[市況]
5月27日、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。5月28日の日経平均先物は、前日比400円高で寄り付くと、午前中は470円高から90円高と上昇幅を縮め、午後は200円高から120円安と下落に転じて、結局、120円安で取引を終えました。日経平均の終値は1円安の37722円で、出来高は18.04億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
5月27日の米国市場では、トランプ大統領がフォンデアライエン欧州委員長との電話会談のあと、6月1日に予定していたEUに対する追加関税の発動を延期すると表明したことから、貿易摩擦への過度な懸念が後退し、買い戻しの動きが優勢となりました。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことも投資家心理を支えました。結局、NYDowは5営業日ぶりに反発し、NASDAQも反発しました。
5月28日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株が買われた流れを受けて値がさの半導体関連株が買われ、指数を押し上げました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に推移したことも好感されました。しかし、買い一巡後は戻り待ちの売りや利益確定の売りが出て相場の上値を抑えました。財務省が実施した40年物国債の入札が「低調」と伝わり、長期金利が上昇したことも重石となりました。結局、日経平均は小幅ながら4営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+4.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は-0.2%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.0ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1510円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が40円ほど割高であることを示しています。
日経VIは23.36と前日より低下し、VIXも18.96と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.1と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.78ポイント(日経平均換算で53740円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、4月の小売売上高、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、3月の製造業受注、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、4月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.07%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.56、PBRが1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-4.2%で、こちらは3か月前より6.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は810円の割高から210円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-250円~+810円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.01ポイントから2.97ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
5月28日の米国市場では、FOMC議事録のほか、エヌビディアやセールスフォース、HPなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税をめぐる米政権の動向や長期金利の推移も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを50円ほど上回り、下値は想定ラインを430円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在38030円近辺)が上値の目安に、25日線+400円(現在37180円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は4日ぶりに小幅反落しました。日足は陰線となったものの、まだ、ボリンジャーバンド+2σ(現在39075円)を目指す動きに戻る可能性はありそうです。
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