日経平均の予想: August 2021

Tuesday, August 31, 2021

[2021/09/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

831日、NYDowNASDAQは小幅下落しました。91日の日経平均先物は、前日比80円安で寄り付くと、午前中は80円安から270円高と上昇に転じ、午後は200円高から310円高の間でもみあって、結局310円高で取引を終えました。日経平均の終値は361円高の28451円で、出来高は10.83億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

831日の米国市場では、雇用統計の発表を間近に控えた月末とあって、利益確定の売りや持ち高調整の売りが優勢となりました。8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回ったことから、消費の伸びの鈍化も意識されました。ただ、緩和的な金融環境が当面続くとの見方が投資家心理を支え、相場の下値は限定的でした。NYDowは続落し、NASDAQ3営業日ぶりに反落しました。

91日の日本市場では、9月の衆院解散観測を手がかりに買いが優勢となりました。菅首相は解散を否定する内容の発言をしたものの、選挙にプラスになるような経済対策が打ち出されるとの期待は強く、午後の日経平均は高値圏で一進一退の展開となりました。結局、日経平均は3日続伸し、およそ1か月半ぶりの高値となりました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+0.8%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+0.6%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の上に抜けました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と25日線の上にありますが、200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.4ポイント縮小して-10.7となり、中長期的には日経平均が3040円ほど割安であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較では、日経平均が6.9ポイント(日経平均換算で1960円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-3.2と日本が4.3ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.30ポイント(日経平均換算で4630円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率6.6%増で、市場予想を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、8月のシカゴ購買部協会景気指数、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は47負で、景気面では弱気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測を後退させるという面では強気材料です。

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比94.3万人増で、市場予想の87万人増を上回りました。また、失業率は5.4%で、先月の5.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測につながるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+19.1%で、市場予想の+18.5%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では825 0.1237 826 0.1207 827 0.1198と上昇は一服していますが、注意が必要です。なお、2021614日の0.1180が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.3PBR1.21なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+35.9%で、こちらは3か月前より8.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.1%となり、日経平均の割高幅は350円から570円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-220円から+570円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.26ポイントから1.30ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせとなりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

91日の米国市場では、8月のADP全米雇用リポートや、8月のISM製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを70円ほど上回り、下値は想定ラインを280円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ円(現在28580円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在28090円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

[2021/08/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

828日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。831日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は140円安から60円高と上昇に転じ、午後は0円高から440円高と上昇幅を拡げて、結局440円高で取引を終えました。日経平均の終値は300円高の28089円で、出来高は12.35億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

830日の米国市場では、景気敏感株の一角に目先の利益を確定する売りが優勢となりました。また、長期金利の低下を受けて金融株が売られました。一方で高PERのハイテク株は買われ、指数を下支えしました。結局、NYDowは小幅に反落しましたが、NASDAQは続伸して連日で史上最高値を更新しました。

831日の日本市場では、午前中こそ銀行や鉄道、空運など景気敏感株への売りが優勢となりましたが、午後に入ると、相場の底堅さが好感され、値ごろ感のある銘柄を中心に買いが広がりました。政府の役員人事や経済対策への期待も投資家心理を支えたようです。日経平均は続伸し、節目の28000円を上回って終えました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+0.1%とプラスに転換し、200日線との乖離率は-0.6%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうちマイナスは2つとなり、中期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.2ポイント縮小して-12.1となり、中長期的には日経平均が3400円ほど割安であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較では、日経平均が8.3ポイント(日経平均換算で2330円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-3.2と日本が4.4ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.26ポイント(日経平均換算で4630円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率6.6%増で、市場予想を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測につながるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比94.3万人増で、市場予想の87万人増を上回りました。また、失業率は5.4%で、先月の5.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測につながるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+17.0%で、市場予想の+16.4%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では825 0.1237 826 0.1207 827 0.1198と上昇は一服していますが、注意が必要です。なお、2021614日の0.1180が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.2PBR1.20なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+35.9%で、こちらは3か月前より8.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均は120円の割安から350円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-220円から+350円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.29ポイントから1.26ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせとなりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

831日の米国市場では、6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数や、8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを120円ほど上回り、下値は想定ラインを20円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在28300円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在27840円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Sunday, August 29, 2021

[2021/08/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

827日、NYDowNASDAQは上昇しました。830日の日経平均先物は、前日比260円高で寄り付くと、午前中は280円高から10円高と上昇幅を縮め、午後は60円高から150円高と上昇幅を拡げて、結局100円高で取引を終えました。日経平均の終値は148円高の27789円で、出来高は10.22億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

827日の米国市場では、景気敏感株を中心に買いが優勢となりました。ジャクソンホール会議でおこなわれた講演で、パウエルFRB議長が量的緩和縮小の前倒しなどに言及しなかったことから、改めて買い安心感が広がりました。また、原油先物相場の上昇を受けてシェブロンが買われたほか、長期金利の低下を受けて高PERの主力ハイテク株にも買いが入りました。NYDowNASDAQは反発しました。

830日の日本市場では、前週末の米株式相場で主要3指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に買いが先行しました。その後は主力銘柄に利益確定の売りや戻り待ちの売りが出て相場の上値を抑えましたが、午後は米株価指数先物やアジア株の上昇が支援材料となりました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にあり、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は-2.9%と前週末よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-1.6%と前週末よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より0.8ポイント拡大して-12.3となり、中長期的には日経平均が3420円ほど割安であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較では、日経平均が9.5ポイント(日経平均換算で2640円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.7、米国-3.2と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.29ポイント(日経平均換算で5190円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率6.6%増で、市場予想を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産指数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測につながるという面ではやや弱気材料です。

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比94.3万人増で、市場予想の87万人増を上回りました。また、失業率は5.4%で、先月の5.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小観測につながるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+17.0%で、市場予想の+16.4%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では825 0.1237 826 0.1207 827 0.1198と上昇は一服していますが、注意が必要です。なお、2021614日の0.1180が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.0PBR1.19なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.4ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+35.6%で、こちらは3か月前より8.7ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は90円から120円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-220円から-90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.32ポイントから1.29ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせとなりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

828日の米国市場では、7月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ズームなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを50円ほど上回り、下値は想定ラインを320円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在28020円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在27580円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, August 28, 2021

[2021/08/29]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、ジャクソンホール会議で講演したパウエル議長が緩和縮小の前倒しなどに言及しなかったことで改めて買い安心感が広がり、株価指数は上昇しました。

一方、中長期的には、過剰流動の副作用によるインフレ懸念、ファンドなどのディフォルトによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また、中国の不動産バブル崩壊懸念と景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、東アジア、中東、ウクライナの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2022年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.26ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.3に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.26ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.4程度になるか、又は、日経平均が33000円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は5360円ほど割安です。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安

OECDによる日本の2022GDP予測値(現在+2.72%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

最近の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.3ポイント改善しています。また、利益伸び率は+35.6%3ヶ月前に比べて7.7ポイント改善しています。

  米国の長期金利が上昇し、日米間の金利差は1.26から1.29と拡大したものの、110円から109円の範囲でもみあいました。

  OECDの日米の2022年の名目GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.72%で、米国は+6.01%と予想されていますので、この面では日本市場の方が3.29ポイント劣ります。

  8月第3週は売り越しで、8月第4週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に12.8ポイント(日経平均に勘算すると3540円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に10.0ポイント(日経平均に勘算する2760円程度)割安です。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-4.4%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。200日移動平均線との乖離率は-2.1%で、マイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。

日経平均は、9日線の上にあり、25日線の下にあります。短期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、200日線・25日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線・25日線・9日線の上にありま。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には黄信号で、中期的には青信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、ハイ・イールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇の気配があり、注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策と債券購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や2兆ドルの経済対策。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債や0から12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の拡大表明などが揚げられます。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安方向に反転しています。今週は109円台から110円台が想定されます。

 

今週、労働市場の回復が続いていることを示す米国の雇用統計に加え、世界各国の製造業およびサービス業のPMI調査、オーストラリア、インドなどの第2四半期GDPの発表に注目が集まっています。その他の重要なデータとしては、米国の製造業受注と建設支出、ユーロ圏のインフレ率と景況感、ドイツの小売売上高、日本の鉱工業生産と消費者信頼感などが挙げられます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを上回りました。上値は想定ラインを490円ほど上回り、下値は想定ラインを360円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド +2σ(現在28150円近辺)で、下値が25日線(現在27670円近辺)の間での動きが想定されます。


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Thursday, August 26, 2021

[2021/08/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

826日、NYDowNASDAQは下落しました。827日の日経平均先物は、前日比80円安で寄り付くと、午前中は230円安から20円安の間で上下し、午後は140円安から50円安の間でもみあって、結局50円安で取引を終えました。日経平均の終値は101円安の27641円で、出来高は8.70億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

 

826日の米国市場では、高値警戒感から利益確定の売りが出たほか、ジャクソンホール会議を前に、持ち高調整の売りも出ました。また、アフガニスタン情勢をめぐる地政学的リスクの高まりも、投資家心理の重石となりました。NYDow5営業日ぶりに反落し、NASDAQ6営業日ぶりに反落しました。

827日の日本市場では、FRBによる早期のテーパリング(量的緩和の縮小)観測や、アフガニスタン情勢をめぐる地政学的リスクの高まりを受け、運用リスクを回避する動きが優勢となりました。パウエルFRB議長の講演を間近に控え、午後は様子見ムードが支配的でした。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は-4.4%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.1%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.4ポイント縮小して-11.5となり、中長期的には日経平均が3180円ほど割安であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較では、日経平均が9.4ポイント(日経平均換算で2600円)割安となっています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.7、米国-3.2と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2021年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.72、米国が+6.01)3.29ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より1.32ポイント(日経平均換算で5210円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率6.6%増で、市場予想を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

7月の耐久財受注、7月の鉱工業生産指数、8月のミシガン大学消費者信頼感指数確報値、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のISM非製造業景況指数、6月の製造業受注、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、7月の小売売上高、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は74負で、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小につながりかねないという面では弱気材料です。

 

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比94.3万人増で、市場予想の87万人増を上回りました。また、失業率は5.4%で、先月の5.9%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、金融緩和の早期縮小につながりかねないという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

7月の新築住宅販売件数、7月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の住宅着工件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+17.0%で、市場予想の+16.4%を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金融緩和の両面から見て中立材料です

 

新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続しています。加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大しました。ETFについては、TOPIXのみ0から12兆円まで買い入れると変更しています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では823 0.1292 824 0.1217 825 0.1237と上昇は一服していますが、注意が必要です。なお、2021614日の0.1180が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.9PBR1.18なっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.3ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+35.1%で、こちらは3か月前より7.7ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均の割安幅は220円から90円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-220円から-90円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.32ポイントから1.32ポイントと横ばいでした。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせとなりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、銀行の資本規制緩和終了などの影響で、このところ長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

827日の米国市場では、カンザスシティー連銀主催のジャクソンホール会議が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを340円ほど下回り、下値は想定ラインを10円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在27870円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在27320円近辺)が下値の目安になりそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート