日経平均の予想: May 2023

Wednesday, May 31, 2023

[2023/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

530日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。531日の日経平均先物は、前日比250円安で寄り付くと、午前中は240円安から460円安の間で上下し、午後は380円安から590円安と下落幅を拡げて、結局、530円安で取引を終了しました。日経平均の終値は440円安の30887円で、出来高は25.86億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。

空売り比率は5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

530日の米国市場では、消費関連株や景気敏感株の一角が売られました。連邦政府の債務上限問題について、議会の承認を得られるまでは予断を許さない状況が続くとの慎重な見方がくすぶっており、投資家心理の重石となりました。一方、長期金利の低下を受け、相対的な割高感の薄れた高PERのハイテク株は買われました。結局、NYDowは反落し、NASDAQ3日続伸しました。

531日の日本市場では、高値警戒感が意識されるなか、外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことや、日本と中国で生産活動の停滞を示す経済指標が相次いで発表されたことなどが重石となり、利益確定の売りが優勢となりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+23.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+11.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が770円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+10.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3120円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.00と上昇し、VIX17.46と前日比横ばいでした。日経VIは、不安心理の高まりを示す20に達しました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.7、米国1.7と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.90ポイント(日経平均換算で37770円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は102負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、524 5.4244% 525 5.4631% 526 5.4757%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023526日に記録した5.4757%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.10PBR1.26となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.4%となり、日経平均の割高幅は1000円から730円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+730円から+1260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.33ポイントから3.23ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

531日の米国市場では、4月のJOLTS求人件数やベージュブックのほか、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを340円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在31110円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在30510円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力はかなり強まり、個別銘柄は売られ過ぎの水準となりました。日本市場のボラティリティーは上昇し、不安感が高まっていることを示しています。きょうの日経平均は大幅に反落しました。急ピッチな上昇の反動で、目先は下落が続く可能性が高そうです。



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Tuesday, May 30, 2023

[2023/05/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

529日、米国市場は休場でした。530日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は90円高まで上昇したのち240円安まで下落し、午後は200円安から80円高とプラス圏に戻して、結局、80円高で取引を終了しました。日経平均の終値は94円高の31328円で、出来高は11.15億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

529日の米国はメモリアルデーの祝日で、米国市場は休場でした。

530日の日本市場では、日経平均がバブル経済崩壊後の高値を連日で更新しているとあって、利益確定の売りが優勢となる時間帯が続きました。しかし、午後に入ると、海外勢が日本株の持ち高を増やす目的で株価指数先物に買いを入れ、現物株を押し上げました。結局、日経平均は4日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+28.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+12.7%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.5ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が160円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+11.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3670円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.84と低下し、VIX17.46と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.6、米国1.6と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.89ポイント(日経平均換算で39390円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、524 5.4244% 525 5.4631% 526 5.4757%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023526日に記録した5.4757%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.33PBR1.28となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より2.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日の米国市場は休場でしたが、きょうの日経平均は上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.3%となり、日経平均の割高幅は1090円から1000円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1000円から+1260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.38ポイントから3.33ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

530日の米国市場では、3月の住宅価格指数、3月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、ロウズなどの四半期決算が注目されるでしょう。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを140円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-300円(現在31400円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在30920円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力はやや弱まりましたが、個別銘柄は売り有利の状態です。日本市場のボラティリティーは低下し、過熱感が少しやわらいだことを示しています。日経平均だけが強い状態となっており、まだ上昇余地はありそうです。



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Monday, May 29, 2023

[2023/05/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

526日、NYDowNADSAQは大幅上昇しました。529日の日経平均先物は、前日比670円高で寄り付くと、午前中は710円高から350円高と上昇幅を縮め、午後は410円高から210円高の間でもみあって、結局、340円高で取引を終了しました。日経平均の終値は317円高の31233円で、出来高は11.94億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

526日の米国市場では、連邦政府の債務上限問題をめぐる協議が合意に近付いていると伝わり、投資家のリスク回避姿勢がやわらぎました。5月の消費者態度指数や4月の個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想を上回り、米経済は底堅いと受け止められたことも安心感につながりました。NYDow6営業日ぶりに反発し、NASDAQは続伸しました。

529日の日本市場では、米連邦政府の債務上限問題をめぐる不透明感が後退し、前週末の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、先物が主導する形で現物株にも買いが優勢となりました。ただ、足元では高値警戒感も意識されやすく、朝高後は上値の重い展開となりました。日経平均は3日続伸し、およそ33年ぶりの高値をつけました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+27.9%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+12.4%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に戻りました。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.8ポイントとマイナスに転換し、日経平均が250円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+11.4ポイントとプラス幅をやや拡げ、日経平均が3560円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.40と上昇し、VIX17.95と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.6、米国1.6と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.94ポイント(日経平均換算で40520円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、524 5.4244% 525 5.4631% 526 5.4757%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023526日に記録した5.4757%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.32PBR1.28となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+1.6%で、こちらは3か月前より2.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.6%となり、日経平均の割高幅は1260円から1090円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1090円から+1260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.40ポイントから3.38ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安傾向ですが、きょうの日中は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

529日の米国は戦没者追悼記念日の祝日で、米国市場は休場です。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを330円ほど上回り、下値は想定ラインを580円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在31330円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在30780円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、強い状態です。また、日本市場のボラティリティーは、過熱感があることを示しています。ただ、個別銘柄を見ると、過熱感はまだ感じられません。日経平均は3日続伸しました。地合いは強いものの、信用の売りが頭を押さえる展開が続きそうです。



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Saturday, May 27, 2023

[2023/05/28]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、エヌビデアの好決算がハイテク株高を誘いましたが、米債務上限問題を巡って、与野党合意に時間が掛かっており、株価指数は週間では、まちまちでした。

週間変動率 NYダウ:-1.00% NASDAQ:+2.51% S&P500:+0.32%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.01ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.6に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.2との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.01ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER33.0程度になるか、又は、日経平均が71820円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は40900円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、40900円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて-0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+1.6%3ヶ月前に比べて-2.5%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.28から3.39に拡大して、ドル円は137円から140円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+1.00%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  53週は買い越しでした。54週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③,⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.9ポイント(日経平均に勘算すると590円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に10.3ポイント(日経平均に勘算する3180円程度)割高です。

 

NASDAQに対する日本市場の弱さは、この週に拡大しましたが、NYダウ対する日本市場の強さは、この週に拡大しました。 米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 18.0 まで上昇しました。 日経 VI は 週間で 19.3と低下しました。日米市場ともやや楽観的であることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+25.2%で、200日移動平均線との乖離率は+11.3%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的には"黄信号”が点灯しています。


[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は139円台から142円台が想定されます。

 

今週の米国では、米債務協定交渉は最終段階に入りましたが、65日の期限までギリギリの交渉が続くと思われます。データ面では、雇用統計、JOLTS求人数、ISM製造業PMICB消費者信頼感が注目されます。さらに、ユーロ圏、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、韓国のインフレ率が発表されます。また、中国の製造業PMIも注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを370円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+3σ(現在32260円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在30400円近辺)の間での動きが想定されます。

 

米国市場では債務上限問題の懸念はあるものの、VIXは低水準です。今週の日経平均はボリンジャーバンド+2σに沿った動きとなりそうです


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Friday, May 26, 2023

[2023/05/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

525日、NYDowは下落し、NADSAQは上昇しました。526日の日経平均先物は、前日比170円高で寄り付くと、午前中は50円高から280円高と上昇幅を拡げ、午後は230円高から90円高と上昇幅を縮めて、結局、130円高で取引を終了しました。日経平均の終値は115円高の30916円で、出来高は12.19億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

525日の米国市場では、連邦政府の債務上限問題をめぐる不透明感が引き続き投資家心理の重石となり、リスク回避の売りが先行しました。ただ、債務不履行は避けられるとの楽観的な見方も根強く、売りが一巡すると指数は下げ渋りました。また、前日に好決算を発表した画像処理半導体のエヌビディアが急騰し、ハイテク銘柄を中心に相場を押し上げました。結局、NYDow5日続落し、NASDAQ3日ぶりに反発しました。

526日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株が買われ、指数を押し上げました。また、外国為替市場で円安ドル高が進行したことも投資家心理の支えとなりました。一方、加熱感からバリュー株を中心に利益確定の売りも出て、相場の上値を抑えました。日経平均は続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+25.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+11.3%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にあり、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.5ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が150円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+11.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3490円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.33と上昇し、VIX19.14と低下しました。VIXは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.6、米国1.5と日本が5.1ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.10ポイント(日経平均換算で43040円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+0.4%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、522 5.3747% 523 5.3958% 524 5.4244%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023524日に記録した5.4244%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.20PBR1.27となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+1.8%で、こちらは3か月前より2.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.2%となり、日経平均の割高幅は1220円から1260円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1110円から+1420円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.34ポイントから3.40ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

526日の米国市場では、4月の個人所得・個人消費支出や、4月の耐久財受注などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを50円ほど下回り、下値は想定ラインを420円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-300円(現在31050円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在30440円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、強い状態です。また、日本市場のボラティリティーは、上昇傾向です。日経平均は続伸しましたが、個別銘柄は今日も売りが優勢となっています。米連邦政府の債務上限問題の行方次第ですが、ハイテク株買い・バリュー株売りもまだ続きそうです。



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