日経平均の予想: August 2019

Saturday, August 31, 2019

[2019/09/01]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、米中の貿易協議の進展期待で、買いが優勢でした。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBの利上げ、欧州政治の混乱、欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2020年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が2.97ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER11.7との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2020年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.0%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER18.0程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が31780円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は11070円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2020GDP予測値(現在+0.68%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、8月のISM製造業景気指数、8月の雇用統計、が注目されそうです。NYDow25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は4-6月期の決算発表に伴い、ROE予想値は8.8%3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しています。また、今期業績予想の利益伸び率は+0.6%3ヶ月前に比べて2.6ポイント悪化しています。
   米国の長期金利は低下し、日米の金利差は1.77%から1.78%と拡大し、為替は104円台から106円台で円安方向の動きでした。
   OECDの日米の2020年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+0.61%で、米国は+2.28%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.67ポイント劣ります。
   83週は売り越しで、84週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に7.2ポイント(日経平均に勘算すると1500円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は拡大しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-4.9%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は-2.6%でマイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。
日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線の上に在りますが、25日線、9日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。
短期的には赤信号"で、中期的には黄信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米企業業績の伸び悩み、信用収縮に伴う金融市場混乱、北朝鮮の問題、原油相場の低迷、ハイイールド債市場の下落などの懸念は後退しているものの、世界的な長期金利低下傾向、米中貿易摩擦、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利は低下傾向ですが、ここ5年は上昇を続け、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の利下げ期待、トランプ大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利引き下げ表明などが揚げられます。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は低下したものの、日米長期金利差は拡大し、為替は週間で円安方向でした。今週は105円台から106円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジを上回りました。上値は想定ラインを400円ほど上回り、下値は想定ラインを750円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在21230円近辺)で、下値はボリンジャーバンド-1σ(現在20350円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, August 30, 2019

[2019/08/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
829日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。830日の日経平均先物は、前日比190円高で寄り付くと、午前中は170円高から280円高と上昇幅を拡げ、午後は280円高から210円高の間でもみあって、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は243円高の20704円で、出来高は12.08億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

829日の米国市場では、米中双方から貿易協議における対立姿勢を緩める発言が出たことを受け、キャタピラーやナイキなど中国関連銘柄を中心に買いが優勢となりました。また、46月期のGDP改定値が前期比年率2.0%増となり、米景気の底堅さが改めて意識されたことも支援材料となりました。
830日の日本市場では、貿易問題をめぐる米中対立の緩和を期待した買いが優勢となりました。外国為替市場で円安ドル高が進んだことも好感されました。ただ、米中対立の改善に懐疑的な見方も強く、積極的に上値を追う動きとはなりませんでした。週末に発表される中国のPMIを見極めたいとの思惑もあったようです。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は-4.9%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-2.6%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。

NYDowは、9日線と200日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中に入りました。NASDAQは、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.3ポイント拡大して-7.4ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1530円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて2.99ポイント(日経平均で11170円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP改定値は前期比年率2.0%増で、速報値の2.1%増から下方修正されました。46月期の米主要企業の決算は、おおむね市場予想を上回っていますが、貿易摩擦の影響を受けて伸び率は低水準です。

経済指標を見てみます。
8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、7月の小売売上高、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利下げしにくくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比164000人増で、市場予想の165000人増とほぼ一致しました。また、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
7月の中古住宅販売件数、8月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、7月の中古住宅販売仮契約指数、7月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.1%で、市場予想の+2.3%を下回り、前月の伸び率を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示し、市場の関心は「いつ利下げに転じるか」に移っています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、823 2.1443% 827 2.1173% 828 2.1241%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.98%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.7PBR1.03となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より2.6ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.5%となり、日経平均は10円の割高から110円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-110円から+340円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、1.75ポイントから1.79ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場では、量的緩和が2018年末に終了しましたが、ECBはマイナス金利政策を継続しています。ただ、このところ景気後退懸念が勝りつつあり、再び金利の引き下げに踏み切る気配もあります。

830日の米国市場では、7月の個人消費支出・個人所得や、8月のシカゴ購買部協会景気指数などが注目されるでしょう。引き続き、金利の推移や貿易摩擦にまつわる報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを60円ほど上回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、25日線+200(現在20990円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+100(現在20450円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Thursday, August 29, 2019

[2019/08/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
828日、NYDowNASDAQは上昇しました。829日の日経平均先物は、前日比10円安で寄り付くと、午前中は130円安まで下げ幅を拡げましたが、午後には10円安まで下げ幅を縮めて、結局20円安で取引を終えました。日経平均の終値は18円安の20460円で、出来高は9.91億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

828日の米国市場では、米10年物国債と2年債の利回りが逆転する「逆イールド」の度合いがやや和らいだことで投資家心理が改善され、直近まで下げがきつかった金融株や景気敏感株を中心に買い直されました。
829日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇を受けて買いが先行しましたが、米中貿易摩擦や英国の「合意なき」EUからの離脱に対する警戒感は強く、次第にリスク回避の動きが優勢となりました。ただ、午後に入ると内需株や割安銘柄への買い戻しが入り、相場を支えました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-8.6%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は-3.8%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、25日線の下にあり、9日線を下回りました。

NYDowは、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.4ポイント拡大して-7.1ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1450円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.05ポイント(日経平均で11180円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.1%増で、前の期の3.1%増から鈍化しました。46月期の米主要企業の決算は、おおむね市場予想を上回っていますが、貿易摩擦の影響を受けて伸び率は低水準です。

経済指標を見てみます。
8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、7月の小売売上高、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利下げしにくくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比164000人増で、市場予想の165000人増とほぼ一致しました。また、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
7月の中古住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、7月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.1%で、市場予想の+2.3%を下回り、前月の伸び率を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示し、市場の関心は「いつ利下げに転じるか」に移っています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、822 2.1322% 823 2.1443% 827 2.1173%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.98%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.6PBR1.02となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.8%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.1%となり、日経平均の割高幅は260円から10円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+10円から+340円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、1.76ポイントから1.75ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場では、量的緩和が2018年末に終了しましたが、ECBはマイナス金利政策を継続しています。ただ、このところ景気後退懸念が勝りつつあり、再び金利の引き下げに踏み切る気配もあります。

829日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、46月期のGDP改定値、7月の中古住宅販売仮契約指数のほか、ダラー・ツリーやベストバイなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利の推移や貿易摩擦にまつわる報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを110円ほど下回り、下値は想定ラインを110円ほど上回りました。目先は、25日線-100(現在20730円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100(現在20260円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, August 28, 2019

[2019/08/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
827日、NYDowNASDAQは下落しました。828日の日経平均先物は、前日比30円高で寄り付くと、午前中は10円安から80円高の間でもみあい、午後は20円高から60円高の間でもみあって、結局60円高で取引を終えました。日経平均の終値は23円高の20479円で、出来高は9.58億株と低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

827日の米国市場では、中国政府が発表した消費拡大策が好感されて買いが先行しましたが、景気後退の前兆とされる「逆イールド」が強まったことが投資家心理を冷やし、次第に売りが優勢となりました。米中貿易摩擦や世界景気に対する根強い警戒感も重石となりました。
828日の日本市場では、相場の全体的な割安感が意識されて買いが優勢となりました。ただ、米中対立や世界景気の先行きに対する警戒感は根強く、相場の上値は限定的でした。ことに、トランプ政権は91日に対中制裁関税の第4弾を発動する予定で、その後の両国の動きを見極めたいとの思惑が強かったようです。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-8.7%と前日よりマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.7%と前日よりマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
一方、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の下にありますが、200日線の上にあり、9日線を上回りました。

NYDowは、200日線の上にありますが、25日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.5ポイント縮小して-6.7ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1370円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.7ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.06ポイント(日経平均で11270円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や消費税増税の影響」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.1%増で、前の期の3.1%増から鈍化しました。46月期の米主要企業の決算は、おおむね市場予想を上回っていますが、貿易摩擦の影響を受けて伸び率は低水準です。

経済指標を見てみます。
8月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月の耐久財受注、7月の小売売上高、8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、5月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、8月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月の鉱工業生産指数、7月のISM非製造業景況指数、7月のISM製造業景況指数、7月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を下回りました。経済指標は65負で、景気面ではやや強気材料ですが、利下げしにくくなるという面ではやや弱気材料です。

米国の7月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比164000人増で、市場予想の165000人増とほぼ一致しました。また、失業率は3.7%で、先月の3.7%から横ばいでした。雇用は、景気面ではやや弱気材料ですが、利下げしやすくなるという面ではやや強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
7月の中古住宅販売件数、8月の住宅市場指数、6月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、7月の新築住宅販売件数、7月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。また、6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.1%で、市場予想の+2.3%を下回り、前月の伸び率を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは追加利上げを年内は見送る方針を示し、市場の関心は「いつ利下げに転じるか」に移っています。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大するとしています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、821 2.1476% 822 2.1322% 823 2.1443%と推移しています。世界的な短期金利の低下にともない、上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の1.85%をも上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER11.6PBR1.01となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.7%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.6%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.3%となり、日経平均の割高幅は150円から260円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+20円から+340円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、1.78ポイントから1.76ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかっています。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場では、量的緩和が2018年末に終了しましたが、ECBはマイナス金利政策を継続しています。ただ、このところ景気後退懸念が勝りつつあり、再び金利の引き下げに踏み切る気配もあります。

828日の米国市場では、7月の中古住宅販売のほか、ティファニーなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金利の推移や貿易摩擦にまつわる報道も株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを150円ほど上回りました。目先は、25日線-200(現在20680円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100(現在20280円近辺)が下値の目安になりそうです。



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