日経平均の予想: January 2023

Tuesday, January 31, 2023

[2023/02/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

131日、NYDowNADSAQは上昇しました。21日の日経平均先物は、前日比150円高で寄り付くと、午前中は220円高から30円高と上昇幅を縮め、午後は60円高から0円高と上昇幅を縮めて、結局、10円高で取引を終了しました。日経平均の終値は19円高の27346円で、出来高は11.09億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

また、空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

131日の米国市場では、20221012月期の雇用コスト指数が市場予想を下回ったことから、インフレ鈍化を受けてFRBの利上げが減速するとの観測が強まり、買いが優勢となりました。長期金利の低下を受けて、相対的な割高感が薄れた高PERのハイテク株が買われたことも相場の押し上げ要因となりました。NYDowNASDAQは反発しました。

21日の日本市場では、前日の米株式市場で主要3指数がそろって上昇した流れを受けて買いが先行しましたが、買い一巡後は戻り売りに押される展開となりました。FOMCの結果公表や米ハイテク大手の決算発表を間近に控え、積極的に持ち高を傾ける動きは限定的でした。結局、日経平均は小幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+3.8%と前日比横ばいで、200日線との乖離率は+0.5%とプラス幅をやや拡げました。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち2つがプラスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線と25日線の上にあり、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.0ポイントとマイナスに転換し、日経平均が270円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-5.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1390円ほど割安であることを示しています

 

日経VI17.60と上昇し、VIX19.40と低下しました。両指数とも20を下回っており、不安心理は解消されています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.4、米国-2.0と日本が5.4ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.35ポイント(日経平均換算で34320円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.9%増で、市場予想の2.8%増を上回りました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数は市場予想を上回りました。また、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標48負で、景気面では弱気材料ですが、利上げペースが下がるという面では強気材料です

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.1万人増で、市場予想の20.5万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、126 4.8024% 127 4.8252% 130 4.8135%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023112日に記録した4.8297%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.78PBR1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+5.7%で、こちらは3か月前より1.6ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.0%となり、日経平均の割高幅は860円から530円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+530円から+1220円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.06ポイントから3.03ポイントに縮小しました。ドル円相場は方向感なく推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

2月1日の米国市場では、1月のADP全米雇用リポートや、1月のISM製造業景況指数、FOMCの結果公表およびパウエルFRB議長の会見のほか、メタ・プラットフォームズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを150円ほど下回り、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100円(現在27600円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200円(現在26930円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。日経VIVIX20を下回っており、不安心理はない状態です。日経平均は反発しましたが、勢いはありません。FOMCの結果次第で、目先の方向性が明らかになりそうです。



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Monday, January 30, 2023

[2023/01/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

130日、NYDowNADSAQは下落しました。131日の日経平均先物は、前日比40円高で寄り付くと、午前中は110円高から20円安の間でもみあい、午後は50円高から90円安と下落幅を拡げて、結局、70円安で取引を終了しました。日経平均の終値は106円安の27327円で、出来高は12.05億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅をやや拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を3日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

130日の米国市場では、主要企業の決算発表やFOMCなど重要日程を週内に控えて様子見ムードが強まる中、前週まで相場上昇が続いたこともあり、短期的な利益を確定する売りが優勢となりました。NYDow7営業日ぶりに反落し、NASDAQ3営業日ぶりに反落しました。

131日の日本市場では、前日の米株安や31日のアジア株安が投資家心理の重石となり、利益確定の売りが優勢となりました。ただ、決算を発表した個別銘柄には物色が向かいました。日経平均は3営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+3.8%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.4%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線と25日線の上にありますが、200日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.7ポイントとプラスに転換し、日経平均が190円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1090円ほど割安であることを示しています

 

日経VI17.11と上昇し、VIX19.94と上昇しました。両指数とも20を下回っており、不安心理は解消されています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.3、米国-1.9と日本が5.4ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.34ポイント(日経平均換算で34440円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.9%増で、市場予想の2.8%増を上回りました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.1万人増で、市場予想の20.5万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+8.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、125 4.8145% 126 4.8024% 127 4.8252%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023112日に記録した4.8297%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.86PBR1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+5.3%で、こちらは3か月前より0.5ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.3%となり、日経平均の割高幅は890円から860円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+860円から+1220円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.03ポイントから3.06ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均も、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

131日の米国市場では、11月のS&Pコアロジック/ケース・シラー・住宅価格指数や1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、キャタピラー、ファイザー、GM、マクドナルド、エクソン・モービル、ウエスタン・デジタル、AMD、アムジェンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを220円ほど下回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在27610円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在26970円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を3日ぶりに下回りました。日経VIVIX20を下回っており、不安心理はない状態です。日経平均は反落しました。21日に予定されているFOMCの結果公表までは、弱含みの展開となりそうです。



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Sunday, January 29, 2023

[2023/01/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

127日、NYDowNADSAQは上昇しました。130日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付くと、午前中は50円安から100円高の間でもみあい、午後は70円高から50円安の間でもみあって、結局、10円高で取引を終了しました。日経平均の終値は50円高の27433円で、出来高は11.31億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を2日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

127日の米国市場では、12月の個人消費支出(PCE)のコア指数が市場予想と一致し、前月比で上昇率が鈍ったことから、FRBが利上げペースを緩めるとの観測が強まり、買いが優勢となりました。また、アメリカン・エキスプレスなど好決算を発表した銘柄の上昇も支えとなりました。ただ、引けにかけては利益確定の売りが優勢となり、指数は伸び悩みました。結局、NYDowは小幅に6日続伸し、NASDAQも続伸しました。

130日の日本市場では、前週末の米株高や連休明けの上海株高が投資家心理を支え、景気敏感株の一角などに買いが入りました。一方で、短期的な過熱感を意識した戻り売りも出て、相場の上値を抑えました。外国為替市場で円相場が円高ドル安に振れたことも、輸出関連株の重石となりました。日経平均は小幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。

総合乖離率は+5.2%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドも黄信号から青信号に変わりました。

また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQ9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が250円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-4.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1210円ほど割安であることを示しています

 

日経VI16.92と低下し、VIX18.51と低下しました。両指数とも20を下回っており、不安心理は解消されています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さはやや縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.3、米国-2.0と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.27ポイント(日経平均換算で33730円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.9%増で、市場予想の2.8%増を上回りました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月のミシガン大学消費者信頼感指数、12月の耐久財受注、1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。また、12月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、12月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のニューヨーク連銀製造業景況指数、12月のISM非製造業景況指数、11月の製造業受注、12月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標66負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

米国の12月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比26.1万人増で、市場予想の20.5万人増を上回りました。一方、失業率は3.7%で、先月の3.5%から悪化しました。雇用は、景気面ではやや強気材料ですが、利上げペースが上がるという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

12月の中古住宅販売仮契約指数、1月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+8.6%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持していますが、2212月に長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、125 4.8145% 126 4.8024% 127 4.8252%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023112日に記録した4.8297%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.92PBR1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。一方、今期予想利益の伸率は+5.4%で、こちらは3か月前より1.3ポイント改善されています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.4%となり、日経平均の割高幅は860円から890円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+860円から+1220円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.06ポイントから3.03ポイントに縮小しました。ドル円相場は方向感なく推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

130日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを140円ほど下回り、下値は想定ラインを230円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在27630円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ(現在27010円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りました。日経VIVIX20を下回っており、不安心理はない状態です。日経平均は続伸しましたが、勢いはありません。21日に予定されているFOMCの結果公表までは、弱含みの展開となりそうです。



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Saturday, January 28, 2023

[2023/01/29]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタルの現状認識]

先週の米国市場では、インフレの落ち着きで、FRBが利上げペースを緩めるとの期待とテスラの好決算がハイテク株買いに繋がり、株価指数は週間では上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.81% NASAQ:+4.32% S&P500:+2.47%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.28ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER18.3に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.28ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER28.7程度になるか、又は、日経平均が61090円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は33700円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、33700円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は8.9となりました。3ヶ月前に比べて0.2ポイント悪化しています。また、利益伸び率は+5.43ヶ月前に比べて0.7%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は上昇したものの、日米間の金利差は3.11から3.02に縮小して、ドル円は129円から131円の範囲でやや円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.07%下落しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  13週は買い越しでした。14週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と⑤が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.1ポイント(日経平均に勘算すると300円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に4.6ポイント(日経平均に勘算する1260円程度)割安です。

 

米国市場に対する日本市場の強さは、この週に低下しました。 米国市場のボラティリティを示す指標である VIX は、週間で 18.5 まで低下しました。 日経 VI は 週間で 17.0 まで低下しました。米国市場、日本市場とも楽観的であることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の中に在ります。総合乖離率は+4.8%で、200日移動平均線との乖離率は+0.6%でした。2つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には青信号で、中期的にも青信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇レンドです。日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、2021年初頭から円安トレンドが続いていましたが、11月より円高方向へ転換しました。今週は129円台から132円台が想定されます。

 

今週は、米国、英国、ユーロ圏の中央銀行が金融政策を決定し、米国の雇用統計の発表が中心となります。また、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州の主要国のインフレ率やGDP成長率にも注視する必要があります。そのた、米国、中国、カナダ、インド、オーストラリアのPMIの最新値にも注目する必要があります。

 

先週の日経平均は、想定レンジを上振れしました。上値は想定ラインを200円ほど上回り、下値は想定ラインを340円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+3σ(現在27900円近辺)で、下値がボリンジャーバンド+1σ(現在26930円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週の日経平均は、海外の金融政策や米国の雇用統計、日米企業の四半期決算内容がなどの内容に大きく影響されそうですが、ボリンジャーバンド+2σを挟んだ動きが続きそうです。

 

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