日経平均の予想: July 2022

Saturday, July 30, 2022

[2022/07/31]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、FOMC4-6月期のGDP速報値の発表を波乱なく通過して、株価指数は週間で上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+2.97%, NASAQ:+4.70%, S&P500:+4.26%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、サプライチェーン混乱の長期化による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2023年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.33ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.4に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.33ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER22.7程度になるか、又は、日経平均が48750円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は20950円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、20950円分魅力に欠けるとも言えます。日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+1.8%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.2%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+3.4%3ヶ月前に比べて24.6%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は2.55から2.48と縮小して、ドル円は137円から132円の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.67%下落しました。

  OECDの日米の2023年の名目GDP伸び率は、日本が+3.54%で、米国は+4.88%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.34ポイント劣ります。

  73週は買い越しで、74週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に9.6ポイント(日経平均に勘算すると2670円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に4.2ポイント(日経平均に勘算する1170円程度)割高です。

 

週間では米国市場に対する日本市場の強さは縮小しました。米国市場のボラティリティーを示す、VIX21.33投資家の不安心理の高まりを示す25を下回り、低下傾向です。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには”青信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+7.5%となり先週と比較しプラス幅は縮小しました。 200日移動平均線との乖離率は+0.9%で、プラス幅は縮小しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNYDowは、9日線と25日線の上にありますが、200日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線と25日線の上にありますが、200日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には青信号で、中期的には黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、ウクライナ紛争、米国の利上げ、長期金利の上昇、原油相場の上昇、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き注意が必要です。20203月にも、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては日銀による金融緩和政策の維持が挙げられます

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。日本市場も中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2020年は、ゆるやかに円高方向に動いていましたが、2021年に入り、円安トレンドが続いています。今週は134円台から131円台が想定されます。

 

今週は、米国での7月の雇用統計が最も注目されます。また、英国、オーストラリアの金融政策も注目されます。その他、経済指標では米国の7月のISM製造業景気指数とISM非製造業景気指数が発表されます。また、OPECプラス会合が石油価格にどの程度影響するかも注目点です。

 

先週の日経平均は、ほぼ想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを30円ほど上回り、下値は想定ラインを720円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ (現在28180円近辺)で、下値が25日線(現在26930円近辺)の間での動きが想定されます。

 

ボラティリティーは低下傾向で、信用の売り圧力も低下傾向ですので、今週の日経平均は、堅調な展開が期待できそうです。


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Friday, July 29, 2022

[2022/07/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

728NYDowNASDAQは上昇しました。729日の日経平均先物は、前日比160円高で寄付くと、午前中は190円高から30円高の間でもみあい、午後は140円高から100円安と下落に転じて、結局、60円安で取引を終了しました。日経平均の終値は13円安の27801円で、出来高は12.94億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を5日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

728日の米国市場では、朝方発表の202246月期の実質GDP速報値が2四半期連続のマイナス成長となったことから、景気悪化を受けてFRBが利上げペースを緩めるとの期待が強まり、幅広い銘柄に買いが向かいました。また、長期金利の低下を受け、相対的な割高感の薄れた高PERのハイテク株が買われました。NYDowNASDAQは続伸しました。

729日の日本市場では、前日の米株高を手がかりに買いが先行しましたが、日経平均が心理的な節目の28000円に近付くと戻り待ちの売りや利益確定の売りが出て、相場の上値を抑えました。午後に入ると、外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことが重石となり、日経平均はマイナスに転じました。ただ、グロース(成長)株には買いが入り、相場の下値は限定的でした。日経平均は3日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+7.5%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率は+0.9%と前日比で横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+11.3ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が3140円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+5.2ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が1450円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.93VIX21.89と、日米市場のボラティリティーは低下しました。日経VI20を下回っており、投資家の不安心理はかなり後退しています。また、VIXは、投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25を下回っています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いていますが、強さは前日より縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-3.1と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.09ポイント(日経平均換算で18450円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率0.9%減で、予想値の0.4%増を下回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です。

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.2万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

一方、6月の中古住宅販売仮契約指、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、7月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は06負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、725 2.7692% 726 2.7928% 727 2.8058%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.92PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.9%で、こちらは3か月前より24.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.2%となり、日経平均の割高幅は420円から570円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+210円から+570円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.59ポイントから2.53ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

729日の米国市場では、6月の個人所得・個人消費支出のほか、エクソン・モービルやPGなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを70円ほど下回り、下値は想定ラインを270円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200円(現在27980円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在27460円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を5日ぶりに下回り、信用の売り圧力は弱まりました。ボラティリティーも低下傾向にあります。週明けの日経平均は、上昇する公算が高そうです。



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Thursday, July 28, 2022

[2022/07/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

727日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。728日の日経平均先物は、前日比210円高で寄付くと、午前中は260円高から130円安と下落に転じ、午後は30円安から100円高と上昇に転じて、結局、50円高で取引を終了しました。日経平均の終値は99円高の27815円で、出来高は13.77億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を4日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

727日の米国市場では、FOMC後の記者会見で、パウエルFRB議長が「金融引き締めの効果を評価しながら、利上げペースを緩めることが適切になる」と述べたことを受け、秋以降の利上げが減速するとの期待が高まり、買いが優勢となりました。ハイテク株を中心に、決算を好感した買いが入ったことも相場を押し上げました。主要3指数はそろって上昇しました。

728日の日本市場では、前日の米国市場で主要3指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、買いが先行しました。日経平均は朝方、およそ1か月半ぶりに28000円を回復しましたが、その後は利益確定の売りに押されました。外国為替市場で円高ドル安が進んだことも重石となりました。午後は投資家の様子見姿勢が強まり、膠着した相場となりました。日経平均は続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+8.0%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.9%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、25日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+12.4ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が3450円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+6.2ポイントと前日よりプラス幅を縮め、日経平均が1720円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.48VIX23.15と、日米市場のボラティリティーは低下しました。日経VI20を下回り、投資家の不安心理はかなり後退しました。VIXは、投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25を下回っています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いていますが、強さは前日より縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-3.1と日本が4.4ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.12ポイント(日経平均換算で18870円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率1.6%減で、改定値の1.5%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

6月の耐久財受注、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注は市場予想を上回りました。一方、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です。

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.2万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

一方、6月の中古住宅販売仮契約指、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、7月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は06負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、722 2.7662% 725 2.7692% 726 2.7928%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.98PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.9%で、こちらは3か月前より25.9ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.6%となり、日経平均の割高幅は450円から420円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+130円から+450円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.60ポイントから2.59ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

728日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、46月期のGDP速報値のほか、アップル、インテル、ファイザー、メルク、アマゾン・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを80円ほど下回り、下値は想定ラインを270円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在27990円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在27380円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を4日連続で上回り、信用の売り圧力はかなり強まりました。VIXは、不安心理がかなり高まっているとされる25を下回っています。空売り比率の上昇は気がかりですが、ボラティリティーは低下しており、日経平均は、重要イベントを通過し、上昇する公算が高そうです。



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Wednesday, July 27, 2022

[2022/07/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

726日、NYDowNASDAQは下落しました。727日の日経平均先物は、前日比110円安で寄付くと、午前中は160円安から70円高と上昇に転じ、午後は10円高から110円高と上昇幅を拡げて、結局、110円高で取引を終了しました。日経平均の終値は60円高の27715円で、出来高は9.25億株と比較的高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

726日の米国市場では、小売り大手のウォルマートが業績見通しの引き下げを発表したことから、消費減速への懸念が高まり、消費関連株に売りが広がりました。FOMCの結果公表を前に、ハイテク株に持ち高調整の売りも出て、相場の重石となりました。NYDowは反落し、NASDAQ3日続落しました。

727日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって下落した流れを受け、リスク回避の動きが先行しました。しかし、米株価指数先物の上昇が支えとなり、次第に買いが優勢となりました。わけても、値がさの半導体関連株や医薬品株が買われ、指数を押し上げました。日経平均は3日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+7.2%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.5%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。

 

NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、25日線の上にありますが、200日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+15.5ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が4300円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+7.2ポイントと前日よりプラス幅を拡げ、日経平均が2000円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.33VIX24.69と、日本市場のボラティリティーはやや低下しましたが、米国市場のボラティリティーは上昇しました。VIXは、投資家の不安心理がかなり高まっているとされる25をまだ下回っています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態が続いており、強さは前日より拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-3.0と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2023年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.5、米国が+4.9)1.4ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.14ポイント(日経平均換算で19010円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率1.6%減で、改定値の1.5%減を下回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちでした。

 

経済指標を見てみます。

7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の小売売上高、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月のISM製造業景況指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です。

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.2万人増で、市場予想の25万人増を上回りました。また、失業率は3.6%で、先月の3.6%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

5月の中古住宅販売仮契約指は市場予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数数、6月の中古住宅販売件数、6月の住宅着工件数、7月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+20.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが落ち着くという面では強気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB2022年末まで利上げを継続すると予想されています。また、テーパリングの加速が決定しています。ECBは、7月に0.5%利上げし、マイナス金利と量的緩和策を終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、ここ8か月は低下傾向にありますが、昨年3月末と6月末には一時的に上昇しました。直近では、721 2.7830% 722 2.7662% 725 2.7692%と上昇中であり、注意が必要です。なお、202199日の0.1141が直近の最低金利で、20181220日に記録した2.8237%がここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.95PBR1.19となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.9%で、こちらは3か月前より25.7ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.7%となり、日経平均の割高幅は210円から450円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+80円から+450円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.59ポイントから2.60ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策の為、FRBの政策変更により金融緩和は収束方向に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBはゼロ金利政策を続けていますが、量的緩和政策は終了に向かいつつあります

 

727日の米国市場では、FOMCの結果公表およびパウエルFRB議長の会見、6月の耐久財受注のほか、メタ・プラットフォームズ、ボーイング、フォード・モーター、クアルコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを220円ほど下回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在27990円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在27300円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は5日平均を3日連続で上回り、信用の売り圧力は強まりました。VIXは、不安心理がかなり高まっているとされる25をまだ下回っています。FOMCの結果公表や2Qの米GDPの発表と重要イベントが続きます。サプライズがない限り、明日も投資家の様子見姿勢が続きそうです。



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