日経平均の予想: [2025/05/12]今後の日経平均の見通し

Monday, May 12, 2025

[2025/05/12]今後の日経平均の見通し

[市況]

59日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。512日の日経平均先物は、前日比240円高で寄り付くと、午前中は320円高から10円安と下落に転じ、午後は80円安から190円高とプラス圏に戻して、結局、180円高で取引を終えました。日経平均の終値は140円高の37644円で、出来高は21.52億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

59日の米国市場では、貿易交渉の進展期待を背景に、NYDowがおよそ1か月ぶりの高値を付けた翌日とあって、主力株の一角に利益確定の売りが出ました。米中の貿易協議が始まるのを前に、持ち高調整の売りも出ました。NYDow3日ぶりに反落しました。一方、テスラの上昇が支えとなり、NASDAQは小幅ながら3日続伸しました。

512日の日本市場では、関税をめぐる米中の閣僚級協議を終え、両国間の緊張が緩和するとの観測から、景気敏感株を中心に買いが優勢となりました。ただ、近く公表される協議の詳細を見極めたいとの思惑から、買いの勢いは限定的でした。トランプ大統領が薬価の大幅な引き下げに言及したことを受け、医薬品株には売りがかさみました。日経平均は3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+8.7%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は-0.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQも、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.7ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が640円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が680円ほど割高であることを示しています

 

日経VI23.95と前日より低下し、VIX19.83と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.3と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.62ポイント(日経平均換算で49000円)割安となっています。

 

市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、13月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.61PBR1.39となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.6%で、こちらは3か月前より5.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.9%となり、日経平均の割高幅は700円から670円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+670円~+1320円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.01ポイントから3.04ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

512日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、貿易をめぐるトランプ政権の動向や、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを290円ほど下回り、下値は想定ラインを420円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在38010円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+500円(現在37000円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は3日続伸しました。引き続き、200日線(現在37916円)を上回れるかどうかが、目先の注目点です。



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