日経平均の予想: August 2017

Thursday, August 31, 2017

[2017/08/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
30日のNYDowNASDAQは上昇しました。31日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は50円高から150円高と上昇幅を拡げ、午後は110円高から170円高の間でもみあって、結局170円高で取引を終えました。日経平均の終値は139円高の19646で、出来高は14.85億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は10万株の買い越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。

30日の米国市場では、北朝鮮情勢をはじめとする地政学的リスクへの過度な警戒が後退したことや、4-6月期のGDP改定値、ADP雇用統計が市場予想を上回ったことなどが好感され、買いが優勢となりました。
31日の日本市場では、前日の米国市場高を受けて買いが先行し、その後もリスク回避目的で売られていた銘柄を買い戻す動きが続きました。為替が円安ドル高方向に推移したことが好感され、輸出関連株が買われたほか、出遅れ感のあった銀行株も上昇し、相場をけん引しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の下にありますが、9日線の上にあり、短期トレンドには黄信号が点灯しています。総合乖離率は-0.0%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+1.5%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうちプラスは1つであり、中期トレンドにも黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。

NYDowは、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の上に出ました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+6.0ポイントで、中長期的には日本市場が1180円ほど割安となっています(前日比0.5ポイント拡大)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.63ポイント(日経平均で11330円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の4-6月期のGDP改定値3.0%となり、速報値2.6%増を上回りました。4-6月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の小売売上高、8月のNY連銀製造業景気指数、6月の製造業受注、6月のISM非製造業景況指数、は市場予想を上回り、7月のISM製造業景況指数は予想と一致しましたが、7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産、7月のシカゴ購買部協会景気指数は予想を下回りました。83負で景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の18.0万人増を上回り、失業率は先月の4.4%から4.3%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、7月の新築住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りましたが、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は予想以下でした。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.7%に一致しました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利が上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、824 1.3172 0825 1.3177 0829 1.3169 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は20170825日の1.3177%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.9PBR1.24となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+5.6%で、3か月前より2.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均の割安幅は110円から70円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-120円 から-40円の間で推移しています。
また、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.15ポイントのままですが、ドル円相場は円安方向に推移しました。直近の米国の長期金利は横ばいでした。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的にもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

31日の米国市場では、週間新規失業保険申請件数や、8月のシカゴ購買部協会景気指数、7月の中古住宅販売仮契約などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線+100(現在19810円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ+100(現在19550円近辺)と想定されます。



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Wednesday, August 30, 2017

[2017/08/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
29日のNYDowNASDAQは上昇しました。30日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付くと、午前中は50円高から120円高の間でもみあい、午後は70円高から150円高と上昇幅を拡げて、結局140円高で取引を終えました。日経平均の終値は143円高の19506で、出来高は13.84億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は130万株の売り越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。

29日の米国市場では、北朝鮮情勢の緊迫化を受けて、リスク回避目的の売りが先行しました。しかし、8月の消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことなどが好感され、売り一巡後は上昇に転じました。
30日の日本市場では、北朝鮮をめぐる地政学的リスクがひとまず後退したことや、円高が一服したことなどを受け、買いが先行しました。買い戻しが一巡すると、日経平均は高値圏で小動きとなりましたが、下値の強さが好感され、午後の半ばには一段高となりました。

 [テクニカル視点]
日経平均はと25日線の下にありますが、9日線を上回り、短期トレンドには赤信号から黄信号に変わりました。総合乖離率は-2.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.9%とプラス幅を拡げました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうちプラスは1つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。

NYDowは、25日線の下にありますが、200日線、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線の下にありますが、200日線、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+5.5ポイントで、中長期的には日本市場が1070円ほど割安となっています(前日比0.5ポイント縮小)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.65ポイント(日経平均で11280円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の4-6月期のGDP速報値2.6%となり、市場予想の2.6%増に一致しました。4-6月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の小売売上高、8月のNY連銀製造業景気指数、6月の製造業受注、6月のISM非製造業景況指数、は市場予想を上回り、7月のISM製造業景況指数は予想と一致しましたが、7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産、7月のシカゴ購買部協会景気指数は予想を下回りました。83負で景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の18.0万人増を上回り、失業率は先月の4.4%から4.3%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、7月の新築住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りましたが、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は予想以下でした。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.7%に一致しました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利が上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0823 1.3172 0824 1.3172 0825 1.3177 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は20170825日の1.3177%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.8PBR1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%で、これは3か月と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+5.5%で、3か月前より2.6ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均の割安幅は40円から110円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-200円 から-40円の間で推移しています。
また、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.14ポイントから2.15ポイントに拡大し、ドル円相場は円安方向に推移しました。直近の米国の長期金利は上昇し、円安圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

30日の米国市場では、4-6月期のGDP改定値や、ADP雇用統計などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内を上ぶれしました。上値は想定ラインを80円ほど上回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値が25日線-100(現在19630円近辺)、下値がボリンジャーバンド-1σ-100(現在19360円近辺)と想定されます。



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Tuesday, August 29, 2017

[2017/08/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
28日のNYDowは小幅下落し、NASDAQは上昇しました。29日の日経平均先物は、前日比160円安で寄り付くと、午前中は170円安から60円安の間でもみあい、午後は120円安から50円安と下げ幅を縮めて、結局50円安で取引を終えました。日経平均の終値は87円安の19362で、出来高は13.87億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は140万株の売り越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利な状況です。

28日の米国市場では、南部テキサス州に上陸したハリケーンが経済や企業業績に与える影響を見極めようとする向きが強く、積極的な売買は控えられました。
29日の日本市場では、北朝鮮が早朝に弾道ミサイルを発射したことから、地政学的リスクを警戒した売りが先行しました。ただ、売り一巡後は押し目買いが入り、日銀のETF買いへの期待感なども手伝って、下値を売り込む動きは限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。総合乖離率は-4.4%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率は+0.2%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうちプラスは1つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と200日線の上にありますが、25日線の下にあります。

NYDowは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+6.0ポイントで、中長期的には日本市場が1160円ほど割安となっています(前日比0.7ポイント拡大)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.70ポイント(日経平均で11370円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の4-6月期のGDP速報値2.6%となり、市場予想の2.6%増に一致しました。4-6月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の小売売上高、8月のNY連銀製造業景気指数、6月の製造業受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のISM非製造業景況指数、は市場予想を上回り、7月のISM製造業景況指数は予想と一致しましたが、7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産、7月のシカゴ購買部協会景気指数は予想を下回りました。83負で景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の18.0万人増を上回り、失業率は先月の4.4%から4.3%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、7月の新築住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りましたが、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は予想以下でした。また、5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.8%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立材料です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利が上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0823 1.3172 0824 1.3172 0825 1.3177 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は20170825日の1.3177%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.7PBR1.22となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%で、これは3か月と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+5.5%で、3か月前より2.5ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均の割安幅は80円から40円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-250円 から-40円の間で推移しています。
また、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.17ポイントから2.14ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

29日の米国市場では、6月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを210円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、60円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド-1σ(現在19480円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在19220円近辺)と想定されます。



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Monday, August 28, 2017

[2017/08/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
25日のNYDowは上昇し、NASDAQは小幅下落しました。28日の日経平均先物は、前日比20円高で寄り付くと、午前中は70円高から50円安と下げに転じ、午後は0円安から40円安の間でもみあって、結局10円安で取引を終えました。日経平均の終値は2円安の19449で、出来高は13.45億株と低水準でした。寄り付き前の外国人の売買注文は140万株の売り越しでした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利な状況です。

25日の米国市場では、減税などの税制改革への期待感から買いが先行しましたが、ジャクソンホール会議でイエレン議長が金融政策に言及しなかったことが伝わると、商いは細り、次第に利益確定売りに押される展開となりました。
28日の日本市場では、ジャクソンホール会議が波乱なく終了したことを受けて買い戻しが先行しましたが、朝高後は円高ドル安を嫌気した売りが優勢となりました。午後は材料難から積極的な売買が見送られ、日経平均は小動きに終始しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあり、短期トレンドには赤信号が点灯しています。総合乖離率は-3.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.7%とプラス幅を縮めました。日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。3つの要素のうちプラスは1つであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQ200日線の上にありますが、25日線、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場の200日移動平均線と株価の乖離率の差(日経平均とNASDAQ)+5.3ポイントで、中長期的には日本市場が1030円ほど割安となっています(前日比0.1ポイント縮小)。

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、今年6月に更新されたOECD2018年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)と金利差、予想PERを考慮した結果、ファンダメンタル面では、中長期的に日本市場が米国市場に比べ2.72ポイント(日経平均で11570円程度)割安となっています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので長期的には、大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ大統領選出の金融市場全体への影響」、「中国の景気後退と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」、「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」、「米国の景気、雇用状況、住宅市況」、「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」、「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」、「為替の動向」といった事柄を材料としているようです。

米国の4-6月期のGDP速報値2.6%となり、市場予想の2.6%増に一致しました。4-6月期の米主要企業の決算は、概ね良好です。

経済指標では、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の小売売上高、8月のNY連銀製造業景気指数、6月の製造業受注、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のISM非製造業景況指数、は市場予想を上回り、7月のISM製造業景況指数は予想と一致しましたが、7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産、7月のシカゴ購買部協会景気指数は予想を下回りました。83負で景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

7月の雇用統計は就業者数が前月比20.9万人増で、市場予測の18.0万人増を上回り、失業率は先月の4.4%から4.3%に低下しました。景気面では強気材料ですが、利上げしやすいという面では弱気材料です。

一方、住宅関連では、7月の新築住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は予想を上回りましたが、7月の中古住宅販売件数、7月の住宅着工件数は予想以下でした。また、5月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比で+5.7%で、市場予想の+5.8%を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気面では中立です。

全世界的に、景気は持ち直しつつあるようです。先進国の財政赤字に対する根本的な解決にはかなり時間が掛かりそうですが、ここにきて先進国は大規模な財政出動容認に変わりつつあり、景気回復傾向ですが、長期金利が上昇傾向に変わる気配はまだ顕著ではありません。

このような環境の中、欧米日の金融政策を分析すると、FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際の金利を-0.2%までマイナス幅を拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を維持していますが、20174月から800億ユーロから600億ユーロ規模に減額しています。日銀は2%のインフレ目標設定に加えて20141031日からマネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、ETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続し、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化するなどの金融緩和策が継続されています。

金融不安の気配を知る上で、金融機関間の取引金利の推移に留意することが必要です。ちなみに、指標となるLIBORドル3ヶ月物金利は、0823 1.3172 0824 1.3172 0825 1.3177 となっています。20155月まで過去25ヶ月は低下傾向でしたが、20155月からは上昇傾向で、ここにきて、2010年からのギリシャ財政危機の市場への影響直前の20110503日の0.346%を上回り、ギリシャ財政危機時に最高金利だった201215日の0.5825%を大きく上回っていますので、金融システム危機懸念が再燃してもおかしくない水準が続いています。英国のEU離脱決定後に金利は一時低下しましたが、その後、約一年間上昇が続いています。ここ5年の最高金利は20170825日の1.3177%です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.7PBR1.23となっています。1月~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%で、これは3か月と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+5.8%で、3か月前より2.4ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、NYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は120円から80円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-250円 から-80円の間で推移しています。
また、日本市場を中長期的に米国市場と比較すると、ファンダメンタル面ではかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日経平均は、ここからも、米国市場をにらみながら、為替の動向が鍵となりそうです。為替面では日米金利差の推移が引き続き重要です。長期金利差は2.18ポイントから2.17ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。直近の米国の長期金利は低下し、円高圧力が強まりました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しています。金融システム不安懸念があることを示しています。ドイツ銀行やイタリアの銀行の自己資本不足など欧州の金融機関の健全性への疑念が原因と思われます。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国市場では、目先の経済指標は好転しており、米景気は今後も改善すると判断して、追加利上げが予想されます。対ドルで円安要因です。ただ、目先の長期金利は低下傾向が続いています。
一方、欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBは量的緩和やマイナス金利政策を継続していますが、4月から量的緩和は縮小されています。

25日の米国市場では、重要な経済指標の発表はありません。個別材料が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを80円ほど下回り、下値は想定ラインを160円ほど上回りました。目先の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド-1σ+100(現在19610円近辺)、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在19260円近辺)と想定されます。



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