日経平均の予想: January 2017

Monday, January 30, 2017

[2017/01/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
30日のNYDowNASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比230円安寄り付き、午前中は140円安から300円安の範囲で下げ幅を拡げる動きでした。午後は引けにかけて360円安まで売られる動きとなり、結局350取引を終わりました。日経平均の終値は327円安の19041で、出来高は19.97億株で比較的高水準でした。
寄り付き前の外国人の売買注文は10万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しましたが、個別銘柄に関しては、やや「買い」が有利な状況です。
30
日の米国市場では、トランプ政権による難民やテロ懸念国の市民の入国制限に対し、民間や与党の米共和党からも批判的な意見が浮上するなど、混乱を嫌気した売りが優勢でした。
31日の日本市場では、米国市場安を受けて売りが先行しました。その後も、トランプ政権による移民政策への警戒感が強まり、為替の円高方向の動きから、売りが優勢となりました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。総合乖離率は+13.7%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+10.9%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割高幅は1.0ポイント縮小し、中長期的には日本市場は 2.3ポイント(日経平均で 440円程度)割高となっています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、11月末に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.2ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.63ポイント(日経平均で 2170円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の10-12月期のGDP速報値1.9%となり、予想の2.2%を下回りました。10-12月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標では、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、12月の鉱工業生産、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りましたが、12月の耐久財受注、1月のNY連銀製造業景気指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の小売売上高、12月のシカゴ購買部協会景気指数は、11月の製造業受注予想を下回りました56負で景気面ではやや弱気材料ですが、利上げし辛い点では強気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比15.6万人増で、市場予測の18.0万人増を下回りました。失業率は先月の4.4%から4.7%に上昇しましたが、賃金は上昇しました。市場は景気面では強気材料と受け止めました。
一方、住宅関連では、12月の中古住宅販売仮契約数、12月の住宅着工件数は予想を上回りましたが、12月の新築住宅販売件数、12の中古住宅販売件数、12月の住宅市場指数は予想以下でした。また、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.1%で、市場予想の+5.0%を上回りました。33負で景気面では中立です。
全世界的に、緊縮財政と需要不足から世界景気は減速しています。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうで、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、長期金利は上昇傾向に変わる気配が出てきました。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していまが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額する予定です。
日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0125 1.0373% 0126 1.0390% 0127 1.0390% となっています。
一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準です。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20170120日の1.0434%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.3で、PBR1.33となっています。7-9月期の決算発表に伴い、予想ROE8.2%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べてほぼ変わりません。一方、今期予想利益の伸率は+5.0%3ヶ月前と比べて0.6ポイント改善しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1となり、日経平均は20円の割安で、割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-30円 ~+430円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていましたが、今日は弱い動きに変わりました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は2.38と縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。北京と上海の不動産価格は上昇しているものの、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げ予想されます。対ドルで円安要因です。
一方、欧州市場では景気回復の兆しが見られますが、ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続しています。このような相場環境の中、31日の米国市場では、11月のS&Pコアロジック/ケースシラー住宅価格指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数やコーチ、ファイザー、アップル、エクソンモービル、マスターカード、アフラック、ゼロックスの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を下振れしました。上値は想定ラインを350円ほど下回り、下値は想定ライン近辺で、180円ほど下回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線 (現在19220円近辺)で、下値が ボリンジャーバンド-2σ(現在18770円近辺)の間での動きが想定されます。


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Sunday, January 29, 2017

[2017/01/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
27日のNYDowは小幅下落し、NASDAQは小幅上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比110円安寄り付き、午前中は80円安から170円安の範囲で下げ幅を拡げる動きでした。午後は90円安から180円安の範囲で下げ幅を縮める動きとなり、結局130取引を終わりました。日経平均の終値は98円安の19368で、出来高は15.32億株で低水準でした。
寄り付き前の外国人の売買注文は190万株の売り越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。
27
日の米国市場では、GDPが年率1.9%増と市場予想の2.2%増に届かなかったことで勢いがそがれる中、個別銘柄の動きがまちまちとなり終日、方向感に乏しい展開でした。
30日の日本市場では、先週末のNYDowの下落と円高を受けて売りが先行しました。その後も為替が1ドル114円台前半へ上昇し、売り優勢が続きました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線、9日線の上に在ります。短期トレンドは青信号が点灯しています。総合乖離率は+19.3%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+12.9%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線、25日線、9日線の上にあります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割高幅は0.8ポイント縮小し、中長期的には日本市場は 3.3ポイント(日経平均で 640円程度)割高となっています。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、11月末に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.2ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.58ポイント(日経平均で 2040円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の10-12月期のGDP速報値1.9%となり、予想の2.2%を下回りました。10-12月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。
経済指標では、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、12月の鉱工業生産、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りましたが、12月の耐久財受注、1月のNY連銀製造業景気指数、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の小売売上高、12月のシカゴ購買部協会景気指数は、11月の製造業受注予想を下回りました56負で景気面ではやや弱気材料ですが、利上げし辛い点では強気材料です。
12月の雇用統計は就業者数が前月比15.6万人増で、市場予測の18.0万人増を下回りました。失業率は先月の4.4%から4.7%に上昇しましたが、賃金は上昇しました。市場は景気面では強気材料と受け止めました。
一方、住宅関連では、12月の住宅着工件数は予想を上回りましたが、12月の新築住宅販売件数、12の中古住宅販売件数、12月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約数は予想以下でした。また、10月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.1%で、市場予想の+5.0%を上回りました。24負で景気面では弱気材料です。
全世界的に、緊縮財政と需要不足から世界景気は減速しています。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうで、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、長期金利は上昇傾向に変わる気配が出てきました。
このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していまが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額する予定です。
日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が採られています。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0125 1.0373% 0126 1.0390% 0127 1.0390% となっています。
一昨年5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、一昨年5月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を上回ってきましたので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準です。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、再び上昇しています。ここ5年の最高金利は20170120日の1.0434%です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.5で、PBR1.36となっています。7-9月期の決算発表に伴い、予想ROE8.2%で、企業の今期収益力の見通しは3ヶ月前と比べてほぼ変わりません。一方、今期予想利益の伸率は+5.0%3ヶ月前と比べて0.6ポイント改善しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2となり、日経平均は40円の割高で、割高幅は縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-10円 ~+430円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、強い動きが続いていますが、今日は強い動きが加速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタルにはかなり割安で、テクニカルには割高です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は2.40と縮小し、ドル円は円高方向の動きでした。直近の米長期金利は低下して、円高圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
ファンダメンタル面では、LIBOR銀行間金利が、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
また、上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。北京と上海の不動産価格は上昇しているものの、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。各国の長期金利の低下や原油の低迷など世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げ予想されます。対ドルで円安要因です。
一方、欧州市場では景気回復の兆しが見られますが、ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続しています。このような相場環境の中、30日の米国市場では、12月の中古住宅販売仮契約が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲をやや下振れしました。上値は想定ラインを300円ほど下回りましたが、下値は想定ライン近辺で、70円ほど下回る程度でした。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ+100(現在19570円近辺)で、下値が25日線(現在19240円近辺)の間での動きが想定されます。


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