[市況]
5月22日、NYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。5月23日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は20円高から360円高の間で上下し、午後は250円高から90円高の間でもみあって、結局、170円高で取引を終えました。日経平均の終値は174円高の37160円で、出来高は15.78億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を4日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
5月22日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことや、5月の購買担当者景気指数(PMI)速報値が製造業・サービス業の双方で改善されたことなどを受け、主力株に見直し買いが入りました。ただ、下院がトランプ減税の恒久化を含む減税法案を可決したことから、長期金利の先高観が意識され、取引終盤には急速に売りがかさみました。結局、NYDowは小幅に3日続落し、NASDAQは3営業日ぶりに反発しました。
5月23日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受けて半導体関連株に買いが向かい、指数を押し上げました。また、ゲーム関連や原子力発電関連など、個別に材料の出た銘柄が物色されました。米長期金利の上昇一服を受けて国内長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が和らいだことも追い風となりました。ただ、日米財務相会談を前に持ち高調整の売りも出て、相場の上値を抑えました。日経平均は3日ぶりに反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+1.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は-1.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。
NYDowは、25日線の上にありますが、9日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1520円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-0.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が150円ほど割安であることを示しています。
日経VIは24.23と前日より低下し、VIXも20.10と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.0と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.88ポイント(日経平均換算で54560円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.34、PBRが1.40となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-3.7%で、こちらは3か月前より6.9ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%で、日経平均の割安幅は250円から60円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-970円~-60円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.02ポイントから2.98ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。
5月23日の米国市場では、4月の新築住宅販売件数などが注目されるでしょう。引き続き、貿易をめぐる米政権の動向や、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを40円ほど下回り、下値は想定ラインを530円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在37520円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在36680円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は反発しましたが、勢いは伴っていません。引き続き、上昇中の25日線(現在36378円)まで下落するかどうかが、目先の注目点です。
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