日経平均の予想: 2021

Wednesday, December 29, 2021

[2021/12/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

1229日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。1230日の日経平均先物は、前日比40円安で寄付くと、午前中は280円安から60円高と上昇に転じ、午後は70円安から40円高の間でもみあって、結局40円高で取引を終えました。日経平均の終値は115円安の28791円で、出来高は7.30億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を4日連続で上回り、個別銘柄への売り圧力はさらに強まりました。

 

1229日の米国市場は、オミクロン株が経済に与える悪影響は限定的との見方から、消費関連株や景気敏感株の一角が買われました。NYDow6日続伸し、およそ1か月半ぶりに過去最高値を更新しました。一方、アマゾン・ドット・コムやメタプラットフォームズなどの下落が重石となり、NASDAQは小幅に続落しました。

1230日の日本市場では、年末年始の休場中に世界の金融市場の地合いが変化するとの警戒感から、買い持ち高を減らす動きが先行しました。ただ、売り一巡後は買い戻しが入り、日経平均は下げ渋りました。目新しい材料に乏しく、市場参加者も少なかったため、午後は小幅な値動きとなりました。日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+0.1%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.1%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち1つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.2ポイント拡大して-7.7となり、中長期的には日経平均が2220円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が5.0ポイント(日経平均換算で1440円)割安となっています

 

日経VI19.21VIX16.95で、日本市場のほうがボラティリティーが高い状態となっており、ここでも日本市場がより弱くなっていることが示されています。ただ、両指数とも20を下回っており、投資家の不安心理はまだそう強まっていないようです。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-2.9と日本が4.3ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.24ポイント(日経平均換算で5950円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確報値は前期比年率2.3%増で、改定値の2.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の製造業受注、11月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早くなるという面では弱気材料です

 

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.0万人増で、市場予想の52.5万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、先月の4.6%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

11月の住宅着工件数、12月の住宅市場指数は予想を上回りました。一方、11月の中古住宅販売仮契約指数、11月の新築住宅販売件数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.4%でしたが、伸び率は鈍化し、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では1222 0.2113 1223 0.2197 1224 0.2178と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.8PBR1.25なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+35.2%で、こちらは3か月前より1.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.4%となり、日経平均の割安幅は630円から710円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-710円から-450円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.42ポイントから1.48ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

1230日の株式市場では、週間の新規失業保険申請件数や、12月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、オミクロン株の感染状況や、原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインを10円ほど上回りました。目先はボリンジャーバンド+1σ+300円(現在29170円近辺)が上値の目安に、25日線(現在28490円近辺)が下値の目安になりそうです。

三角持ち合いの上限(29400円近辺)へのチャレンジは来年に持ち越されました。



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Tuesday, December 28, 2021

[2021/12/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

1228日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。1229日の日経平均先物は、前日終値と同値で寄り付くと、午前中は140円高から240円安と下落に転じ、午後は150円安から40円安の間でもみあって、結局110円安で取引を終えました。日経平均の終値は162円安の28906円で、出来高は8.53億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を3日連続で上回り、個別銘柄への売り圧力は引き続き強い状態です。

 

1228日の米国市場では、景気敏感株を中心に買われました。相場の懸念材料であるオミクロン株について、患者が重症化する確率は低いとの調査結果が相次いでいることから、経済への悪影響は限られるとの観測が強まりました。NYDow118日に付けた過去最高値を一時的に上回りました。一方、足元で上昇が続いたハイテク株は利益確定の売りに押されました。NASDAQ5営業日ぶりに反落しました。

1229日の日本市場では、前日の米ハイテク株安を受け、半導体関連株などが売られました。ファストリなど値がさ株が売られたことも相場の重石となりました。日経平均は前日に29000円台を回復しており、戻り待ちの売りも出やすかったようです。一方、空運や陸運、小売りなど景気敏感株の一角は買われ、相場の下値を支えました。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+1.2%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.3%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下に出ました。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.2ポイント縮小して-7.5となり、中長期的には日経平均が2170円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が4.4ポイント(日経平均換算で1270円)割安となっています

 

日経VI19.00VIX17.54で、日本市場のほうがボラティリティーが高い状態となっており、日本市場の弱い状態は続いています。ただ、両指数とも20を下回っており、投資家の不安心理がやわらいでいることを示しています。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-2.9と日本が4.3ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.17ポイント(日経平均換算で5560円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確報値は前期比年率2.3%増で、改定値の2.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の製造業受注、11月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早くなるという面では弱気材料です

 

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.0万人増で、市場予想の52.5万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、先月の4.6%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

11月の住宅着工件数、12月の住宅市場指数、10月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、11月の新築住宅販売件数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.4%でしたが伸び率は鈍化し、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面から見て中立材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では1222 0.2113 1223 0.2197 1224 0.2178と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.8PBR1.26なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+34.7%で、こちらは3か月前より0.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.2%となり、日経平均の割安幅は520円から630円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-630円から-280円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.42ポイントから1.42ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

1229日の株式市場では、週間の新規失業保険申請件数や、12月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、オミクロン株の感染状況や、原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを360円ほど下回り、下値は想定ラインを160円ほど上回りました。目先はボリンジャーバンド+2σ-100円(現在29270円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在28640円近辺)が下値の目安になりそうです。

三角持ち合いの上限(29400円近辺)からやや離れました。明日これを上回るには、400円以上の上昇が必要となり、かなり困難となりました。



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Monday, December 27, 2021

[2021/12/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

1227日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。1228日の日経平均先物は、前日比280円高で寄り付くと、午前中は160円高から420円高の間で上下し、午後は230円高から370円高の間でもみあって、結局290円高で取引を終えました。日経平均の終値は392円高の29069円で、出来高は9.52億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は5日平均をまだ上回っており、個別銘柄への売り圧力は強い状態です。

 

1227日の米国市場では、買いが優勢となりました。マスターカードが決済データを元にまとめた年末商戦の売上高が前年同期比8.5%増となった、と伝わり、投資家心理が上向きました。長期金利の低下を受け、相対的な割高感が薄れたハイテク株が買われたことも支えとなりました。主要3指数はそろって4日続伸しました。S&P500は連日で過去最高値を更新しました。

1228日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に買いが入りました。外国為替市場で円安ドル高が進んだことや、11月の鉱工業生産指数が前月比7.2%増となったことも追い風となりました。日経平均が心理的な節目の29000円に近付く水準では上値が重くなりましたが、終値では29000円を上回りました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+2.8%とプラスに転換し、200日線との乖離率も+0.8%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがプラスとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.1ポイント拡大して-7.7となり、中長期的には日経平均が2240円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が3.7ポイント(日経平均換算で1080円)割安となっています

 

日経VI18.96VIX17.68で、日本市場のほうがボラティリティーが高い状態となっており、日本市場の弱い状態は続いています。ただ、両指数とも20を下回っており、投資家の不安心理がやわらいでいることを示しています。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.1、米国-2.9と日本が4.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.11ポイント(日経平均換算で5330円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確報値は前期比年率2.3%増で、改定値の2.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の製造業受注、11月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早くなるという面では弱気材料です

 

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.0万人増で、市場予想の52.5万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、先月の4.6%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

11月の住宅着工件数、12月の住宅市場指数、10月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、11月の新築住宅販売件数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面から見て中立材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では1222 0.2113 1223 0.2197 1224 0.2178と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.9PBR1.27なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+34.8%で、こちらも3か月前と同水準です。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は450円から520円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-520円から-280円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.43ポイントから1.42ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

1228日の株式市場では、10月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数などが注目されるでしょう。引き続き、オミクロン株の感染状況や、原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを140円ほど上回り、下値は想定ラインを450円ほど上回りました。目先はボリンジャーバンド+2σ+100円(現在29530円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在28880円近辺)が下値の目安になりそうです。

三角持ち合いの上限(29400円近辺)に接近しました。あと2営業日でこれを上回ることができるか、あるいは跳ね返されるか、注目したいと思います。



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Sunday, December 26, 2021

[2021/12/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

1224日、NYDowNASDAQは休場でした。1227日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付くと、午前中は40円高から110円安と下落に転じ、午後は30円安から80円安の間でもみあって、結局60円安で取引を終えました。日経平均の終値は106円安の28676円で、出来高は7.77億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を5日ぶりに上回り、個別銘柄への売り圧力が強まりました。

 

1224日の米国はクリスマスの振替休日で、株式市場は休場でした。

1227日の日本市場では、オミクロン株への警戒感から自粛ムードが広がるようであれば、国内経済が悪影響を受けかねない、との懸念が強まり、積極的な買いが手控えられました。もっとも、年末休みで不参加の投資家が多く、売り急ぐ動きも限定的でした。日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は-1.5%と前週末よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-0.5%と前週末よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上にありますが、200日線の下にあり、25日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より0.2ポイント拡大して-7.6となり、中長期的には日経平均が2180円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が4.1ポイント(日経平均換算で1180円)割安となっています

 

日経VI19.64VIX17.96で、日本市場のほうがボラティリティーが高い状態となっています。両指数とも20を下回っており、投資家の不安心理がやわらいだことを示しています。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-2.9と日本が4.3ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.22ポイント(日経平均換算で5780円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確報値は前期比年率2.3%増で、改定値の2.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

12月のミシガン大学消費者信頼感指数、11月の耐久財受注、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のニューヨーク連銀製造業景況指数、11月の消費者物価指数、11月のISM非製造業景況指数、10月の製造業受注、11月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、11月の鉱工業生産指数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の小売売上高、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早くなるという面では弱気材料です

 

米国の11月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比21.0万人増で、市場予想の52.5万人増を下回りました。一方、失業率は4.2%で、先月の4.6%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

11月の住宅着工件数、12月の住宅市場指数、10月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。一方、11月の新築住宅販売件数、11月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、9月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.1%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面から見て中立材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では1222 0.2113 1223 0.2197 1224 0.2178と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.7PBR1.26なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+35.1%で、こちらも3か月前より0.1ポイント改善されています。


[今後の見通し]

前週末のNYDowは休場でしたが、きょうの日経平均は下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%で、日経平均が450円ほど割安となっています。プレミアム値は、ここ一週間、-450円から+250円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.43ポイントから1.43ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

1227日の株式市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを250円ほど下回り、下値は想定ラインを200円ほど上回りました。目先はボリンジャーバンド+1σ(現在29060円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在28460円近辺)が下値の目安になりそうです。

三角持ち合いの中で動くとすれば、当面は、27600円から29400円の間で推移することになりそうです。



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