[市況]
6月23日、NYDowとNASDAQは下落しました。6月26日の日経平均先物は、前日比100円安で寄り付くと、午前中は340円安から200円高と上昇に転じ、午後は170円高から50円安と下落に転じて、結局、20円安で取引を終了しました。日経平均の終値は82円安の32698円で、出来高は11.70億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強い状態です。
6月23日の米国市場では、売りが優勢となりました。朝方発表の6月の製造業PMIが46.3と市場予想の49.0を下回ったことに加え、欧州の主要国で発表された6月のPMIが相次いで市場予想を下回ったことが、景気悪化を意識させました。前日に上げていたハイテク株が売られたことも重石となりました。NYDowは5日続落し、NASDAQは反落しました。
6月26日の日本市場では、前週末の米株安を受けて売りが先行しました。朝安後は押し目買いが入って上昇する場面も多くありましたが、値がさの半導体関連株などへの売りが指数を下押ししました。四半期末特有の売り要因や、ロシア情勢をめぐる不透明感も警戒されました。日経平均は3日続落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は+27.6%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+16.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が100円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+13.5ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が4410円ほど割高であることを示しています。
日経VIは20.98と低下し、VIXは14.48と上昇しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前週末比で強さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-6.3、米国1.4と日本が4.9ポイント割安ですが、OECDの2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.4)は0.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.53ポイント(日経平均換算で69300円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、1~3月期の米企業の決算は、おおむね好調でした。
経済指標を見てみます。
6月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の小売売上高、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注は市場予想を上回りました。また、5月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月の鉱工業生産指数、5月のISM非製造業景況指数、4月の製造業受注、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、は市場予想を下回りました。経済指標は7勝5負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比33.9万人増で、市場予想の19.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、前月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数、4月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は5勝1負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。
新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは2023年内にあと2回の利上げをすると市場は予想しています。ECBは、6月の理事会で8会合連続でインフレ抑制に向けた金融引き締めを示唆しました。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、6月21日 5.5395% → 6月22日 5.5418% → 6月23日 5.5441%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年6月12日に記録した5.5574%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.01、PBRが1.35となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+1.7%で、こちらは3か月前より1.0ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.0%となり、日経平均の割安幅は550円から340円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-550円から+690円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.42ポイントから3.35ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安水準でもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。
ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています。
6月26日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲をやや下ぶれしました。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインを20円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在32920円近辺)が上値の目安に、25日線+100円(現在32310円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経平均は3日続落しました。ボラティリティーと売り圧力は、まだやや強い状態です。日経平均はしばらく調整する可能性が高そうです。
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