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の耐久財受注、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の小売売上高、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比43.1万人増で、市場予想の46.0万人増をやや下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが速まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の新築住宅販売件数、3月の中古住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが遅くなるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、421 1.1840% 422 1.2137% 425 1.2248%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.66PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.3%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+28.8%で、こちらは3か月前より6.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.4%となり、日経平均の割安幅は910円から390円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1220円から-390円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.61ポイントから2.53ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しましたが、日中は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

427日の米国市場では、3月の中古住宅販売仮契約指数のほか、メタプラットフォームズ、ボーイング、クアルコム、フォード、クラフト・ハインツなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを620円ほど下回り、下値は想定ラインを320円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在26730円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在26170円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を4日連続で上回り、信用の売り圧力はさらに高まりました。VIX30を上回り、投資家の不安心理は最高レベルまで高まっています。日経平均のきょうの安値はボリンジャーバンド-2σに達し、日足は下ひげの陽線となりました。また、安値更新銘柄数は売られ過ぎの水準に達しました。目先は、リバウンドも期待できそうです。



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Tuesday, April 26, 2022

[2022/04/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

425日、NYDowNASDAQは上昇しました。426日の日経平均先物は、前日比290円高で寄付くと、午前中は290円高から50円高の間で上下し、午後は270円高から110円高と上昇幅を縮めて、結局110円高で取引を終えました。日経平均の終値は109円高の26700円で、出来高は10.35億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、依然として高い状態です。

 

425日の米国市場では、中国景気減速への警戒感から売りが先行しました。しかし、相対的に安全とされる米国債に買いが向かうと、長期金利が低下し、高PERのハイテク株に見直し買いが入りました。原油先物相場の下落を受け、消費関連株も買い直されました。結局、NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQ4営業日ぶりに反発しました。

426日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受け、値がさのハイテク株を中心に見直し買いが入りました。日経平均は前日までの2営業日で1000円近く下げており、自律反発狙いの買いも入りやすい環境でした。ただ、世界景気の先行きや企業業績に対する警戒感は根強く、積極的に買い進む動きは限定的でした。日経平均は3営業日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-8.8%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-4.9%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+6.5ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が1740円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は-2.1ポイントで、日経平均が560円ほど割安であることを示しています

 

日経VI25.52VIX27.02と、日米市場のボラティリティーは下落しました。両指数とも節目の20を大きく上回っており、投資家の不安心理は依然として高い状態です。日経平均のNYDowに対する弱さは、前日より拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-2.3と日本が5.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より2.10ポイント(日経平均換算で9930円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率6.9%増で、改定値の7.0%増から小幅に下方修正されました。また、1012月期の米企業の決算は、好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月の消費者物価指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の小売売上高、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数、2月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが速まるという面では弱気材料です

 

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比43.1万人増で、市場予想の46.0万人増をやや下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.8%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが速まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の中古住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが遅くなるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、量的緩和政策を実施していましたが、これを転換し、量的緩和縮小を加速することを決めました。79月にも終了見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、420 1.1362% 421 1.1840% 422 1.2137%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.88PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.3%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+28.6%で、こちらは3か月前より6.9ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.2%となり、日経平均の割安幅は1000円から910円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1540円から-910円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.62ポイントから2.61ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

426日の米国市場では、3月の耐久財受注や、2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の新築住宅販売のほか、アルファベット、マイクロソフト、ビザ、GEUPSTIGMなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、ウクライナ情勢や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを100円ほど下回り、下値は想定ラインを330円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在27110円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+200円(現在26460円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回り、信用の売り圧力は高い状態です。日経VI20を大きく上回っており、投資家の不安心理も依然として高い状態です。日米市場とも、リバウンドの勢いは弱く、日経平均は、下降トレンドが続く可能性が高いと思われ、ボリンジャーバンド-2σまでの下落もありそうです。



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