日経平均の予想: September 2023

Saturday, September 30, 2023

[2023/10/01]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、原油と長期金利の上昇と米政府機関の一部閉鎖のリスクが警戒されて、株価指数は週間では低迷しました。

週間変動率 NYダウ:-1.34% NASDAQ:+0.06% S&P500:-0.74%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.69ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER19.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.69ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER56.6程度になるか、又は、日経平均が116,390円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は84,540円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、84,540円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さはやや拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.5%となりました。3ヶ月前に比べて0.4ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+2.3%となりました。3ヶ月前に比べて+0.2%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.71から3.82に拡大して、ドル円は148円から149円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.56%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.96%で、米国は+3.40%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.44ポイント劣ります。

  9月第3週は売り越しでした。9月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.6ポイント(日経平均に勘算すると510円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に7.5ポイント(日経平均に勘算する2390円程度)割高です。

 

NYダウ対する日本市場の強さは、この週に縮小しました。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 17.5 と上昇しました。 日経 VI は 週間で 18.4と上昇しました。日米市場とも、楽観的心理は後退しました。

 

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。日経平均の総合乖離率は-1.9%で、200日移動平均線との乖離率は+6.6%でした。1つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDow9日線・25日線・200日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には"信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。

日本市場はもみあいで、短期は下降トレンです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は148円台から150円台が想定されます。

 

今週の米国市場では、雇用統計とFRB高官による講演が中心となります。また、JOLTS雇用統計、サービス業・製造業PMI、貿易統計、製造業受注が発表されます。投資家はまた、オーストラリア、インドの金利決定にも注目するでしょう。その他では、カナダ、インド、ロシアの製造業PMIが発表されます。最後に、カナダとユーロ圏の失業率、日本の日銀短観、ドイツの製造業受注も注目されるでしょう。

 

先週の日経平均は、想定レンジを上下にぶれました。上値は想定ラインを130円ほど上回り、下値は想定ラインを80円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在32620円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在31700円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は米政府機関の一部閉鎖の有無に影響される週となりそうです。日米本市場のボラティリティーは上昇傾向で、売り圧力は強まっています。米政府機関の一部閉鎖問題が解決すれば、10月相場スタートで、投資環境も改善して、日経平均はリバウンドも期待できそうです。


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Friday, September 29, 2023

[2023/09/29]今週の日経平均の見通し

[市況]

928日、NYDowNASADQは上昇しました。929日の日経平均先物は、前日比170円高で円寄り付くと、午前中は180円高から120円安と下落に転じ、午後は140円安から170円高と上昇に転じて、結局、170円高で取引を終了しました。日経平均の終値は14円安の31857円で、出来高は18.86億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

928日の米国市場では、長期金利の上昇を受けて売りが先行しましたが、長期金利が午後にかけて低下すると、次第に買いが優勢となりました。原油先物相場が反落したことも支えとなりました。9月半ば以降、株売りが加速していたこともあり、9月末や四半期末を控えて売り持ち高を手じまう動きも出たようです。NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQは続伸しました。

929日の日本市場では、四半期末に向けた資産配分の調整に伴う売りが出て、相場を押し下げました。日経平均構成銘柄の入れ替えに伴う売りも重石となりました。前日の米株高や29日の香港テック株高が好感されて買いが優勢となる場面もありましたが、日経平均は結局、小幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+1.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+6.6%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうちプラスは2つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均の割高幅は510円に縮小しました。また、NYDowとの差は、+7.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均の割高幅は2260円に縮小しました

 

日経VI18.39と低下し、VIX17.34と低下しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.7、米国0.5と日本が5.2ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.80ポイント(日経平均換算で92370円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増から変わりませんでした。また、46月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

8月の耐久財受注、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、8月の消費者物価指数、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のISM製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比18.7万人増で、市場予想の17.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数数、8月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数、8月の住宅着工件数は予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、925 5.6627% 926 5.6472% 927 5.6516%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202397日に記録した5.6726%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.49PBR1.33となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.6%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.6%で、こちらは3か月前より0.2ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は300円から220円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-450円から+120円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.86ポイントから3.82ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

929日の米国市場では、8月の個人消費支出(PCE)とPCE価格指数が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在32160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在31600円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは低下しましたが、不安心理はやや高い状態です。また、信用の売り圧力は強まりました。きょうの日経平均は小幅に続落しました。米連邦政府の予算問題など、外部要因次第ではありますが、10月入りで投資家心理は改善され、反転も期待できそうです。



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Thursday, September 28, 2023

[2023/09/28]今週の日経平均の見通し

[市況]

927日、NYDowは下落し、NASADQは上昇しました。928日の日経平均先物は、前日比100円安で円寄り付くと、午前中は10円高まで上昇したのち460円安まで下落し、午後は480円安から210円安と下落幅を縮めて、結局、300円安で取引を終了しました。日経平均の終値は499円安の31872円で、出来高は16.61億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

927日の米国市場では、原油高や金融引き締め長期化観測を受けて長期金利が上昇し、株売りをさそいました。金利上昇を受けてドル高が進んだことも重石となりました。ただ、引けにかけては金利上昇が一服し、ハイテク株を中心に買い戻しの動きが広がりました。結局、NYDowは続落し、NASDAQは反発しました。

928日の日本市場では、9月期末配当の権利落ちや日米長期金利の上昇が重石となり、売りが優勢となりました。原油先物相場の上昇や、米株価指数先物の下落も嫌気されました。結局、日経平均は大幅に反落し、およし1か月ぶりに終値で節目の32000円を下回りました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+2.0%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+6.8%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下に出ました。3つの要素のうちプラスは2つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均の割高幅は830円に縮小しました。また、NYDowとの差は、+7.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均の割高幅は2420円に縮小しました

 

日経VI18.81と上昇し、VIX18.22と低下しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.7、米国0.4と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.84ポイント(日経平均換算で95540円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率2.1%増で、速報値の2.4%増を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

8月の耐久財受注、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、8月の消費者物価指数、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のISM製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比18.7万人増で、市場予想の17.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、8月の新築住宅販売件数数、8月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数、8月の住宅着工件数は予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、922 5.6614% 925 5.6627% 926 5.6472%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202397日に記録した5.6726%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.49PBR1.33となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.6%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.4%で、こちらは3か月前より0.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均の割安幅は30円から300円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-450円から+120円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.79ポイントから3.86ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

928日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、46月期のGDP確定値、8月の中古住宅販売仮契約指数、パウエルFRB議長のタウンホールミーティングでの発言のほか、ナイキやアクセンチュアなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを470円ほど下回り、下値は想定ラインを320円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在32200円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-200円(現在31560円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは上昇傾向にあり、不安心理は高まりつつあります。また、信用の売り圧力も強まりました。きょうの日経平均は大幅に反落しました。9月末日までは下げ圧力が強い状態が続きそうです。



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Wednesday, September 27, 2023

[2023/09/27]今週の日経平均の見通し

[市況]

926日、NYDowNASADQは大幅下落しました。927日の日経平均先物は、前日比230円安で円寄り付くと、午前中は340円安から90円安と下落幅を縮め、午後は180円安から70円高と上昇に転じて、結局、70円高で取引を終了しました。日経平均の終値は56円高の32371円で、出来高は15.86億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、売りが優勢となりました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

926日の米国市場では、長期金利の上昇を受けて株式の相対的な割高感が意識され、売りが優勢となりました。議会の予算協議が難航しており、政府機関が一部閉鎖になるリスクが再浮上したことも投資家心理の重石となりました。NYDowNASDAQは反落しました。

927日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって下落した流れを受け、幅広い銘柄に売りが先行しましたが、売り一巡後は徐々に下げ渋る展開となりました。きょうは9月末配当の権利付き最終売買日にあたり、再投資に絡んだ機械的な買いが見込まれたほか、日銀の国債買い入れオペ通知後に長期金利が低下したことなども支えとなりました。結局、日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+6.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+8.5%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうちプラスは2つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にあり、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+4.4ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均の割高幅は1420円に拡大しました。また、NYDowとの差は、+9.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均の割高幅は2950円に拡大しました

 

日経VI18.12と低下し、VIX18.94と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.6、米国0.5と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.68ポイント(日経平均換算で89920円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率2.1%増で、速報値の2.4%増を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、8月の消費者物価指数、8月のISM非製造業景況指数、7月の製造業受注、8月のISM製造業景況指数、8月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の8月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比18.7万人増で、市場予想の17.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、前月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、8月の新築住宅販売件数数、8月の中古住宅販売件数、9月の住宅市場指数、8月の住宅着工件数は予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+0.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にまだ利上げをする可能性があると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、921 5.6617% 922 5.6614% 925 5.6627%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202397日に記録した5.6726%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.71PBR1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.5%となり、これは3か月前より0.5ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.7%で、こちらは3か月前より0.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.1%となり、日経平均の割安幅は450円から30円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-450円から+120円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.82ポイントから3.79ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

927日の米国市場では、8月の耐久財受注などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを270円ほど下回り、下値は想定ラインを50円ほど下回りました。目先は、25日線(現在32640円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在32010円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは上昇傾向にあり、不安心理は高まりつつあります。また、信用の売り圧力も強まりました。きょうの日経平均は反発しましたが、配当権利付き最終売買日を通過したこともあり、目先は下落リスクが高そうです。



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