日経平均の予想: June 2019

Saturday, June 29, 2019

[2019/06/30]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、FRBによる早期利下げ期待が後退したことで、売りが優勢でした。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBの利上げ、欧州政治の混乱、欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2020年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.27ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER11.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2020年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.3%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER19.5程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が34810円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は13540円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2020GDP予測値(現在+0.68%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、6月のISM製造業景気指数、6月の雇用統計、が注目されそうです。NYDow25日線の上を維持出来るか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は1-3月期の決算発表に伴い、ROE予想値は8.9%3ヶ月前に比べて0.2ポイント悪化しています。また、今期業績予想の利益伸び率は+3.3%3ヶ月前に比べて9.1ポイント改善しています。
   米国の長期金利は低下し、日米の金利差は2.22%から2.18%と縮小したものの、為替は106円台から108円台でで円安方向の動きでした。
   OECDの日米の2020年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+0.61%で、米国は+2.28%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.67ポイント劣ります。
   63週は売り越しで、64週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち、③が強気材料でしたがが①弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に8.6ポイント(日経平均に勘算すると1830円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-1.2%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は-1.7%でマイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。
日経平均は、9日線、25日線の上にあります。短期的トレンドには"青信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には青信号"で、中期的にも青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米企業業績の伸び悩み、信用収縮に伴う金融市場混乱、北朝鮮の問題、原油相場の低迷、ハイイールド債市場の下落などの懸念は後退しているものの、世界的な長期金利低下傾向、米中貿易摩擦、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利は上昇傾向で、ここ5年来の高値を更新し続け、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の利下げ期待、トランプ大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利水準の年内維持表明などが揚げられます。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期下降トレンドで、短期は上昇トレンドです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は低下して、日米長期金利差は縮小したものの、為替は週間で円安方向でした。今週は108円台から106円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジ内の動きでした。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインに一致しました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在21590円近辺)で、下値は25日線(現在21050円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, June 28, 2019

[2019/06/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
627日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。628日の日経平均先物は、前日比60円安で寄り付くと、午前中には110円安まで下げ幅を拡げ、午後は100円安から30円安の間でもみあって、結局40円安で取引を終えました。日経平均の終値は62円安の21275円で、出来高は11.51億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

627日の米国市場では、米中首脳会談を間近に控えて様子ムードが強い中、「墜落事故を起こした主力機に新たな不具合が見つかった」と報じられた航空機のボーイングが大幅に下げ、NYDowの重石となりました。一方、NASDAQは続伸しました。
628日の日本市場では、日経平均が前日に大幅上昇した反動で、持ち高調整の売りが出ました。上海市場の下落も重石となりましたが、一方で個人投資家による買いが相場を下支えしました。米中首脳会談を間近に控え、積極的に持ち高を傾ける動きは限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.2%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-1.7%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.0ポイント拡大して-8.1ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1720円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.32ポイント(日経平均で13890円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率3.1%増で、改定値の3.1%と一致しました。13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。
5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、5月の耐久財受注、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のニューヨーク連銀製造業景気指数、5月の小売売上高、5月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比75000人増で、市場予想の175000人増を大きく下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.5%で、市場予想の+2.6%を下回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、624 2.3328% 625 2.3112% 626 2.3298%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、米国債3か月物の2.14%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.9PBR1.06となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.3%で、こちらは3か月前より9.1ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は220円から160円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円 から-160円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.21ポイントから2.19ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。ただ、EUの金融正常化へ向かう動きは中断しています。

628日の米国市場では、5月の個人消費支出・個人所得、6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値などが注目されるでしょう。引き続き、金利や貿易摩擦に関する動向も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを270円ほど下回り、下値は想定ラインを80円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200(現在21520円近辺)が上値の目安に、25日線(現在21050円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Thursday, June 27, 2019

[2019/06/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
626日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。627日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は30円高から230円高と上昇幅を拡げ、午後は170円高から250円高の間でもみあって、結局210円高で取引を終えました。日経平均の終値は251円高の21338円で、出来高は12.04億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

626日の米国市場では、トランプ大統領の「我々よりも中国が取引したがっている」との発言を受け、米中首脳会談で貿易協議が進展するとの期待感が広がり、買いが先行しました。ただ、会談の結果を見極めたいとの慎重姿勢も強く、買い一巡後は伸び悩みました。
627日の日本市場では、トランプ大統領とムニューシン財務長官の米中首脳会談をめぐる発言や、香港メディアの「米中が暫定的な停戦で合意した」との報道を受け、貿易交渉の進展に対する期待感が広がり、買いが優勢となりました。米半導体株高を受け、国内の関連株が上昇したことや、アジアの株式相場が堅調に推移したこと、円安ドル高が一服したことなども支えとなりました。日経平均は3日ぶりに反発し、今日の高値で引けました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は-0.3%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-1.4%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.8ポイント縮小して-7.1ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1510円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.29ポイント(日経平均で13870円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率3.1%増で、速報値の3.2%から下方修正されました。13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。
5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、5月の耐久財受注、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のニューヨーク連銀製造業景気指数、5月の小売売上高、5月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比75000人増で、市場予想の175000人増を大きく下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.5%で、市場予想の+2.6%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、621 2.3492% 624 2.3328% 625 2.3112%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、米国債3か月物の2.14%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.0PBR1.06となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.2%で、こちらは3か月前より9.0ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.0%となり、日経平均の割安幅は320円から220円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円 から-220円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.16ポイントから2.21ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。ただ、EUの金融正常化へ向かう動きは中断しています。

627日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、13月期のGDP確報値、5月の仮契約住宅販売指数のほか、ナイキ、アクセンチュア、マコーミックなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利や貿易摩擦に関する動向も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを30円ほど上回り、下値は想定ラインを280円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在21580円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200(現在21110円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, June 26, 2019

[2019/06/26]今後の日経平均の見通し

[市況]
625日、NYDowNASDAQは下落しました。626日の日経平均先物は、前日比30円安で寄り付くと、午前中は60円安から20円高の間でもみあい、午後は20円安から80円安の間でもみあって、結局30円安で取引を終えました。日経平均の終値は107円安の21086円で、出来高は9.35億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

625日の米国市場では、売りが優勢となりました。パウエルFRB議長など連銀首脳の発言を受けて早期利下げへの期待が後退したことや、4月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、5月の新築住宅販売件数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などがいずれも市場予想を下回ったことなどが重石となりました。
626日の日本市場では、前日の米株式相場が下落した流れが引き継がれ、売りが優勢となりました。一方で、「米半導体大手マイクロン・テクノロジーがファーウェイへの出荷を一時再開した」との報道を受けて半導体関連株が買われ、相場の下値を支えました。日経平均は心理的な節目の21000円を維持しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-3.9%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.6%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.2ポイント縮小して-7.9ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1670円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.34ポイント(日経平均で13780円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率3.1%増で、速報値の3.2%から下方修正されました。13月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。
5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のシカゴ購買部協会景気指数、5月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月のニューヨーク連銀製造業景気指数、5月の小売売上高、5月のISM製造業景況指数、4月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比75000人増で、市場予想の175000人増を大きく下回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の新築住宅販売件数、4月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.5%で、市場予想の+2.6%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示しています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、620 2.3431% 621 2.3492% 624 2.3328%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、米国債3か月物の2.12%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.8PBR1.05となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.3%で、こちらは3か月前より9.1ポイント改善されています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%となり、日経平均の割安幅は340円から320円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円 から-10円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.16ポイントから2.16ポイントと横ばいでしたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。ただ、EUの金融正常化へ向かう動きは中断しています。

626日の米国市場では、5月の耐久財受注のほか、IHSマークイットやゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利や貿易摩擦に関する動向も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを270円ほど下回り、下値は想定ラインを100円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ(現在21300円近辺)が上値の目安に、25日線-200(現在20830円近辺)が下値の目安になりそうです。



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