日経平均の予想: January 2021

Sunday, January 31, 2021

[2021/02/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

129日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。21日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付くと、午前中は10円高から380円高と上昇幅を拡げ、午後には570円高まで上昇幅を拡げて、結局570円高で取引を終えました。日経平均の終値は427円高の28091円で、出来高は11.46億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


129日の米国市場では、ネット証券のロビンフッドが顧客のクレームに応じ、価格変動の大きい銘柄に対する取引制限を緩和したことから、再び市場が混乱するとの警戒感が高まり、幅広い銘柄に売りが優勢となりました。世論や政治家からはヘッジファンドへの批判が相次いでおり、問題の解決には時間がかかるとの観測も投資家心理の重石となりました。NYDowNASDAQは大幅に反落しました。

21日の日本市場では、日経平均が前週の直近2営業日で1000円近く下げたこともあり、自律反発狙いの買いが優勢となりました。また、香港や上海などアジアの株式相場や、米株価指数先物が上昇したことも追い風となりました。好決算を発表した銘柄への買いも目立ちました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線の下にありますが、25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+26.8%と前週末よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+19.0%と前週末よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.6とプラスに転換し、中長期的には日経平均がNASDAQより450円ほど割高であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が10.7ポイント(日経平均換算で3010円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-3.9、米国-3.4と日本が0.5ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.42ポイント(日経平均換算で2730円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率4.0%増で、前期の33.4%増から市場予想以上に鈍化しました。また、1012月期の米企業の決算は、まちまちな内容です。

 

経済指標を見てみます。

1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の小売売上高、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面ではやや弱気材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14万人減で、減少幅は市場予想の10万人減を上回りました。一方、失業率は6.7%で、先月の6.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、12月の中古住宅販売仮契約指数、12月の新築住宅販売件数、12月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+9.1%で、市場予想の+8.1%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面で中立材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、127 0.2115 128 0.2050 129 0.2018と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER25.4PBR1.23となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は-19.0%で、こちらは3か月前より3.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず大幅に上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.8%となり、日経平均は520円の割安から520円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-520円から+520円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.00ポイントから1.03ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

21日の米国市場では、1月のISM製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルス感染拡大への対応や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを150円ほど上回り、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、25日線+300円(現在28250円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在27760円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, January 30, 2021

[2021/01/31]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場は、個人投資家の過度に投機的な動きで、ヘッジファンドが大規模な損失との報道で、株価指数は大幅下落しました。一方、中長期的には、新型肺炎拡大長期化による景気後退、ハイ・イールド債のディフォルトなどによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また世界的な自国中心の政治状況から中国などの景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2021年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.39ポイント割高となっています。割高の要因はS&P500PER22.2に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER25.2との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.39ポイント縮小するか(日本が上方修正又は米国が下方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER23.0程度になるか、又は、日経平均が25220円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は2450円ほど割高です。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇、

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安、

OECDによる日本の2021GDP予測値(現在-0.5%)の上方修正、

⑤外人の買い越し、

 

最近の動きを見ると、

   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NYDow25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

   四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は4.8%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は-19.0%3ヶ月前に比べて0.8ポイント改善しています。

   米国の長期金利は低下し、日米の金利差は 1.07%から1.03%と縮小したものの、為替は103円台から104円台で円安方向に動きました

   OECDの日米の2021年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.3%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.9ポイント劣ります。

   13週は売り越しで、14週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.0ポイント(日経平均に勘算すると0円程度)で均衡しています。先週と比べ割安幅は縮小しました。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に9.1ポイント(日経平均に勘算すると2520円程度)割高となっています。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+22.5%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+17.4でプラス幅は縮小しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線と9日線の下にありますので、短期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNY Dowは、200日線の上にありますが、9日線・25日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも、200日線の上にありますが、9日線・25日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には赤信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大、米国政治の不透明感世界的な長期金利低下傾向、原油相場の低迷、米企業業績の悪化、ハイ・イールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

また、直近のLIBOR金利は上昇の気配があり、注意が必要です。20203月には、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策とジャンク債購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や3兆ドルの経済対策、トランプ大統領の政策期待。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債・12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の拡大表明などが揚げられます。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期は下落トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期は下落トレンドです

 

為替市場を分析すると、ここ半年は、ゆるやかに円高方向に動いています。今週は104円台から105円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。

 

今週、米雇用統計では、12月に7カ月連続で雇用が増加していた労働市場の最新情報が提供されます。また、ISM PMIが注目され、議会での景気刺激策の議論の進捗状況も注視することになるでしょう。四半期決算は続き、アルファベット、アマゾン、ファイザーが注目されます。その他、OPEC+会合やBOERBARBIによる金融政策決定、ユーロ圏のGDP成長率が注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下回りました。上値は想定ラインを480円ほど下回り、下値は想定ラインを260円ほど下回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在27890円近辺)で、下値がボリンジャーバンド -2σ(現在26400円近辺)の間での動きが想定されます。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Thursday, January 28, 2021

[2021/01/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

128日、NYDowNASDAQは上昇しました。129日の日経平均先物は、前日比250円高で寄り付くと、午前中は300円高から20円高と上昇幅を縮め、午後は70円高から480円安と下落に転じて、結局480円安で取引を終えました。日経平均の終値は534円安の27663円で、出来高は15.76億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


128日の米国市場では、買いが優勢となりました。過熱していた個人投資家の投機的売買を制限する動きが広がり、異常な値動きへの警戒感が後退しました。NYDowは前日に633ドル安と今年最大の下げ幅をつけており、自律反発狙いの買いも入りやすい地合いでした。NYDowNASDAQは反発しました。

129日の日本市場では、前日の株安の反動で、自律反発狙いの買いが先行しました。しかし、米新興ネット証券のロビンフッドが「急騰した銘柄などへの取引制限を29日に緩和する」と発表すると、変動率の高い相場が続くとの警戒感が高まり、投資家の運用リスクをとる姿勢が後退しました。米株価指数先物の下落も重石となり、日経平均は結局、大幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+22.5%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+17.4%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.7とマイナスに転換し、中長期的には日経平均がNASDAQより750円ほど割安であることを示しています。一方、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が6.7ポイント(日経平均換算で1850円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-3.9、米国-3.2と日本が0.7ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.17ポイント(日経平均換算で1140円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率4.0%増で、前期の33.4%増から市場予想以上に鈍化しました。また、1012月期の米企業の決算は、まちまちな内容です。

 

経済指標を見てみます。

1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の小売売上高、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面ではやや弱気材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14万人減で、減少幅は市場予想の10万人減を上回りました。一方、失業率は6.7%で、先月の6.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数、12月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+9.1%で、市場予想の+8.1%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面で中立材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、125 0.2128 126 0.2185 127 0.2115と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER25.2PBR1.21となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-19.8%で、こちらは3か月前より0.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず大幅に下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均は330円の割高から520円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-520円から+720円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、0.97ポイントから1.00ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

129日の米国市場では、12月の中古住宅販売仮契約指数のほか、キャタピラー、ハネウェル、イーライリリー、シェブロンなどの決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルス感染拡大への対応や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインを260円ほど下回りました。目先は、25日線(現在27890円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在27250円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Wednesday, January 27, 2021

[2021/01/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

127日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。128日の日経平均先物は、前日比600円安で寄り付くと、午前中は770円安から300円安と下落幅を縮め、午後は340円安から590円安と下落幅を拡げて、結局590円安で取引を終えました。日経平均の終値は437円安の28197円で、出来高は21.38億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


127日の米国市場では、航空機のボーイングや半導体のAMDなど、決算発表が嫌気された銘柄が売られました。また、一部銘柄に対する個人投資家の投機的な動きでヘッジファンドが大規模な損失を計上したとの報道も市場心理を冷やし、売りをさそいました。NYDow5日続落し、NASDAQも続落しました。

128日の日本市場では、前日の急激な米株安を受け、過熱感のあったハイテク株を中心とした幅広い銘柄が売られました。日経平均は一時、節目の28000円を割り込みましたが、全体の過熱感が薄れると押し目買いも入り、一方的に下値を探る展開とはなりませんでした。もっとも、今晩の米国株の動向に対する警戒感も強く、午後には再び売りの勢いが増す場面もありました。日経平均は大幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+29.4%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+20.0%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.3とプラスに転換し、中長期的には日経平均がNASDAQより80円ほど割高であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が10.2ポイント(日経平均換算で2880円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-3.9、米国-3.3と日本が0.6ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.27ポイント(日経平均換算で1830円)割高となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確定値は前期比年率33.4%増で、改定値の33.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、大方の予想に反して堅調な内容です。

 

経済指標を見てみます。

1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の小売売上高、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面ではやや弱気材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比14万人減で、減少幅は市場予想の10万人減を上回りました。一方、失業率は6.7%で、先月の6.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、12月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数、11月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+9.1%で、市場予想の+8.1%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面で中立材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、122 0.2152 125 0.2128 126 0.2185と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER25.6PBR1.23となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE4.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-19.7%で、こちらは3か月前より1.1ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均の割高幅は520円から330円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+330円から+720円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.00ポイントから0.97ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうです。長期金利も低い状態が続いており、対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

128日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1012月期のGDP速報値、12月の新築住宅販売件数のほか、マクドナルド、ビザ、マスターカード、ウエスタン・デジタルなどの決算が注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルス感染拡大への対応や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを480円ほど下回り、下値は想定ラインを370円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在28440円近辺)が上値の目安に、25日線(現在27840円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート