日経平均の予想: October 2021

Sunday, October 31, 2021

[2021/11/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

1029日、NYDowNASDAQは上昇しました。111日の日経平均先物は、前日比630円高で寄り付くと、午前中は610円高から870円高の間で上下し、午後は720円高から890円高と上昇幅を拡げて、結局770円高で取引を終えました。日経平均の終値は754円高の29647円で、出来高は12.86億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

1029日の米国市場では、シェブロンやエクソン・モービル、メルクやマイクロソフトなど、好決算を発表した銘柄が買われ、相場を押し上げました。一方、決算発表で売上高が市場予想を下回ったアマゾンやアップルは売られました。S&P500種構成企業の約半数が四半期決算を発表しましたが、そのうち80%以上がウォール街のアナリストによる業績予想を上回っており、相場の先高観につながっています。主要3指数はそろって最高値を更新しました。

111日の日本市場では、衆院選の結果、自民党が国会の安定運営に必要な議席を確保したことから、政治の先行き不透明感が後退し、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄に買いが優勢となりました。前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇したことも好感されました。日経平均は大幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+9.5%と前週末よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+2.7%と前週末よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に抜けました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より2.2ポイント縮小して-6.6となり、中長期的には日経平均が1960円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が3.0ポイント(日経平均換算で890円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.8、米国-2.9と日本が3.9ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.63ポイント(日経平均換算で2980円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率2.0%増で、46月期GDP6.7%増から大きく後退しました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.4万人増で、市場予想の50万人増を下回りました。一方、失業率は4.8%で、先月の5.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測が後退するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数、10月の住宅市場指数は予想を上回りました。また、8月の中古住宅販売件数は市場予想と一致しました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ただ、11月のFOMCでテーパリング実施を決定するようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、1027 0.1286 1028 0.1316 1029 0.1322と小動きですが、やや上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.5PBR1.32なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+32.8%で、こちらは3か月前より3.1ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均の割安幅は900円から240円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1060円から-240円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.51ポイントから1.47ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、20219月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決定しました。今後3か月間のペースを、これまでの2四半期より適度に低くするとしています。

 

111日の米国市場では、10月のISM製造業景況指数のほか、ロウズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格やビットコイン、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを380円ほど上回り、下値は想定ラインを700円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在30020円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在29390円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Saturday, October 30, 2021

[2021/10/31]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、市場予想を上回る主要企業の決算発表が勝り、株価指数は上昇しました。

週間上昇率 NYダウ:+1.47%, NASAQ:+3.98%, S&P500:+1.33%

一方、中長期的には、エネルギー・コスト、生産・供給コスト上昇によるインフレ加速懸念と、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、サプライチェーン混乱などによる世界経済の減速懸念もあります。このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東、ウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2022年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.83ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.83ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.9程度になるか、又は、日経平均が32700円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3810円ほど割安です。

ファンダメンタルで見れば、日本市場は3810円分魅力に欠ける状態であるとも言えます。

先週と比べて、割安幅はやや縮小しました。衆議院選挙で自民党の議席が減る予想が出ている点が原因と考えられます。

 

 

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安

OECDによる日本の2022GDP予測値(現在+2.72%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足も陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NYDowが最高値を更新できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.2%となりました。3ヶ月前に比べて0.3%ポイント改善しています。また、利益伸び率は+32.8%3ヶ月前に比べて4.0ポイント改善しています。

  米国の長期金利が低下して、日米間の金利差は1.54から1.46と縮小したものの、ドル円は113円から114円の範囲で円安方向に動きました。

  OECDの日米の2022年の名目GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.72%で、米国は+6.01%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.29ポイント劣ります。

  10月第3週は売り越しで、10月第4週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①強気材料で⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に9.1ポイント(日経平均に勘算すると2630円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に5.5ポイント(日経平均に勘算する1590円程度)割安です。

衆議院選挙で自民党議員がかなり減少するとの予想が日本市場売りにつながり、日本市場の弱さが続きました。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は+1.6%となり先週と比較してプラス幅は拡大しました。200日移動平均線との乖離率は+0.2%で、プラス幅は拡大しました。2つの要素がプラスですので、中期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqも、200日線・25日線・9日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には青信号で、中期的にも青信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は低下傾向ですが、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策と債券購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や2兆ドルの経済対策。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債や0から12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の継続などが揚げられます。ただ、ECB債券購入の減額を決めています。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向に反転しています。今週は113円台から114円台が想定されます。

 

今週注目されるのは、水曜日に発表されるFRBの政策声明と、金曜日に発表される米国の雇用統計です。他にも、ファイザー、モデナ、エアビーアンドビー、ウーバーなどが四半期決算を発表する予定で、決算シーズンが続きます。また、中国をはじめ、世界各国のPMI調査や、英国、オーストラリアの中央銀行による金融政策の動向も注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインを340円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド +2σ(現在30120円近辺)で、下値が25日線(現在28790円近辺)の間での動きが想定されます。

ただ、与党による安定過半数獲得と云う、選挙結果が前提です。


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Friday, October 29, 2021

[2021/10/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

1028日、NYDowNASDAQは上昇しました。1029日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付くと、午前中は120円高から290円安の間で上下し、午後は10円高から270円高の間でもみあって、結局20円高で取引を終えました。日経平均の終値は72円高の28892円で、出来高は15.65億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

 

1028日の米国市場では、市場予想を上回る決算を発表した銘柄を中心に買いが優勢となりました。長期金利の上昇や原油先物相場の反発も支援材料となりました。社名を「メタ」に変更すると発表したフェイスブックや、アナリストが目標株価を引き上げたテスラも買われました。結局、NYDowは反発し、NASDAQ4日続伸しました。

1029日の日本市場では、前日の米アップルや米アマゾン・ドット・コムの決算内容への警戒感から、ハイテク株の一角が売られました。FOMCを前にポジション調整の売りも出ました。ただ、売り一巡後は買い戻しが入り、日経平均は底堅く推移しました。好決算や業績見通しの上方修正を発表した銘柄も買われました。結局、日経平均は小幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の下にありますが、25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+1.6%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+0.2%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.1ポイント拡大して-8.8となり、中長期的には日経平均が2540円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が5.3ポイント(日経平均換算で1530円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.0、米国-2.9と日本が4.1ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.84ポイント(日経平均換算で3860円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP速報値は前期比年率2.0%増で、46月期GDP6.7%増から大きく後退しました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.4万人増で、市場予想の50万人増を下回りました。一方、失業率は4.8%で、先月の5.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測が後退するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数、10月の住宅市場指数は予想を上回りました。また、8月の中古住宅販売件数は市場予想と一致しました。一方、9月の中古住宅販売仮契約指数、9月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ただ、11月のFOMCでテーパリング実施を決定するようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、1025 0.1345 1026 0.1358 1027 0.1286と小動きですが、やや上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.0PBR1.29なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+33.7%で、こちらは3か月前より4.0ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.1%となり、日経平均の割安幅は820円から900円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1510円から-820円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.45ポイントから1.51ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的にもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、20219月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決定しました。今後3か月間のペースを、これまでの2四半期より適度に低くするとしています。

 

1029日の米国市場では、ユーロ圏の79月期のGDPや、9月の個人消費支出・個人所得のほか、エクソン・モービルやシェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格やビットコイン、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを90円ほど下回り、下値は想定ラインを50円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在29360円近辺)が上値の目安に、25日線-200円(現在28590円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, October 27, 2021

[2021/10/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

1027日、NYDowは下落し、NASDAQは小幅上昇しました。1028日の日経平均先物は、前日比260円安で寄り付くと、午前中は310円安から110円安と下げ幅を縮め、午後は120円安から260円安と下落幅を拡げて、結局240円安で取引を終えました。日経平均の終値は278円安の28820円で、出来高は22.13億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

 

1027日の米国市場では、業績見通しの物足りなさや当局による反トラスト法違反の捜査が嫌気されたビザが大幅安となり、指数の重石となりました。また、債券市場で長短金利差が縮小し、利ざや悪化懸念から金融株が売られました。景気敏感株は総じて利益確定の売りに押されました。一方で、好決算を発表した銘柄は買われました、結局、NYDow4営業日ぶりに反落し、NADAQは小幅に続伸しました。

1028日の日本市場では、主要企業の決算発表が本格化するなか、市場の期待に届かなかった銘柄を中心に売りが出ました。前日の米株安や、きょうの香港や上海の株価指数の下落も重石となりました。一方で、半導体関連銘柄の一角や、空運や鉄道の一部には押し目買いが入り、指数を下支えしました。日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+0.8%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.1%とマイナスに転換しました。一目均衡表では雲の下に抜けました。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にあり、9日線を下回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.0ポイント拡大して-7.7となり、中長期的には日経平均が2220円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が5.0ポイント(日経平均換算で1440円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.1、米国-3.0と日本が4.1ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.80ポイント(日経平均換算で3630円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率6.7%増で、改定値の6.6%増から0.1ポイント上方修正されました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

9月の耐久財受注、10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.4万人増で、市場予想の50万人増を下回りました。一方、失業率は4.8%で、先月の5.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測が後退するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数、10月の住宅市場指数、8月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。また、8月の中古住宅販売件数は市場予想と一致しました。一方、9月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ただ、11月のFOMCでテーパリング実施を決定するようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、10220.1248 1025 0.1345 1026 0.1358と小動きですが、上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.0PBR1.29なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+33.9%で、こちらは3か月前より4.1ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.8%となり、日経平均の割安幅は1060円から820円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1510円から-820円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.53ポイントから1.45ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、20219月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決定しました。今後3か月間のペースを、これまでの2四半期より適度に低くするとしています。

 

1028日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、ECB定例理事会およびラガルド総裁の会見、79月期のGDP速報値、9月の中古住宅販売仮契約指数のほか、アップル、キャタピラー、メルク、マスターカードなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格やビットコイン、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを580円ほど下回り、下値は想定ラインを50円ほど下回りました。目先は、25日線+300円(現在29140円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+400円(現在28520円近辺)が下値の目安になりそうです。空売り比率は54.2%と稀に見る高水準で、地合いの悪さが顕著となっています。



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Tuesday, October 26, 2021

[2021/10/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

1026日、NYDowNASDAQは上昇しました。1027日の日経平均先物は、前日140円安で寄り付くと、午前中は10円高から270円安の間で上下し、午後は220円安から40円安と下落幅を縮めて、結局100円安で取引を終えました。日経平均の終値は7円安の29098円で、出来高は11.44億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

 

1026日の米国市場では、主要企業が相次いで市場予想を上回る四半期決算を発表していることが先高観につながり、買いが優勢となりました。10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想に反して前月比で上昇したことも好感されました。ただ、短期的な過熱感から利益確定の売りも出て、相場の上値は限定的でした。NYDow3日続伸し、連日で最高値を更新しました。NASDAQも続伸しました。

1027日の日本市場では、前日の大幅な株高の反動で、主力株の一角に利益確定の売りが出ました。ただ、日経平均が25日移動平均線の近辺で下げ渋ったことから、下値は固いと見た投資家の押し目買いが入り、相場を支えました。もっとも、31日の衆院選の投開票を前に買い手控えムードも強く、積極的に持ち高を傾ける動きは限定的でした。結局、日経平均は小幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+3.6%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.9%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.1ポイント拡大して-6.7となり、中長期的には日経平均が1950円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が4.9ポイント(日経平均換算で1430円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.0、米国-2.9と日本が4.1ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.79ポイント(日経平均換算で3680円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP確定値は前期比年率6.7%増で、改定値の6.6%増から0.1ポイント上方修正されました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、9月の小売売上高、9月のISM非製造業景況指数、9月のISM製造業景況指数、8月の製造業受注、8月の耐久財受注連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、9月の鉱工業生産指数、10月のミシガン大学消費者信頼感指数、10月のニューヨーク連銀製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.4万人増で、市場予想の50万人増を下回りました。一方、失業率は4.8%で、先月の5.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測が後退するという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

9月の新築住宅販売件数、10月の住宅市場指数、8月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りました。また、8月の中古住宅販売件数は市場予想と一致しました。一方、9月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を強めるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ただ、11月のFOMCでテーパリング実施を決定するようです。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、1021 0.1238 1022 0.1248 1025 0.1345と小動きですが、上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.2PBR1.31なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.3%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+33.5%で、こちらは3か月前より4.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.6%となり、日経平均の割安幅は1030円から1060円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1740円から-1030円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.53ポイントから1.53ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、20219月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決定しました。今後3か月間のペースを、これまでの2四半期より適度に低くするとしています。

 

1027日の米国市場では、9月の耐久財受注のほか、ボーイング、GM、コカコーラ、イーベイ、マクドナルド、フォード、ザイリンクス、クラフト・ハインツなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格やビットコイン、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを380円ほど下回り、下値は想定ラインを90円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在29520円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在28780円近辺)が下値の目安になりそうです。



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