日経平均の予想: February 2021

Sunday, February 28, 2021

[2021/03/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

226日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。31日の日経平均先物は、前日比370円高で寄り付くと、午前中は220円高から440円高の間でもみあい、午後は290円高から470円高の間でもみあって、結局330円高で取引を終えました。日経平均の終値は697円高の29663円で、出来高は12.50億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


226日の米国市場では、足元の相場下落を受けて投資家の慎重姿勢が強まり、持ち高調整や利益確定目的の売りが優勢となりました。一方、長期金利上昇の一服を受け、高PERの主力ハイテク株は買い戻されました。NYDowは続落し、NASDAQは反発しました。

31日の日本市場では、前週末の大幅下落の反動で、自律反発狙いの買いや値ごろ感からの買いが優勢となりました。前週末の米ハイテク株の上昇や、米株価指数先物の上昇、アジア株の上昇なども支えとなりました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線の下にありますが、25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は30.0%と前週末よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+21.0%と前週末よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より2.2ポイント拡大して+7.4となり、中長期的には日経平均がNASDAQより2200円ほど割高であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が12.1ポイント(日経平均換算で3590円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.3、米国-3.1と日本が1.2ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.42ポイント(日経平均換算で3090円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率4.1%増で、速報値の4.0%増から上方修正されました。また、1012月期の米企業の決算は、まちまちな内容です。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、1月の鉱工業生産指数、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12の製造業受注1月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、2月のシカゴ購買部協会景気指数1月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は92で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比4.9万人増で、市場予想の5万人増を下回りました。一方、失業率は6.3%で、先月の6.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+10.1%で、市場予想の+9.9%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、224 0.1897 225 0.1905 226 0.1883と上昇の気配があり、金融不安の再燃に注意が必要です。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER22.3PBR1.29となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE5.8%となり、これは3か月前より0.9ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+4.7%で、こちらは3か月前より24.4ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが下落したにもかかわらず大幅上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.4%となり、日経平均は580円の割安から110円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-580円から+380円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.32ポイントから1.26ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、このところ、長期金利は上昇傾向が続いており、円は対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

31日の米国市場では、1月のISM製造業景況指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利動向や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを70円ほど上回り、下値は想定ラインを670円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在29910円近辺)が上値の目安に、25日線+100円(現在29320円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Saturday, February 27, 2021

[2021/02/28]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場は、長期金利が一時1.61%と昨年2月以来の水準に上昇したことが嫌気されて、売りが優勢でした。一方、中長期的には、過剰流動の副作用によるインフレ懸念、ハイ・イールド債のディフォルトなどによる銀行の信用力不足と信用収縮懸念があります。また世界的な自国中心の政治状況から中国などの景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念もあります。さらに、中東、東アジアの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2021年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.58ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.5に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER21.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.58ポイント縮小するか(日本が上方修正又は米国が下方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER24.6程度になるか、又は、日経平均が33090円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は4120円ほど割安です。

 

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇、

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大と一段の円安、

OECDによる日本の2021GDP予測値(現在-0.5%)の上方修正、

⑤外人の買い越し、

 

最近の動きを見ると、

   先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NYDow25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

   四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は5.8%となりました。3ヶ月前に比べて1.0ポイント改善しています。また、利益伸び率は+4.7%3ヶ月前に比べて25.2ポイント改善しています。

   米国の長期金利は上昇し、日米の金利差は 1.24%から1.25%と拡大して、為替は104円台から106円台で円安方向に動きました

   OECDの日米の2021年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+2.3%で、米国は+3.2%と予想されていますので、この面では日本市場の方が0.9ポイント劣ります。

   23週は売り越しで、24週売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に4.8ポイント(日経平均に勘算すると1390円程度)割高です。先週と比べ割高幅は拡大しました。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に9.5ポイント(日経平均に勘算すると2750円程度)割高となっています。

 

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+22.8%となり先週と比較してプラス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は+18.4%でプラス幅は縮小しました。3つの要素がプラスですので、中期トレンドは、"青信号"が点灯しています。

日経平均は、25日線と9日線の下にありますので、短期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。

 

米国市場ではNY Dowは、200日線の上にありますが、9日線・25日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaqは、200日線の上にありますが、9日線・25日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には赤信号"で、中期的には青信号"が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米中貿易摩擦、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、長期金利の上昇傾向、原油相場の上昇、ハイ・イールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は落ち着いており、金融不安の兆候はありません。20203月には、短期金利が低下しているにも関わらずLIBOR金利は上昇したことから、金融不安再燃の可能性が意識されていました。

 

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策とジャンク債購入を含むFRBによる企業への直接的金融支援や3兆ドルの経済対策、トランプ大統領の政策期待。日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と無制限の国債・12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、日本政府によるリーマンショック時を超える経済対策やEUによる92兆円のコロナ復興基金設立とECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の拡大表明などが揚げられます。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期上昇トレンドで、短期は下降トレンドです

 

為替市場を分析すると、ここ半年は、ゆるやかに円高方向に動いています。今週は105円台から107円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。

 

今週は、金曜日に予定されている米国の雇用統計で、労働市場の回復状況が注目されます。また、オーストラリア、ブラジル、カナダ、トルコのGDPデータ、世界の製造業・サービス業PMI調査、オーストラリア準備銀行による金融政策決定が注目されます。その他、米国とカナダの貿易統計、米国とドイツの工場受注高、ユーロ圏と日本の失業率、韓国の鉱工業生産と小売売上高などが発表されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下回りました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを210円ほど下回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド +1σ(現在29970円近辺)で、下値がボリンジャーバンド -1σ(現在28390円近辺)の間での動きが想定されます。


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Thursday, February 25, 2021

[2021/02/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

225日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。226日の日経平均先物は、前日比550円安で寄り付くと、午前中は530円安から980円安の間でもみあい、午後には1220円安まで下げ幅を拡げて、結局940円安で取引を終えました。日経平均の終値は1202円安の28966円で、出来高は16.89億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。


225日の米国市場では、長期金利が一時1.61%と昨年2月以来の高水準に達したことから、相対的な割高感が意識されやすい高PER銘柄が売られました。市場心理の悪化に伴い、このところ堅調だった景気敏感株や、経済活動の再開が追い風となる銘柄にも利益確定の売りが広がりました。NYDowNASDAQは大幅に反落しました。

226日の日本市場では、金利上昇への警戒感から前日の米株式相場が大幅下落した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に売りが膨らみました。アジアの株式相場が軒並み下落したことも投資家心理を冷やしました。また、2月は日本株が大きく上昇したこともあり、機関投資家が資産に占める日本株の比率を一定に戻すために売りを出したという面もあったようです。日経平均は大幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は9日線と25日線を下回りました。短期トレンドは青信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は22.8%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+18.4%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線の下にあり、25日線を下回りました。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.9ポイント縮小して+5.2となり、中長期的には日経平均がNASDAQより1510円ほど割高であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が7.7ポイント(日経平均換算で2230円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.5、米国-2.9と日本が1.6ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.74ポイント(日経平均換算で5450円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率4.1%増で、速報値の4.0%増から上方修正されました。また、1012月期の米企業の決算は、まちまちな内容です。

 

経済指標を見てみます。

1月の耐久財受注、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、1月の鉱工業生産指数、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12の製造業受注1月のISM非製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は92負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比4.9万人増で、市場予想の5万人増を下回りました。一方、失業率は6.3%で、先月の6.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+10.1%で、市場予想の+9.9%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、222 0.1755 223 0.1875 224 0.1897とじわりと上昇に転じ、金融不安面で注意が必要です。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER21.5PBR1.26となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE5.8%となり、これは3か月前より1.0ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+5.4%で、こちらは3か月前より25.2ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの大幅下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.9%となり、日経平均の割安幅は100円から580円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-580円から+400円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.27ポイントから1.32ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、このところ、長期金利は上昇傾向が続いており、円は対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

226日の米国市場では、1月の個人消費支出・個人所得や、2月のミシガン大学消費者信頼感 指数の確報値などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利動向や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを510円ほど下回り、下値は想定ラインを810円ほど下回りました。目先は、25日線+400円(現在29580円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在28690円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, February 24, 2021

[2021/02/25]今後の日経平均の見通し

[市況]

224日、NYDowNASDAQは上昇しました。225日の日経平均先物は、前日比550円高で寄り付くと、午前中は600円高から470円高の間でもみあい、午後は440円高から600円高の間でもみあって、結局550円高で取引を終えました。日経平均の終値は496円高の30168円で、出来高は14.61億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。


224日の米国市場では、景気敏感株を中心に買いが優勢となりました。ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発中のワクチンについてFDAが緊急使用を支持したことや、パウエルFRB議長がオンライン公聴会で金融緩和の長期化を示唆したことなどを受け、経済正常化への期待が高まりました。一方で、長期金利の上昇を受けて高PER銘柄が売られ、相場の重石となりました。NYDow4日続伸して過去最高値を更新し、NASDAQ3営業日ぶりに反発しました。

225日の日本市場では、前日の米株式相場が大幅上昇した流れが引き継がれ、景気敏感株を中心とした幅広い銘柄に買いが入りました。外国為替市場で円安ドル高が進んだことや、米株価指数先物が堅調に推移したことも投資家心理を支えました。日経平均は大幅に反発し、3万円の大台を再び回復しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は36.8%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+23.6%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.9ポイント拡大して+6.1となり、中長期的には日経平均がNASDAQより1840円ほど割高であることを示しています。また、日経平均とNYDowとの比較は、日本市場が10.8ポイント(日経平均換算で3260円)割高であることを示しています

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.3、米国-3.0と日本が1.3ポイント割安ですが、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(日本が+2.3、米国が+3.2)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より0.49ポイント(日経平均換算で3740円)割安となっています。

 

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米中貿易摩擦」「バイデン政権の経済対策が金融市場全体に与える影響」「日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率4.0%増で、前期の33.4%増から市場予想以上に鈍化しました。また、1012月期の米企業の決算は、まちまちな内容です。

 

経済指標を見てみます。

2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、1月の鉱工業生産指数、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12の製造業受注1月のISM非製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM製造業景況指数、12月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標は83負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です。

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比4.9万人増で、市場予想の5万人増を下回りました。一方、失業率は6.3%で、先月の6.7%から改善されました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しやすいという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の新築住宅販売件数、1月の中古住宅販売件数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+10.1%で、市場予想の+9.9%を上回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、さらなる金融緩和が期待しにくいという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルスの蔓延による景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。にもかかわらず、長期金利の下降傾向が今後も続きそうなことは気がかりです。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続すると表明しました。また、米国債などを月1200億ドル買い入れ、購入ペースを維持するとしています。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%とし、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「20223月末までに18500億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続していますが、加えて、国債の買い取り上限を80兆円から無制限に拡大し、ETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れるとしています。さらに、企業の資金繰り支援として、社債やCPなどの買い取り枠を20兆円まで拡大しました。

 

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、3月に急上昇しましたが、ここ8か月は低下しています。直近は、219 0.1752 222 0.1755 223 0.1875と落ち着いており、金融不安の気配は見られません。20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER22.5PBR1.31となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE5.8%となり、これは3か月前より1.0ポイント改善されています。また、今期予想利益の伸率は+5.1%で、こちらは3か月前より25.2ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.3%となり、日経平均の割安幅は130円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円から+400円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、1.22ポイントから1.27ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。国有企業や地方政府の不良債権問題の深刻化も経済成長の足かせになりつつあり、注意が必要です。

米国では、金融緩和措置が長期化しそうですが、このところ、長期金利は上昇傾向が続いており、円は対ドル安が進みやすい状況です。

欧州経済は悪化しています。新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速に対応するため、EU首脳会議は、およそ92兆円規模の復興基金の設立で合意しました。ECBはマイナス金利政策と金融緩和政策を継続しています。

 

225日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1012月期のGDP改定値、1月の耐久財受注、1月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ベスト・バイ、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利動向や新政権の経済対策も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを250円ほど上回り、下値は想定ラインを680円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在30270円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在29770円近辺)が下値の目安になりそうです。



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