日経平均の予想: [2022/01/26]今後の日経平均の見通し

Tuesday, January 25, 2022

[2022/01/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

125日、NYDowNASDAQは下落しました。126日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は130円高から220円安と下落に転じ、午後は110円安から60円高の間で上下して、結局50円安で取引を終えました。日経平均の終値は120円安の27011円で、出来高は10.33億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への売り圧力は弱まりました。

 

125日の米国市場では、FOMCの結果発表を控え、金融引き締めに積極的な姿勢が示されるのではないか、との警戒感強まり、売りが優勢となりました。わけても、金利が上昇すると売られやすいハイテク株の下げが目立ちました。また、ウクライナ情勢の緊迫化も投資家心理の重石となりました。NYDowNASDAQは反落しました。

126日の日本市場では、前日の米ハイテク株安を受けて値がさの主力株が売られ、相場全体を押し下げました。ただ、売り一巡後は、直近まで下げが目立った銘柄に買い戻しが入り、相場の支えとなりました。もっとも、FOMCの結果発表を前に手控えムードも強く、買いの勢いは続きませんでした。日経平均は続落し、昨年来安値を更新しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-16.5%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-6.0%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.7ポイント拡大して+2.3となり、日経平均が620円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの比較では、日経平均が4.0ポイント(日経平均換算で1080円)割安となっています

 

日経VI27.61VIX31.16と、米国市場のボラティリティーのほうが高い状態ですが、NYDowに対する日経平均の弱さはやや拡大しました。VIX30を上回り、投資家の不安心理は非常に高い状態となりました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.4、米国-3.2と日本が4.2ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+1.8、米国が+4.9)3.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.08ポイント(日経平均換算で4550円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の79月期のGDP確報値は前期比年率2.3%増で、改定値の2.1%増から上方修正されました。また、79月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、11月の製造業受注、11月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、12月のISM非製造業景況指数、12月のISM製造業景況指数、11月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面から見て中立材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比19.9万人増で、市場予想の40万人増を下回りました。一方、失業率は3.9%で、先月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の住宅着工件数は予想を上回りました。一方、12月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数、11月の中古住宅販売仮契約指数、11月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+18.3%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ時期が遅くなるという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末までに3回利上げすると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末まで18500億ユーロ」に拡大しました。ただ、224月以降の資産購入額は現在の半分以下に減少する見込みです。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、120 0.2588 121 0.2577 124 0.2671と上昇傾向にあり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.3PBR1.21となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+35.5%で、こちらは3か月前より1.5ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.3%で、日経平均のほうが90円ほど割高となっています。プレミアム値は、ここ一週間、+90円から+650円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.63ポイントから1.64ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に下降トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化していますが、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続していますが、202112月の理事会で、新型コロナウイルス対応で実施している追加の債券購入を20223月で終了することを決定しました。

 

126日の米国市場では、FOMCの結果公表およびパウエルFRB議長の会見や、12月の新築住宅販売件数のほか、インテル、テスラ、ボーイングなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、オミクロン感染状況や原油価格、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、ほぼ想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを230円ほど下回り、下値は想定ラインを40円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ-300円(現在27410円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-200円(現在26900円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率からは、売り圧力が弱まったことが見て取れます。27000円の抵抗ライン近辺で買い戻しが入ったことが原因と考えられます。ただ、日本市場のボラティリティーは25を上回っており、投資家の不安心理は高い状態が続いています。引き続き、下降中のボリンジャーバンド-2σラインを挟んだ動きとなりそうです。



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