日経平均の予想: March 2018

Saturday, March 31, 2018

[2018/04/01]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、買い戻しが優勢でしたが、個人情報の流用問題でハイテク株が売られ不安定でした。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBの利上げ、ドイツ銀行始め欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2019年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.44ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER16.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.7との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2019年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.5%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER22.6程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が38130円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は16670円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2019GDP予測値(現在+0.96%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、3月のISM製造業景況指数、3月の雇用統計が注目されそうです。NYDow200日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は10-12月期の決算発表に伴い、ROE予想値は9.4%3ヶ月前に比べて0.6ポイント改善しています。また、今期業績予想の伸び率は+20.4%3ヶ月前に比べて8.6ポイント改善しています。
   米国の長期金利は上昇して、日米の金利差は2.80から2.70%と縮小したものの、為替は104円台から107円台で円安方向の動きでした。今週は105円台から107円台が想定されます。
   OECDの日米の2019年の実質GDP伸び率予測が公開されて、日本が+1.0%で、米国は+2.1%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.1ポイント劣ります。
   33週は売り越しで、34週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に3.9ポイント(日経平均に勘算すると840円程度)割安となっています。先週比割安幅が縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-4.1%となり先週と比較してマイナス幅は縮小しました。200日移動平均線乖離率は+0.6%となりプラス転換しました。2つの要素がマイナスですので中期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。
日経平均は、25日線、9日線の下に在ります。短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線の上に在ります、25日線、9日線。一目均衡表の雲の下に在ります。
短期的には赤信号"で、中期的には黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米企業業績の伸び悩み、米国の景気減速、原油相場の低迷、英国のEU離脱に伴う金融市場混乱、世界的な長期金利低下傾向、北朝鮮の情勢、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、ハイイールド債市場の下落、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、中国など新興国の景気減速や貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利がここ5年来の高値を更新し続けており、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、トランプ新大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利はマイナス金利と国債買い入れが維持されています。ただ、国債買い入れ枠は20174月から段階的に減額されていますEUも金融正常化へ向かう方向です。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期もみあいで、短期ももみあいです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は低下し、日米長期金利差は縮小したものの、為替は週間では円安方向の動きでした。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジを上回りました。上値は想定ラインを420円ほど上回り、下値は想定ラインに一致しました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在21930円近辺)で、下値はボリンジャーバンド-1σ(現在21090円近辺)の間での動き想定されます

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Friday, March 30, 2018

[2018/03/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
329日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。330日の日経平均先物は、前日比220円高で寄り付くと、午前中は240円高から90円高の間でもみあい、午後は300円高から100円高の間でもみあって、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は295円高の21454円で、出来高は11.41億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

329日の米国市場では、下落が続いていたフェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど主力ハイテク株が買われたことで、投資家心理が改善され、株価指数は大幅上昇しました。
330日の日本市場では、買いが優勢となりました。前日の米ハイテク株高を手がかりに半導体関連株が買われ、相場を押し上げました。日経平均は朝高後は上値の重い展開でしたが、午後に先物主導で上昇しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の下にありますが、9日線を上回り、短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は-4.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.6%とプラスに転換しました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドも赤信号から黄信号に変わりました。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は-3.9ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より840円ほど割安であることを示しています(前日比0.2ポイント拡大)

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.46ポイント(日経平均で16880円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.9%増で改定値2.5%増から上方修正されました。1012月期の米主要企業の決算は、良好です。

経済指標を見てみます。2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産、2月のミシガン大学消費者態度指数、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月のISM非製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月の小売売上高、1月の製造業受注は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.3万人増で、市場予測の21.0万人増を上回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.4%で、市場予想の+6.2%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、326 2.2949% 327 2.3020% 328 2.3080%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018328日に記録した2.3080%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.7PBR1.20となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.4%となり、これは3か月前より0.6ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+20.4%で、こちらは3か月前より8.6ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.6%となり、日経平均の割高幅は500円から550円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+310円 から+550円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.75ポイントから2.70ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的にもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因のはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

330日の米国はGood Fridayの休日で、米国市場は休場です。

今日の日経平均は、想定範囲をやや上ぶれしました。上値は想定ラインとほぼ一致し、下値は想定ラインを320円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線+200(現在21710円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ+100(現在21190円近辺)と想定されます。



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Thursday, March 29, 2018

[2018/03/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
328日、NYDowNASDAQは下落しました。329日の日経平均先物は、前日比260円高で寄り付くと、午前中は262円高から80円高と上げ幅を縮め、午後には50円安まで落ち込みましたが、結局は180円高で取引を終えました。日経平均の終値は127円高の21159円で、出来高は13.24億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

328日の米国市場では、主要ハイテク株が売られる流れが続き、相場の重荷となりましたが、自律反発狙いの買いも散見されました。NYDowは小幅安で取引を終了しました。
329日の日本市場では、外国為替市場で円相場が下落したことが好感され、買いが先行しました。ただ、米中間の貿易摩擦激化への警戒感は払拭されておらず、上値は限定的でした。午後に入ると、米ハイテク株の先行き不透明感から半導体株に売りが広がり、指数を押し下げました。日経平均はマイナスに転じましたが、引けにかけて持ち直しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-8.2%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.8%とマイナス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は-3.7ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より780円ほど割安であることを示しています(前日比1.4ポイント縮小)

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.58ポイント(日経平均で17420円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.9%増で改定値2.5%増から上方修正されました。1012月期の米主要企業の決算は、良好です。

経済指標を見てみます。2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産、2月のミシガン大学消費者態度指数、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月のISM非製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月の小売売上高、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.3万人増で、市場予測の21.0万人増を上回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.4%で、市場予想の+6.2%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、323 2.2915% 326 2.2949% 327 2.3020%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018327日に記録した2.3020%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.6PBR1.19となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.4%となり、これは3か月前より0.7ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+20.4%で、こちらは3か月前より8.6ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.4%となり、日経平均の割高幅は510円から500円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-70円 から+510円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

米国の長期金利は低下し、日米の長期金利の差は2.76ポイントから2.75ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因のはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

329日の米国では、週間の新規失業保険申請件数や、3月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを100円ほど上回り、下値は想定ラインを310円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線 (現在21520円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ-100(現在21000円近辺)と想定されます。



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Wednesday, March 28, 2018

[2018/03/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
327日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。328日の日経平均先物は、前日比390円安で寄り付くと、午前中は390円安から130円安と下げ幅を縮め、午後は340円安から80円安と下げ幅を縮めて、結局80円安で取引を終えました。日経平均の終値は286円安の21031円で、出来高は14.12億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては「買い」が有利な状態です。

327日の米国市場では、フェイスブック利用者の個人情報が流用した問題を受け、規制強化への懸念が広がり、ハイテク株全般が売られました。投資家心理は冷え込み、幅広い銘柄に売りが波及しました。
328日の日本市場では、前日の米国株安が嫌気され、売りが優勢となりました。米ハイテク株の下落が波及し、半導体関連株への売りが目立ちました。日経平均の下げ幅は一時500円を超えましたが、引けにかけて急速に下げ渋りました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-10.2%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率は-1.3%とマイナスに転換しました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスとなり、中期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下に抜けました。米国市場の短期トレンドは赤信号が、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は-5.1ポイントで、中長期的には日本市場が米国市場より1700円ほど割安であることを示しています(前日比1.9ポイント縮小)

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.1ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.65ポイント(日経平均で17700円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.5%増で速報値2.6%増から下方修正されました。1012月期の米主要企業の決算は、良好です。

経済指標を見てみます。2月の耐久財受注、2月の鉱工業生産、2月のミシガン大学消費者態度指数、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月のISM非製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月の小売売上高、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.3万人増で、市場予測の21.0万人増を上回りました。一方、失業率は先月と同値の4.1%でした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+6.4%で、市場予想の+6.2%を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料です。

全世界的に、景気後退リスクは縮小しているようですが、先進国の財政赤字の根本的な解決にはかなり時間がかかりそうです。ここにきて先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は回復傾向で、長期金利も上昇傾向です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持しています。ただ、20181月からは、買い入れ額を600億ユーロから300億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、322 2.2855% 323 2.2915% 326 2.2949%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機懸念はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、上昇が続いています。なお、2018326日に記録した2.2949%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.5PBR1.17となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.4%となり、これは3か月前より0.6ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+20.4%で、こちらは3か月前より8.6ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.4%となり、日経平均の割高幅は310円から510円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-70円 から+510円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.82ポイントから2.76ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は横ばいでした。米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム不安への懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断され、追加利上げが実施されると予想されます。また、目先の長期金利は上昇傾向にあります。これは対ドルで円安要因のはずですが、目先円高が進んでいます。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

328日の米国では、1012月期のGDP確報値や、2月の中古住宅販売仮契約指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを430円ほど下回り、下値は想定ラインを160円ほど下回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド-1σ+100(現在21230円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在20710円近辺)と想定されます。



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