日経平均の予想: February 2024

Thursday, February 29, 2024

[2023/03/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

229日、NYDowNASDAQは上昇しました。31日の日経平均先物は、前日比90円高で寄り付くと、午前中は30円高から670円高と上昇幅を拡げ、午後は580円高から750円高と上昇幅を拡げて、結局、740円高で取引を終了しました。日経平均の終値は744円高の39910円で、出来高は17.91億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

229日の米国市場では、1月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率が市場予想より上振れしなかったことから、インフレに対する過度な警戒感が和らぎ、ハイテク株を中心に買いが優勢となりました。長期金利の低下も追い風となりました。NYDow4営業日ぶりに反発しました。NASDAQも反発し、過去最高値を更新しました。

31日の日本市場では、前日の米株式市場でハイテク株比率が高いNASDAQがおよそ23か月ぶりに過去最高値を更新した流れを受け、値がさの半導体関連株に集中的な買いが入りました。日経平均はほぼ一貫して上昇幅を拡げ、大引け間際には心理的節目の4万円にあと10円程度まで迫る場面がありました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+40.6%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+20.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+6.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2510円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+10.0ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3990円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.74と前日より上昇し、VIX13.40と前日より低下しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.5と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.26ポイント(日経平均換算で102060円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、12月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、1月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.3万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.7%で、前月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、226 5.5994% 227 5.6047% 228 5.6028%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.87PBR1.53となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.7%で、こちらは3か月前より2.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.3%となり、日経平均の割高幅は1170円から1630円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+940円から+1630円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.58ポイントから3.54ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

31日の米国市場では、2月のISM製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを400円ほど上回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在40090円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+500円(現在39360円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、大きく低下しました。また、日経VIは上昇し、変動率の高まりを示す20を上回りました。売り圧力はさらに低下しており、週明けの日経平均は、40000円超えとなりそうです。



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Wednesday, February 28, 2024

[2023/02/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

228日、NYDowNASDAQは下落しました。229日の日経平均先物は、前日比180円安で寄り付くと、午前中は280円安から0円安の間で上下し、午後は270円安から90円高と上昇に転じて、結局、90円高で取引を終了しました。日経平均の終値は41円安の39166円で、出来高は23.66億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱まりました。

 

228日の米国市場では、1月の個人消費支出(PCE)物価指数の発表を翌日に控え、持ち高調整の売りが出ました。ただ、様子見の雰囲気も強く、朝安後は次第に売りの勢いが弱まりました。ボーイングやゴールドマン・サックスが買われたことも支えとなりました。結局、NYDowは小幅に3日続落し、NASDAQは反落しました。

229日の日本市場では、前日の米株安を受けて売りが先行しました。日銀審議員の「2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になってきた」との発言を受けて円高ドル安が進行したことも重石となりました。ただ、後場に入るとトヨタやソニーといった大型株に買いが入り、日経平均は上昇に転じる場面もありました。結局、日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+35.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+5.2ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2040円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+8.0ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3130円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.13と前日より低下し、VIX13.84と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.4、米国-0.4と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.42ポイント(日経平均換算で106460円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率3.2%増で、速報値の3.3%増を下回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、12月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、1月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、1月の小売売上高、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.3万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.7%で、前月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、223 5.5921% 226 5.5994% 227 5.6047%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.54PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.7%で、こちらは3か月前より2.8ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.1%となり、日経平均の割高幅は940円から1170円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+940円から+1290円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.59ポイントから3.58ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

229日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、1月の個人所得・個人支出、PCE価格指数、1月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ベストバイやデル・テクノロジーズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを250円ほど下回り、下値は想定ラインを40円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-600円(現在39300円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在38640円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、やや低下しました。また、日経VIは低下し、変動率の高まりを示す20を下回っています。売り圧力は低下に転じており、PCE価格指数次第では、日経平均は最高値更新へのチャレンジする展開もありそうです。



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Tuesday, February 27, 2024

[2023/02/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

227日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。228日の日経平均先物は、前日比10円高で寄り付くと、午前中は30円高から190円安と下落に転じ、午後は20円高から140円安の間でもみあって、結局、100円安で取引を終了しました。日経平均の終値は31円安の39208円で、出来高は18.52億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。

 

227日の米国市場では、FRBがインフレ指標として重視している個人消費支出(PCE)価格指数の発表を29日に控えて様子見ムードが強まるなか、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数が市場予想を下回ったことが投資家心理の重石となり、株売りにつながりました。NYDowは続落し、NASDAQ3営業日ぶりに反発しました。

228日の日本市場では、主力の値がさ株を中心に利益確定の売りが優勢となりました。もっとも、日本株の先高観は根強く、バリュー(割安)株や出遅れ株には物色が向かい、相場の支えとなりました。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+36.3%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.5%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+4.8ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が1880円ほど割高であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+8.2ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3220円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.14と前日より低下し、VIX13.43と前日より低下しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.3、米国-0.4と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.42ポイント(日経平均換算で107170円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率3.3%増で、市場予想の2.0%増を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、12月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、1月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、1月の小売売上高、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.3万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.7%で、前月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.1%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、222 5.5854% 223 5.5921% 224 5.5994%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.58PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.5%で、こちらは3か月前より2.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.5%となり、日経平均の割高幅は1020円から940円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+940円から+1500円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.60ポイントから3.59ポイントに縮小しました。ドル円相場は円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

228日の米国市場では、1012月期のGDP改定値のほか、セールスフォース・ドットコム、HPなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを320円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在39310円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+200円(現在38690円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は、やや上昇しました。また、日経VIは低下し、変動率の高まりを示す20を下回りました。売り圧力は徐々に上昇してきており、日経平均は、新たな材料がなければ、引き続き上値の重い展開となりそうです。



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Monday, February 26, 2024

[2023/02/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

226日、NYDowNASDAQは下落しました。227日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付くと、午前中は180円高から140円安と下落に転じ、午後は40円高から100円安の間でもみあって、結局、40円高で取引を終了しました。日経平均の終値は5円高の39239円で、出来高は18.40億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日ぶりに上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、まだ弱い状態です。

 

226日の米国市場では、1月の個人消費支出(PCE)物価指数の発表を間近に控えて様子見ムードが強まるなか、主力株を中心に利益確定の売りが優勢となりました。一方、エヌビディアやクアルコムなど、AI関連銘柄には買いが向かい、投資家心理の支えとなりました。NYDow4営業日ぶりに反落し、NASDAQは続落しました。

227日の日本市場では、これまで相場上昇を牽引してきたグロース(成長)株が利益確定の売りに押され、相場の重石となりました。一方、鉄鋼や銀行、機械などバリュー(割安)株には買いが向かい、指数を下支えしました。日経平均は小幅ながら3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+37.3%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.8%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+5.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が2080円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.1ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が3180円ほど割高であることを示しています

 

日経VI20.40と前日より低下し、VIX13.74と前日よりやや低下しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態であり、前日比で強さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.4、米国-0.4と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.43ポイント(日経平均換算で108200円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率3.3%増で、市場予想の2.0%増を上回りました。また、1012月期の米企業の決算は、おおむね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、12月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、1月の鉱工業生産指数、1月の小売売上高、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、12月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は75負で、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比37.3万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.7%で、前月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売件数、2月の住宅市場指数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数は予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.4%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性は高いと予想していますが、FRB3月利下げに慎重な姿勢を示しています。ECBは、政策金利の据え置きを続けていますが、金融緩和を検討し始めているとは示唆していません。一方、日銀は、植田新総裁の体制下でも、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、長期金利の許容変動幅は、0.5%に据え置きつつも、1%までは柔軟に対応するという政策に変更されました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、221 5.5835% 222 5.5854% 223 5.5921%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.57PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+11.6%で、こちらは3か月前より2.5ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.7%となり、日経平均の割高幅は990円から1020円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+860円から+1500円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.55ポイントから3.60ポイントに拡大しました。ドル円相場は、円安水準でもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBもインフレ対策を重視して利上げを続けています

 

227日の米国市場では、1月の耐久財受注や、12月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、イーベイ、ビヨンド・ミート、アメリカン・エレクトリック・パワーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを150円ほど下回り、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在39380円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ+400円(現在38720円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は上昇しましたが、まだ弱い状態です。一方、日経VIは低下しましたが、変動率の高まりを示す20を上回っています。売り圧力は徐々に上昇してきており、日経平均は目先、新たな材料がなければ、上値の重い展開となりそうです。



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