日経平均の予想: January 2022

Monday, January 31, 2022

[2022/02/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

131日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。21日の日経平均先物は、前日比230円高で寄り付くと、午前中は350円高から20円高の間で上下し、午後は140円高から60円安の間でもみあって、結局20円安で取引を終えました。日経平均の終値は76円高の27078円で、出来高は13.74億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

また、空売り比率は5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への売り圧力は弱まっています。

 

131日の米国市場では、FRBによる早期の金融引き締めを警戒した売りが先行しましたが、売り一巡後は近ごろ下落が目立っていたハイテク株を中心に買いが入り、相場全体を押し上げました。1月末の年金基金によるリバランス買いを指摘する声もありました。NYDowNASDAQは続伸しました。

21日の日本市場では、前日の米株高が好感され、運用リスクをとる動きが先行しました。日経平均の上昇幅は一時400円を超えましたが、その後は戻り待ちの売りが相場の上値を抑える展開となりました。米金融政策やウクライナ問題など不安材料が多く、積極的に上値を追いにくい環境が続いています。日経平均は小幅に3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-14.5%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-5.5%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線の下にありますが、9日線の上にあり、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドも赤信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.0ポイントとマイナスに転換し、日経平均が540円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が5.8ポイント(日経平均換算で1570円)割安となっています

 

日経VI24.34VIX24.83と、日米国市場のボラティリティーはほぼ同水準で、改善傾向にあります。NYDowに対する日経平均の弱さは拡大しました。両指数とも25を下回り、投資家の不安心理は和らいでいますが、引き続き高い状態です。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.3、米国-3.3と日本が4.0ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.92ポイント(日経平均換算で3800円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率6.9%増で、市場予想を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、今のところ好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.9万人増で、市場予想の40万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で、先月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の新築住宅販売件数、12月の住宅着工件数は予想を上回りました。また、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想と一致しました。一方、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、126 0.2775 127 0.2990 128 0.3165と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.4PBR1.22となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+35.2%で、こちらは3か月前より2.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.3%となり、日経平均の割安幅は450650円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-730円から+90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.62ポイントから1.60ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化していますが、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

21日の米国市場では、1月のISM製造業景況指数のほか、アルファベット、ギリアド・サイエンシズ、GM、エクソン・モービル、スターバックス、ペイパル、AMDUPSなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、オミクロン感染状況や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを100円ほど上回り、下値は想定ラインを350円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在27410円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+500円(現在26870円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率からは、3日連続で売り圧力が弱まったことが見て取れます。日米市場のボラティリティーは低下傾向にあり、投資家の不安心理は高いもののやわらぎつつあります。引き続き、25日線を目指す動きとなりそうです。



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Sunday, January 30, 2022

[2022/01/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

128日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。131日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付くと、午前中は200円安から310円高と上昇に転じ、午後は410円高から230円高の間でもみあって、結局340円高で取引を終えました。日経平均の終値は284円高の27001円で、出来高は13.15億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、やや「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への売り圧力はさらに弱まりました。

 

128日の米国市場では、市場予想を上回る四半期決算を発表したアップルやビザが買われ、指数を押し上げました。また、長期金利の低下を受け、高PERのハイテク株が買い直されました。一方で、市場予想を下回る決算を発表したキャタピラーやシェブロンは売られました。金融引き締めへの警戒感から、景気敏感株の一角も売られました。結局、NYDow4営業日ぶりに反発し、NASDAQも大幅に反発しました。

131日の日本市場では、前週末の株高の反動で戻り待ちの売りが先行しましたが、その後は前週末の米ハイテク株高を受けて半導体関連株などが買われ、相場を押し上げました。また、商船三井の決算が好感され、海運株が買われました。ただ、相場の先行きに対する慎重な見方は根強く、海運株への買いが一巡すると日経平均は伸び悩みました。銀行や保険、陸運など、景気敏感株の一角は売られました。日経平均は続伸し、27000円の節目を回復しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-15.6%と前週末よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-5.9%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.8ポイントと前週末よりプラス幅を縮め、日経平均が220円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの比較では、日経平均が5.1ポイント(日経平均換算で1380円)割安となっています

 

日経VI25.22VIX27.66と、米国市場のボラティリティーのほうが高い状態ですが、NYDowに対する日経平均の弱さは拡大しました。両指数とも低下傾向にありますが、25を上回っており、投資家の不安心理は引き続き高い状態です。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.3、米国-3.3と日本が4.0ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.96ポイント(日経平均換算で3940円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率6.9%増で、市場予想を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、今のところ好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.9万人増で、市場予想の40万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で、先月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の新築住宅販売件数、12月の住宅着工件数は予想を上回りました。また、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想と一致しました。一方、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、126 0.2775 127 0.2990 128 0.3165と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.3PBR1.22となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+35.1%で、こちらは3か月前より1.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均の割安幅は370450円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-730円から+90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.66ポイントから1.62ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化していますが、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

131日の米国市場では、1月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、オミクロン感染状況や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを40円ほど上回り、下値は想定ラインを180円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在27400円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+300円(現在26760円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率からは、2日連続で売り圧力が弱まったことが見て取れます。日米市場のボラティリティーは25を上回っており、投資家の不安心理は高い状態ですが、低下傾向にあります。ここからは、25日線を目指す動きとなりそうです。



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Saturday, January 29, 2022

[2022/01/30]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、FOMCで金融引き締めに想定以上に積極的な方針が示されて、週前半は大きく下落したものの、主力株の好決算発表で、株価指数は結局上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.34%, NASAQ:+0.01%, S&P500:+0.77%.

 

一方、中長期的には、エネルギー・コスト、生産・供給コスト上昇によるインフレ加速懸念と、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、サプライチェーン混乱などによる世界経済の減速懸念もあります。このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東、ウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.98ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER19.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.3との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.98ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.2程度になるか、又は、日経平均が30710円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3990円ほど割安です。

ファンダメンタルで見れば、日本市場は3990円分魅力に欠ける状態であるとも言えます。

米国市場のEPSが増加し、日本市場の相対的な弱さが増しました。

 

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYDow200日線の上戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.2%となりました。3ヶ月前に比べて同水準です。また、利益伸び率は+35.1%3ヶ月前に比べて1.6ポイント改善しています。

  米国の長期金利が上昇し、日米間の金利差は1.63から1.61と縮小したものの、ドル円は113円から115円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+1.65%上昇しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率予測が公開されて、日本が+1.8%で、米国は+4.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.1ポイント劣ります。

  1月第3週は売り越しで、1月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.2ポイント(日経平均に勘算すると50円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に6.1ポイント(日経平均に勘算する1630円程度)割安です。

週間では米国市場に対する日本市場の弱さが増しました。米国市場と日本市場のべボラティリティーは同水準に変化しました。日米市場ともボラティリティー・インデックスは2730を下回りました。投資家の不安心理は週末にかけて、少し改善されました。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-18.9%となり先週と比較してマイナス幅は拡大しました。200日移動平均線との乖離率は-6.9%で、マイナス幅は拡大しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"赤信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線と9日線の下にあります。短期トレンドには、"赤信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、200日線、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQは、200日線、25日線と9日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。

短期的には黄信号で、中期的には赤信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東やウクライナ、東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国政府による大規模の経済対策があげられます。また、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債と12兆円までのETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府による経済対策があります。さらに、EUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の継続などが揚げられます。ただ、ECBFRB債券購入の減額を決め、利上げ時期を探っています。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期下降トレンドで、短期も下降トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向に反転しています。今週は114円台から116台が想定されます。

 

今週は、米国の雇用統計と製造業景気指数、ユーロ圏のGDPとインフレ率など、主要な経済データが発表される予定です。その他、英国、オーストラリア、ユーロ圏の中央銀行が金融政策を決定し、OPEC+会合では3月からの原油の生産計画に対する指針が示されると予想されます。また、GM、アルファベット、メタ、アマゾン、フォードが四半期決算を発表する予定です。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを320円ほど下回り、下値は想定ラインを30円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線(現在28190円近辺)で、下値がボリンジャーバンド -2σ(現在25580円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、下降中の25日線までのリバウンドが期待されます。


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Thursday, January 27, 2022

[2022/01/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

127日、NYDowNASDAQは下落しました。128日の日経平均先物は、前日比330円高で寄り付くと、午前中は50円高から550円高と上昇幅を拡げ、午後は550円高から410円高の間でもみあって、結局490円高で取引を終えました。日経平均の終値は547円高の26717円で、出来高は13.30億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への売り圧力は弱まりました。

 

127日の米国市場では、金融政策の先行き不透明感が意識され、不安定な相場展開が続きました。午前中は長期金利の低下を受けて高PERのハイテク銘柄に買いが向かい、NYDow600ドル強上昇しましたが、午後にかけては急速に伸び悩みました。結局、NYDowは小幅に3日続落し、NASDAQは反落しました。

128日の日本市場では、前日までの急速な株安の反動で、自律反発狙いの買いが優勢となりました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に推移したことや、米株価指数先物が堅調に推移したことなども追い風となりました。日経平均は4日ぶりに大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-18.9%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-6.9%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.6ポイントとプラスに転換し、日経平均が690円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの比較では、日経平均が4.5ポイント(日経平均換算で1200円)割安となっています

 

日経VI27.06VIX30.49と、米国市場のボラティリティーのほうが高い状態です。NYDowに対する日経平均の弱さは改善されました。VIX30を上回っており、投資家の不安心理は引き続き非常に高い状態です。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.4、米国-3.2と日本が4.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.13ポイント(日経平均換算で4690円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率6.9%増で、市場予想を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、今のところ好調な企業が目立ちます。

 

経済指標を見てみます。

1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の耐久財受注、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.9万人増で、市場予想の40万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で、先月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の新築住宅販売件数、12月の住宅着工件数は予想を上回りました。また、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想と一致しました。一方、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ時期が早まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、124 0.2671 125 0.2675 126 0.2775と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.3PBR1.21となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+35.5%で、こちらは3か月前より1.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.3%となり、日経平均の割安幅は730370円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-730円から+650円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.70ポイントから1.66ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化していますが、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

128日の米国市場では、12月の個人消費支出・個人所得のほか、キャタピラーやシェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、オミクロン感染状況や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを410円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在27190円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在26480円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率からは、売り圧力が弱まったことが見て取れます。日本市場のボラティリティーは30を下回ったものの、米国市場のボラティリティーは30を上回っており、投資家の不安心理は依然として非常に高い状態です。ここからは、下降中のボリンジャーバンド-2σを抵抗ラインとして意識した動きとなりそうです。



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