[市況]
5月13日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。5月14日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付くと、午前中は200円高から320円安と下落に転じ、午後は340円安から30円安と下落幅を縮めて、結局、60円安で取引を終えました。日経平均の終値は55円安の38128円で、出来高は22.61億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
5月13日の米国市場では、医療費の想定以上の増加によって収益見通しの撤回を余儀なくされたユナイテッドヘルス・グループが大幅安となり、指数を押し下げました。一方、サウジアラビア政府系ファンド傘下のAI関連企業との提携を発表したエヌビディアなど、主力株の一角には買いが入りました。NYDowは反落し、NASDAQは5日続伸しました。
5月14日の日本市場では、前日に日経平均が心理的節目の3万8000円を回復したとあって、利益確定の売りや戻り待ちの売りが優勢となりました。外国為替市場で円相場が対ドルで強含んだことも重石となりました。一方、前日の米ハイテク株高を受けてアドバンテストやソフトバンクグループなど指数寄与度の高い銘柄が買われ、指数を下支えしました。日経平均は5営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+11.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.6%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線と25日線の上にありますが、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1070円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+1.0ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が380円ほど割高であることを示しています。
日経VIは21.64と前日より低下し、VIXも18.22と前日より低下しました。日経VIは、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.8、米国-0.3と日本が4.5ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.46ポイント(日経平均換算で47190円)割安となっています。
市場は現在、「米関税政策が世界経済に与える影響」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP速報値は前期比年率0.3%減で、市場予想の0.2%減を下回りました。一方、1~3月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月のISM非製造業景況指数、4月のISM製造業景況指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、4月の消費者物価指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比17.7万人増で、市場予想の13.8万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.2%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、5月の金融政策決定会合でも0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが16.00、PBRが1.40となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.7%となり、これは3か月前より0.4ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-0.1%で、こちらは3か月前より6.5ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均の割安幅は380円から90円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-380円~+1050円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.03ポイントから3.03ポイントと横ばいでした、ドル円相場は緩やかに円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
5月14日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。シスコ・システムズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、貿易をめぐるトランプ政権の動向や、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-500円(現在38340円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在37310円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を上回る高水準にあります。また、信用の売り圧力は、やや強まりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。200日線(現在37885円)を下回らずに推移できるかどうかが、目先の注目点です。
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