日経平均の予想: June 2023

Friday, June 30, 2023

[2023/06/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

629日、NYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。630日の日経平均先物は、前日比110円安で寄り付くと、午前中は280円安から40円安の間で上下し、午後は230円安から40円高と上昇に転じて、結局、10円高で取引を終了しました。日経平均の終値は45円安の33189円で、出来高は15.97億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱い状態です。

 

629日の米国市場では、「主要23行は不況時でも健全な自己資本を持つ」との銀行ストレステストの結果を受け、銀行株が買われました。13月期のGDP確定値が改定値から上方修正されたことや、週間の新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことも好感されました。一方、ハイテク株とディフェンシブ株の一部には売りが出ました。結局、NYDowは反発し、NASDAQは小幅に反落しました。

630日の日本市場では、機関投資家などによる月末のリバランス(資金の再配分)や、7月上旬のETF分配金捻出に伴う売りなどが警戒され、売りが優勢となりました。米長期金利の上昇を受けて値がさのハイテク株が売られたことも重石となりました。ただ、日本株の先高観は根強く、午後は押し目買いが入って相場を支えました。日経平均は3日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+30.0%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+17.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.5ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が170円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+14.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が4850円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.11と低下し、VIX13.54と上昇しました。両指数ともに、不安心理の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.2、米国1.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.43ポイント(日経平均換算で69560円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率2.0%増で、改定値の1.3%増から上方修正されました。また、13月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増で、市場予想の19.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、前月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の新築住宅販売件数数、5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、626 5.5210% 627 5.5287% 628 5.5378%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023612日に記録した5.5574%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.27PBR1.37となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+2.0%で、こちらは3か月前より0.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.8%となり、日経平均の割安幅は240円から280円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-480円から-230円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.37ポイントから3.47ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

630日の米国市場では、5月の個人所得・個人消費支出や、6月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを280円ほど下回り、下値は想定ラインを60円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在33510円近辺)が上値の目安に、25日線+200円(現在32760円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日本市場のボラティリティーは低下し、売り圧力もやや弱い状態です。きょうの日経平均は月末要因で売られましたが、下げ渋って終えました。月初は上昇しやすいこともあり、上昇余地はまだありそうです。



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Thursday, June 29, 2023

[2023/06/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

628日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。629日の日経平均先物は、前日比170円高で寄り付くと、午前中は100円高から380円高の間で上下し、午後は30円高から240円高の間で上下して、結局、40円高で取引を終了しました。日経平均の終値は40円高の33234円で、出来高は16.87億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

628日の米国市場では、ECBフォーラムにおけるパウエルFRB議長の発言がタカ派的と受け止められ、高インフレや利上げ継続への警戒感が強まり、消費関連株やディフェンシブ株が売られました。一方、長期金利の低下を受け、高PERのハイテク株の一角が買われました。結局、NYDowは反落し、NASDAQは続伸しました。

629日の日本市場では、前日の米ハイテク株高を受け、値がさの半導体関連株などが買われ、指数を押し上げました。為替の円安ドル高基調も追い風となりました。ただ、日経平均は前日に600円超上昇しており、高値警戒感から利益確定の売りもかさみました。大引け直前には下げに転じる場面もありましたが、結局、日経平均は続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+31.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+17.5%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.6ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が200円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+14.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が4920円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.71と低下し、VIX13.43と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.2、米国1.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.41ポイント(日経平均換算で69260円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増で、市場予想の19.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、前月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の新築住宅販売件数数、5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で、8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、623 5.5441% 626 5.5210% 627 5.5287%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023612日に記録した5.5574%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.33PBR1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+1.9%で、こちらは3か月前より0.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は230円から240円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-550円から-230円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.38ポイントから3.37ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

629日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、13月期のGDP確報値、5月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ナイキなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを40円ほど下回り、下値は想定ラインを310円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在33470円近辺)が上値の目安に、25日線+300円(現在32770円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

ボラティリティーは低下し、売り圧力もかなり弱まりました。きょうの日経平均は午後に利食い売りに押されましたが、出来高を伴ってプラス圏で終えたので、上昇余地はまだありそうです。



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Wednesday, June 28, 2023

[2023/06/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

627日、NYDowNASDAQは上昇しました。628日の日経平均先物は、前日比110円高で寄り付くと、午前中は20円高から380円高と上昇幅を拡げ、午後は330円高から570円高と上昇幅を拡げて、結局、570円高で取引を終了しました。日経平均の終値は655円高の33193円で、出来高は14.00億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を4日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は弱まりました。

 

627日の米国市場では、5月の耐久財受注や6月の消費者信頼感指数、5月の新築住宅販売件数など、同日に発表された経済指標が軒並み市場予想を上回ったことから、景気悪化への懸念が和らぎ、景気敏感株や消費関連株を中心に買いが優勢となりました。前日に下げが目立ったハイテク株も買い直されました。NYDow7営業日ぶりに反発し、NASDAQ3営業日ぶりに反発しました。

628日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、幅広い銘柄で買いが優勢となりました。日経平均は前日までの4日続落で1000円ほど下げており、押し目買いも入りやすい環境でした。また、足元の円安基調も支えとなりました。日経平均は5営業日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。

総合乖離率は+31.4%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+16.7%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.8ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が270円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+14.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が4810円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.20と上昇し、VIX13.74と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.2、米国1.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.43ポイント(日経平均換算で69840円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増で、市場予想の19.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、前月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の新築住宅販売件数数、5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.7%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、622 5.5418% 623 5.5441% 626 5.5210%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023612日に記録した5.5574%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.30PBR1.38となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+2.0%で、こちらは3か月前より1.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.7%となり、日経平均の割安幅は480円から230円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-550円から+320円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.38ポイントから3.38ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

628日の米国市場では、FRBよる銀行ストレステストの結果公表のほか、マイクロン・テクノロジーやゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを280円ほど上回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在33520円近辺)が上値の目安に、25日線+400円(現在32770円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

25日線が抵抗線となり、日経平均は5営業日ぶりに反発しました。ボラティリティーはまだ高いものの、売り圧力は弱まりました。米国市場次第ですが、しばらくは反発が続きそうです。



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Tuesday, June 27, 2023

[2023/06/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

626日、NYDowNASDAQは下落しました。627日の日経平均先物は、前日比150円安で寄り付くと、午前中は20円安から400円安と下落幅を拡げ、午後は400円安から70円安と下落幅を縮めて、結局、80円安で取引を終了しました。日経平均の終値は160円安の32538円で、出来高は12.27億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強い状態です。

 

626日の米国市場では、利上げ継続観測を背景とした景気悪化懸念から、マイクロソフトやアップルなど、最近の相場上昇を牽引してきたハイテク株の一角に売りが出ました。一方、このところ下げが目立っていた景気敏感株や消費関連株には値ごろ感からの買いが入り、相場を下支えしました。NYDow6日続落し、NASDAQも続落しました。

627日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株の一角が売られた流れが引き継がれ、グロース(成長)株の一角が売られました。月末・四半期末特有の売り要因も、引き続き警戒されました。ただ、下値では押し目買いも入り、後場の日経平均は徐々に下げ幅を縮めました。日経平均は4日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+25.5%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+15.3%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.4ポイントとプラスに転換し、日経平均が130円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+13.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が4260円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.00と低下し、VIX14.25と低下しました。日経VIは、不安心理が高まっているとされる20まで低下しました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.3、米国1.3と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.60ポイント(日経平均換算で71060円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。

 

経済指標を見てみます。

6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、5月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増で、市場予想の19.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、前月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数、4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、621 5.5395% 622 5.5418% 623 5.5441%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023612日に記録した5.5574%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.92PBR1.34となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+1.8%で、こちらは3か月前より1.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.5%となり、日経平均の割安幅は340円から480円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-550円から+690円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.35ポイントから3.38ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

627日の米国市場では、5月の耐久財受注や、4月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、6月の消費者信頼感指数、5月の新築住宅販売件数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを270円ほど下回り、下値は想定ラインを70円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-400円(現在32860円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在32170円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経平均は4日続落しました。ボラティリティーと売り圧力はまだやや強い状態であり、25日線が抵抗線となるかどうか、正念場です。



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