日経平均の予想: August 2014

Sunday, August 31, 2014

[2014/09/01]今後の日経平均の見通し

[市況]
29
日のNYDowNASDAQは上昇しました。1日の日経平均先物は、40円高で寄り付き、午前中は20円高から50円高の範囲でもみ合う動きでした。午後も膠着相場が続き、結局60円高で取引を終わりました。日経平均の終値は52円高の15476円で、出来高は18.12株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は100万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が拡大しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です
29
日の米国市場では、8月のシカゴ購買部協会景気指数や8月のミシガン大学消費者信頼感指数が予想以上となり、買いが優勢となりましたが、3連休を控えて買いの勢いは限定的でした。
1日の日本市場では、週末の米国市場高や為替の円安推移を受けて買いが先行しました。ただ、内閣改造や日銀の金融政策決定会合、ECB理事会や米雇用統計の発表などを控えて、様子見ムードが強まり膠着した相場でした。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は+5.4%でプラス幅は拡大しました。200日線との乖離率は+2.9%でプラス幅は拡大しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅が0.2ポイント拡大して、中長期的には日本市場が5.2ポイント(日経平均で800円程度)割安(弱い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2015年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.3ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.54イント(日経平均で1360円程度)割安です
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の4-6月期のGDP改定値は4.2%となり速報値の4.0%を上回りました。4-6月期の米主要企業の決算発表内容は概ね良好な内容です。
経済指標では、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の鉱工業生産指数、6月の製造業受注、7月のISM非製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りましたが、8月のNY連銀製造業景気指数、7月の小売売上高は予想以下でした。
7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の23万人増を下回りました。また、失業率は先月の6.1%から6.2%に悪化しました。
一方、住宅関連では、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売件数は予想以下でした。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で-0.2%と下落し、市場予想の0%を下回りました。連続上昇は27ヶ月でストップして改善傾向は一服しています。
目先の経済指標は予想を上回るものが増え、景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスは崩れていないようです。ただ、EUの景気後退が顕著で世界経済全体の先行き不透明感は残っています。
ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は十分に低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は今のところ無くなっています。ただ、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされ、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBは従来のガイダンスを止めてゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針に変更しましたECBは政策金利の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入金利をマイナスにする政策の導入を決定し、一段の金融緩和に踏み込みました。日銀は昨年1月に2%のインフレ目標設定とマネタリーベースが、年間約6070兆円に相当するペースで増加するよう調整するとの立場を継続し、追加緩和にも含みを持たせていますので、ドルは円に対して高くなり易い環境に変化はありません。ただ、目先は米長期金利が低下傾向を続けており、円安になりづらい面があります。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は0827 0.2346% 0828 0.2336% 0829 0.2336%となっています。5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、5月からは上昇傾向です。2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ3年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.9で、PBR1.28となっています。4-6月期の決算発表に伴い、ROE8.6%となっていますが、前四半期と変わりません。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇に連動して上げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.5%となり、日経平均は390円の割安で、割安幅がやや縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-470円 ~-260円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きがやや減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルにも割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.86と拡大し、ドル円は、やや円安方向の動きでした。直近の米国長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。
ファンダメンタル面では、ポルトガルの大手銀の財務問題や、中東情勢緊迫やウクライナ情勢の世界市場への影響はどうなるか、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?などが、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇ぎみながら低水準で推移しています。これは、最近の地政学リスクの高まりは当面信用不安に繋がる気配はなく、先進国の金融不安は当面回避されていることを示しています。ただ、上海銀行間取引金利の目先は上昇傾向です。中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題と不動産バブル崩壊に注意が必要です。また、世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の住宅指標の改善が顕著となりました。また、雇用とその他の経済指標は改善傾向との基本認識も崩れていません。FRBは米景気を改善傾向と判断し、短期金利の超低金利政策を当面継続するものの、量的緩和の縮小を続けるようです。ただ、米国の長期金利の低下傾向が続いていることから景気回復が本物とは云えない面があります。ただ、ここにきて、ドル円は直近高値を更新し円安方向に向かい始めたようです。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利導入など一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、1日の米国市場は休場です。

今日の日経平均は、想定した範囲内の動きとなり、上値は想定ライン近辺となりましたが、下値は150円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ円(現在15600円近辺)で、下値が25日線(現在15400円近辺)の間での動きが想定されます


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Saturday, August 30, 2014

[2014/08/31]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、ウクライナの地政学的リスクが意識されたものの好調な経済指標の発表が続き週間では上昇しました。一方、中長期的には、中東やウクライナ情勢の地政学的リスク、FRBによる金融緩和縮小による新興国市場の下落と信用収縮懸念、中国の景気減速とシャドーバンキング問題などに引き続き注意が必要ですが、米国の景気回復は続きそうです。
2015年の実質GDP伸率考慮後の日米市場のイールド・スプレッドの差は、2015年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.56ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。これは、今の日経平均の価格には、2015年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ0.6%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER16.2程度になる(日経平均が16840円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できます。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大、
OECDによる日本の2015GDP予測値(現在+1.2%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。米国市場は中長期的に青信号で、短期的にも青信号が点灯しています。今週は、8月のISM製造業景況指数、ECB定例理事会、8月雇用統計などが株式相場に影響しそうです。NYDow 25日線の上で推移出来るか否かに注目する必要があります。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は4-6月期の決算発表に伴い前年比+1.5%前後の伸びとなっています。また、ROE予想値は8.6%と伸び率は前四半期に比べて変化はありません。
   日米の長期金利は上昇し、日米の金利差は1.90%から1.86%と縮小する動きとなりましたが、為替は103円台から104円台で円安方向の動きでした。今週は104円台から103円台の動きが想定されます。
   OECDによる日米の2015年の実質GDP伸び率は日本が+1.2%で、米国は+3.5%と予想されていますので、この面では日本市場の方が2.3ポイント劣ります。
   83週は買い越しで、84週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうちが①は強気材料とはならず、消費税増税後の景気の戻りの鈍さが弱気材料でした。今週は、①③と日本の景況感が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、5.5ポイント(日経平均に勘算すると850円程度)割安となりました。先週比割安幅が1.6ポイント拡がりました。日本市場は米国市場に比べ中長期的に割安です。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+4.6%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+2.6%となりプラス幅が縮小しました。3つの要素がプラスですので中期トレンドは、青信号"が点灯しています。日経平均は25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。
米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。短期的には青信号"で、中期的にも青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると、資源高、住宅市況の低迷、米国の景気減速懸念、米国の金融緩和の終了による中国など新興国の景気減速などは後退しているものの、欧州の景気後退、中東やウクライナの地政学的リスクがリスク要因です。また、中国の不動産価格下落とシャドーバンキング問題も残っています。好材料としては米国の長期金利の低下、日銀による2%のインフレターゲットの設定と異次元の強力な金融緩和継続及び追加金融緩和余地、ECBのマイナス金利導入と金利引き下げなど一段の金融緩和措置が挙げられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いで
目先の日本市場の状況を分析すると、日米長期金利差は縮小しているものの、為替は週間では円安方向の動きとなりました。日本市場は短期的に、米国市場に比べて、弱い動きが続いています。ここからは、日経平均が25日線の上で推移出来るか否かを注目する必要がありますが、25日線は30円ほど下です。

先週の日経平均は、ほぼ想定レンジ内の動きとなりました。上値は想定ラインを140円ほど下回りましたが、下値は想定ライン近辺となりました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在15600円近辺)で、値がボリンジャーバンド-1σ(現在15200円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, August 29, 2014

[2014/08/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
28
日のNYDowNASDAQは下落しました。29日の日経平均先物は、60円安で寄り付き、午前中は20円安から120円安の範囲で下げ幅を拡げる動きでした。午後は20円安まで戻す場面がありましたが、結局50円安で取引を終わりました。日経平均の終値は35円安の15424円で、出来高は20.59株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は200万株の買い越しで、高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差はプラス幅が縮小しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です
28
日の米国市場では、ロシアの部隊がウクライナ東部に侵入したと伝わったことで売りが優勢になりました。ただ、4-6月期の実質GDP改定値が速報値から上方修正されたことや週間の新規失業保険申請件数が減少したことで、下げ渋りました。
29日の日本市場では、米国市場安を受けて売りが先行しました。その後は先物主導で日経平均の下げ幅は100円を超える場面もありましたが、円高が一服すると買い戻しが入り、日経平均は下げ幅を縮めて引けました。

[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の上に在りますが、9日線の下に在ります。短期トレンドは黄信号が点灯しています。総合乖離率は+4.6%でプラス幅は縮小しました。200日線との乖離率は+2.6%でプラス幅は縮小しました。日経平均は一目均衡表の雲の上に在ります。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは青信号が点灯しています。
また、ドル・ベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下に在ります。
NYDowは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表では雲の上に在ります。米国市場の短期トレンドは青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号が点灯しています。
日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)は、割安幅が0.2ポイント縮小して、中長期的には日本市場が5.0ポイント(日経平均で770円程度)割安(弱い動き)となっています。

[
ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2015年予想実質GDP伸び率の日米差(-2.3ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ 0.53イント(日経平均で1330円程度)割安です
市場は現在、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「世界の景気と金・穀物・原油価格の動き」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米金融緩和縮小に伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。
米国の4-6月期のGDP改定値は4.2%となり速報値の4.0%を上回りました。4-6月期の米主要企業の決算発表内容は概ね良好な内容です。
経済指標では、7月の耐久財受注、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の鉱工業生産指数、6月の製造業受注、7月のISM非製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りましたが、8月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値、8月のNY連銀製造業景気指数、7月の小売売上高、7月のシカゴ購買部協会景気指数は予想以下でした。
7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の23万人増を下回りました。また、失業率は先月の6.1%から6.2%に悪化しました。
一方、住宅関連では、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は予想以上でしたが、7月の新築住宅販売件数は予想以下でした。6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前月比で-0.2%と下落し、市場予想の0%を下回りました。連続上昇は27ヶ月でストップして改善傾向は一服しています。
目先の経済指標は予想を上回るものが増え、景気、雇用の回復は続いているとのコンセンサスは崩れていないようです。ただ、EUの景気後退が顕著で世界経済全体の先行き不透明感は残っています。
ギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインなど欧州各国の財政赤字国の国債金利は十分に低い水準となり、金融システム不安再燃への懸念は今のところ無くなっています。ただ、G20での2013年に財政赤字半減との目標は2016年まで棚上げされ、需要不足からの世界景気の後退リスクが背景に有り、先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうです。長期金利への影響やEUのデフレが懸念されます。
欧米日の金融政策を分析すると、FRBは従来のガイダンスを止めてゼロ金利解除を検討する際の条件に関しては、労働市場やインフレ圧力など「幅広い指標を考慮する」との方針に変更しましたECBは政策金利の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入金利をマイナスにする政策の導入を決定し、一段の金融緩和に踏み込みました。日銀は昨年1月に2%のインフレ目標設定とマネタリーベースが、年間約6070兆円に相当するペースで増加するよう調整するとの立場を継続し、追加緩和にも含みを持たせていますので、ドルは円に対して高くなり易い環境に変化はありません。ただ、目先は米長期金利が低下傾向を続けており、円安になりづらい面があります。
金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利のここ3日の推移は0826 0.2381% 0827 0.2346% 0828 0.2336%となっています。5月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、5月からは上昇傾向です。2010年のギリシャ財政危機直前の20110503日の0.346%を下回っていますので、金融システム危機懸念は後退していることを示しています。ここ3年の最高金利は201215日の0.5825%でした。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.8で、PBR1.28となっています。4-6月期の決算発表に伴い、ROE8.6%となっていますが、前四半期と変わりません。

[
今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落に連動して下げました。その結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.6%となり、日経平均は400円の割安で、割安幅がやや縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-470円 ~-220円の間で推移しています。日本市場は、短期的にドル・ベースでは米国市場に比べ、弱い動きが続いていますが、今日は弱い動きがやや減速しました。
一方、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、テクニカルには割安で、ファンダメンタルにも割安です。
日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。今日の長期金利差は1.85と縮小し、ドル円は、やや円高方向の動きでした。直近の米国長期金利は低下し、円高圧力が強まりつつあります。
テクニカルから見て、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。一方、日経平均は中期上昇トレンドで、短期はもみ合いです。
ファンダメンタル面では、ポルトガルの大手銀の財務問題や、中東情勢緊迫やウクライナ情勢の世界市場への影響はどうなるか、米金融緩和縮小は新興国経済にどの程度影響するか、中国の不動産バブル崩壊はあるのか、新たな金融危機を誘発するか、その時期はいつか?などが、今後もリスク・シナリオとなりそうです。
目先の状況を分析すると、LIBOR銀行間金利は目先上昇ぎみながら低水準で推移しています。これは、最近の地政学リスクの高まりは当面信用不安に繋がる気配はなく、先進国の金融不安は当面回避されていることを示しています。ただ、上海銀行間取引金利の目先は上昇傾向です。中国の不動産価格は下落傾向で、引き続きシャドーバンキング問題と不動産バブル崩壊に注意が必要です。また、世界景気の減速懸念は払拭されない中、米国市場では、目先の住宅指標の改善が顕著となりました。また、雇用とその他の経済指標は改善傾向との基本認識も崩れていません。FRBは米景気を改善傾向と判断し、短期金利の超低金利政策を当面継続するものの、量的緩和の縮小を続けるようです。ただ、米国の長期金利の低下傾向が続いていることから景気回復が本物とは云えない面があります。ただ、ここにきて、ドル円は直近高値を更新し円安方向に向かい始めたようです。一方、欧州市場では景気が低迷しており、ECBがマイナス金利導入など一段の金融緩和に踏み切りました。ユーロ安の主な原因と考えられます。このような相場環境の中、29日の米国市場では8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数改定値が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定した範囲内の動きとなり、上値は想定ラインを100円ほど下回りましたが、下値はほぼ想定ラインに一致しました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ-100(現在15500円近辺)で、下値が25日線-100(現在15300円近辺)の間での動きが想定されます


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