Saturday, June 03, 2023

[2023/06/04]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、利上げ停止観測と連邦政府の債務上限を停止する法案が下両院で可決されたことで、株価指数は週間では、上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+2.02% NASDAQ:+2.04% S&P500:+1.83%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.92ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.92ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER33.1程度になるか、又は、日経平均が72350円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は40830円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、40830円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは、やや縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて-0.1ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+1.7%3ヶ月前に比べて-2.4%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.39から3.29に縮小して、ドル円は140円から138円の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.18%下落しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  54週は買い越しでした。55週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①,⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に2.2ポイント(日経平均に勘算すると690円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に10.1ポイント(日経平均に勘算する3180円程度)割高です。

 

NASDAQに対する日本市場の弱さは、この週に拡大して、NYダウ対する日本市場の強さは、この週にやや縮小しました。 米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 14.6 まで低下しました。 日経 VI は 週間で 20.1まで上昇しました。米国市場は楽観的で、日本市場は過熱していることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+28.4%で、200日移動平均線との乖離率は+13.2%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には"信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しています。今週は139円台から142円台が想定されます。

 

今週の米国では、債務問題の解決後、比較的静かな週となり、重要なのはISMサービスPMI、製造業受注、貿易統計となります。その他の地域では、オーストラリア、カナダ、インドの金融政策会合が注目されます。さらに、中国、ブラジル、メキシコ、トルコ、ロシアなどで5月のインフレ率が発表される予定です。その他、オーストラリアの第1四半期GDP成長率、中国のサービス業PMIも重要な発表となります。最後に、オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、フランスで貿易統計が、ユーロ圏で小売売上高が発表される予定です。

 

先週の日経平均は、ほぼ想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを920円ほど下回り、下値は想定ラインを60円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在32020円近辺)で、下値が25日線(現在30050円近辺)の間での動きが想定されます。

 

米国市場も楽観的な動きが続きそうですので、今週の日経平均も一段高が期待できそうです。


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Friday, June 02, 2023

[2023/06/02]今後の日経平均の見通し

[市況]

61日、NYDowNASDAQは上昇しました。62日の日経平均先物は、前日比190円高で寄り付くと、午前中は130円高から270円高の間でもみあい、午後は180円高から400円高と上昇幅を拡げて、結局、400円高で取引を終了しました。日経平均の終値は376円高の31524円で、出来高は13.42億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

61日の米国市場では、下院で連邦政府の債務上限を停止する法案が可決されたことから、米国債が債務不履行に陥る事態は回避されるとの見方が強まり、買いが優勢となりました。5月のISM製造業景況指数が好不況の分かれ目である50を下回り、過度な金融引き締めへの警戒感がやわらいだことも支えとなりました。NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQも反発しました。

6月2日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって上昇した流れが引き継がれ、買いが優勢となりました。米上院で政府の債務上限の効力を停止する法案が可決され、米株価指数先物が上昇したことも支援材料となりました。日経平均は続伸し、19907月以来およそ33年ぶりの高値を付けました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+28.4%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+13.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.0ポイントとマイナス幅をやや拡げ、日経平均が320円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+12.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3880円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.10と上昇し、VIX15.65と低下しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を上回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.5、米国1.8と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.73ポイント(日経平均換算で36650円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月のISM製造業景況指数、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は84負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、526 5.4757% 530 5.4960% 531 5.5167%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023531日に記録した5. 5167%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.40PBR1.30となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.9%で、こちらは3か月前より2.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.4%となり、日経平均の割高幅は1020円から1350円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+730円から+1350円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.25ポイントから3.21ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

62日の米国市場では、5月の雇用統計が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを120円ほど上回り、下値は想定ラインを420円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-300円(現在31720円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在31040円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、やや弱まりました。一方、日本市場のボラティリティーは上昇しました。きょうの日経平均は大幅に続伸しました。過熱感は高まっていますが、ボリンジャーバンド+2σまでの上昇余地はありそうです。



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Thursday, June 01, 2023

[2023/06/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

531日、NYDowNASDAQは下落しました。61日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は50円安から350円高の間で上下し、午後は150円高から310円高と上昇幅を拡げて、結局、300円高で取引を終了しました。日経平均の終値は260円高の31148円で、出来高は13.84億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強い状態です。

 

531日の米国市場では、4月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が市場予想を上回ったことから、高インフレと金融引き締めが長期化するとの懸念が強まり、売りが優勢となりました。連邦政府の債務上限をめぐる法案が下院で採決されるのを前に、様子見ムードも強まりました。NYDowは続落し、NASDAQ4営業日ぶりに反落しました。

61日の日本市場では、前日の米株安を受けて売りが先行しましたが、日経平均の先高観は根強く、前日の急落の反動もあって、主力の値がさ株を中心に押し目買いが入りました。月末・月初特有の資産配分調整の売りが一服したことも投資家心理の支えとなりました。日経平均は反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+25.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+11.9%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が280円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+11.4ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3550円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.74と低下し、VIX17.94と上昇しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.6、米国1.7と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.87ポイント(日経平均換算で37990円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、5月のシカゴ購買部協会景気指数、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は93負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、525 5.4631% 526 5.4757% 530 5.4960%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023530日に記録した5.4960%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.21PBR1.28となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+2.2%で、こちらは3か月前より1.9ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.3%となり、日経平均の割高幅は730円から1020円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+730円から+1260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.23ポイントから3.25ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

61日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、5月のADP全米雇用リポート、5月のISM製造業景況指数のほか、ダラー・ゼネラルやブロードコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを30円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在31310円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在30710円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、やや強い状態です。日本市場のボラティリティーは低下し、不安心理はやや落ち着きました。目先、日経平均は、本格的には下げにくい状態が続きそうです。



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Wednesday, May 31, 2023

[2023/05/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

530日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。531日の日経平均先物は、前日比250円安で寄り付くと、午前中は240円安から460円安の間で上下し、午後は380円安から590円安と下落幅を拡げて、結局、530円安で取引を終了しました。日経平均の終値は440円安の30887円で、出来高は25.86億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。

空売り比率は5日平均を上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

530日の米国市場では、消費関連株や景気敏感株の一角が売られました。連邦政府の債務上限問題について、議会の承認を得られるまでは予断を許さない状況が続くとの慎重な見方がくすぶっており、投資家心理の重石となりました。一方、長期金利の低下を受け、相対的な割高感の薄れた高PERのハイテク株は買われました。結局、NYDowは反落し、NASDAQ3日続伸しました。

531日の日本市場では、高値警戒感が意識されるなか、外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことや、日本と中国で生産活動の停滞を示す経済指標が相次いで発表されたことなどが重石となり、利益確定の売りが優勢となりました。日経平均は5日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+23.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+11.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線と25日線の下にありますが、200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が770円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+10.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3120円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.00と上昇し、VIX17.46と前日比横ばいでした。日経VIは、不安心理の高まりを示す20に達しました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-6.7、米国1.7と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.90ポイント(日経平均換算で37770円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP改定値は前期比年率1.3%増で、速報値の1.1%増から上方修正されました。一方、13月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、5月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、4月の鉱工業生産指数、4月のISM非製造業景況指数、3月の製造業受注、4月のISM製造業景況指数、4月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。また、4月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、4月の小売売上高、5月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は102負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の4月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.3万人増で、市場予想の18.0万人増を上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.5%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

4月の新築住宅販売件数数、4月の住宅着工件数、5月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売仮契約指数、4月の中古住宅販売件数は予想を下回りました。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比-1.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、3月の理事会で3回連続となる0.5%の利上げを決定しました。また、6月にかけて保有資産を150億ユーロ規模で削減する方針です。日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。長期金利の許容変動幅も0.5%に据え置かれています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、524 5.4244% 525 5.4631% 526 5.4757%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023526日に記録した5.4757%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER14.10PBR1.26となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+2.1%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.4%となり、日経平均の割高幅は1000円から730円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+730円から+1260円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.33ポイントから3.23ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

531日の米国市場では、4月のJOLTS求人件数やベージュブックのほか、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを340円ほど下回り、下値は想定ラインを220円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在31110円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在30510円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力はかなり強まり、個別銘柄は売られ過ぎの水準となりました。日本市場のボラティリティーは上昇し、不安感が高まっていることを示しています。きょうの日経平均は大幅に反落しました。急ピッチな上昇の反動で、目先は下落が続く可能性が高そうです。



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