日経平均の予想: March 2020

Tuesday, March 31, 2020

[2020/03/31]今後の日経平均の見通し

[市況]
330日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。331日の日経平均先物は、前日比290円高で寄り付くと、午前中は170円高から510円高の間でもみあい、午後は360円高から210円安と下げに転じて、結局90円安で取引を終えました。日経平均の終値は167円安の18917円で、出来高は18.62億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

330日の米国市場では、大規模な経済対策の成立を受けて景気に対する悲観的な見方がやや後退する中、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感が高まり、買いが優勢となりました。9月までにワクチンの臨床試験を開始すると発表したJ&J8%上昇し、NYDowを押し上げました。
331日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇や中国の景況感の改善などを受けて買いが優勢となる場面もありましたが、経済の停滞が長期化するとの懸念は根強く、積極的な買いの勢いは続きませんでした。政府による非常事態宣言への警戒感も重石となりました。日経平均は続落しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の下にありますが、9日線の上にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-31.6%と前日よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-13.9%と前日よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。

NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より4.1ポイント拡大して-6.2となり、中長期的には日本市場が米国市場より1170円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.08ポイント(日経平均で2980円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には割安です。

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と変わりませんでした。1012月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

経済指標を見てみます。
2月の耐久財受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は38負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.3万人増で、市場予想の17.5万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の新築住宅販売件数、2月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.9%で、市場予想の+2.9%と一致しました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、金融緩和が期待しにくいという面ではでは弱気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRB2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに20203月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、325 1.2670 326 1.3746 327 1.4501と推移しています。ここ一年ほど上昇は一服して低下傾向が続いていましたが、ここ数日は上昇しています。一方、短期金利は急低下しており、これは金融システムにとって危険なサインです。ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の-0.17%をも大きく上回っており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.5PBR0.93となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE7.4%となり、これは3か月前より0.6ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-10.7%で、こちらは3か月前より3.8ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.5%となり、日経平均の割高幅は1070円から290円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+290円から+1950円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場より割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は、0.68ポイントから0.67ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。

331日の米国市場では、1月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数などが注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格なども株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを170円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在19560円近辺)が上値の目安に、25日線-700円(現在18760円近辺)が下値の目安になりそうです。騰落レシオが66.0RSI46%となり、テクニカル指標は目先の底値圏を脱したことを示していますが、戻りの鈍さも目立ちます。日経平均のPBR0.93で、長期的にはまだ買い場と言えそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Monday, March 30, 2020

[2020/03/30]今後の日経平均の見通し

[市況]
327日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。328日の日経平均先物は、前日比420円安で寄り付くと、午前中は540円安から270円安の間でもみあい、午後は470円安から60円安の間で上下して、結局280円安で取引を終えました。日経平均の終値は304円安の19084円で、出来高は19.24億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

327日の米国市場では、景気の長期停滞への懸念が強まり、売りが優勢となりました。新型コロナウイルスの米国内の感染者数が連日で急増し、26日には世界最多となったことなどが、投資家心理を冷やしました。NYDow26日までの3日間で2割超上昇していたため、短期的な利益を確定する売りも出たようです。
330日の日本市場では、引き続き新型コロナウイルス感染拡大への懸念が相場を下押ししました。国内の1日あたりの新規感染者数が増加傾向にあることから、経済の停滞が長期化するのでは、との懸念が強まりました。また、外国為替市場で円高ドル安が進んだことも重石となりました。ただ、日銀のETF買い観測で、日経平均は引けにかけて下げ幅を縮めました。

 [テクニカル視点]
日経平均は25日線の下にありますが、9日線の上にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-30.4%と前週末よりマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-13.1%と前週末よりマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。

NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前週末より2.2ポイント縮小して-2.1となり、中長期的には日本市場が米国市場より400円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2021年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.2ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて1.08ポイント(日経平均で3000円程度)割安であることを示しています。日本市場は長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「新型コロナウイルスの感染拡大」「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格へ与える影響」「英国のEU離脱」「米中貿易摩擦」「トランプ政権の通商政策が金融市場全体へ与える影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否や、消費税増税が景気に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.1%増で、改定値の2.1%増と変わりませんでした。1012月期の米企業の決算は、概ね好調でした。

経済指標を見てみます。
2月の耐久財受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は38負で、景気面では弱気材料ですが、さらなる金融緩和が期待できるという面では強気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.3万人増で、市場予想の17.5万人増を上回りました。また、失業率は3.5%で、先月の3.6%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の新築住宅販売件数、2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。また、12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+2.9%で、市場予想の+2.9%と一致しました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利下げしにくくなるという面では弱気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では、景気後退の前兆とされる長短金利の逆転状態も見られました。

欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRB2019年に予防的利下げを3度おこない、さらに20203月に合計1.5%の緊急利下げをおこない、実質ゼロ金利としました。ECBは、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.5%まで拡大し、国債の買い取りを含む量的緩和政策を「2020年末までに1200億ユーロ」に拡大しました。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の6兆円の2倍の12兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、20155月までの25か月は低下傾向にありましたが、その後は上昇に転じています。直近では、325 1.2670 326 1.3746 327 1.4501と推移しています。ここ一年ほど上昇は一服して低下傾向が続いていましたが、ここ数日は上昇しています。一方、短期金利は急低下しており、これは金融システムにとって危険なサインです。ギリシャ財政危機直前(201153日)の0.346%201215日につけたピークの0.5825%を大きく上回り、また、米国債3か月物の-0.04%をも大きく上回っており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.6PBR0.94となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE7.5%となり、これは3か月前より0.6ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-9.9%で、こちらは3か月前より3.0ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+5.6%となり、日経平均の割高幅は580円から1070円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+580円から+2930円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場より割安で、テクニカル面でもやや割安となっています。

日米の長期金利の差は、0.79ポイントから0.68ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は、ここからは市場予想を下回るものが増えていきそうです。長期金利は下降に転じており、対ドルで円高が進みやすい状況です。
欧州市場では、マイナス金利政策が続いています。ECBはこのところの景気後退懸念を受けて量的緩和を再開し、各国政府に財政政策をうながしています。

330日の米国市場では、2月の中古住宅販売仮契約指数などが注目されるでしょう。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応や原油価格なども株式相場に影響を与えそうです。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを860円ほど下回り、下値は想定ラインを260円ほど下回りました。目先は、25日線(現在19640円近辺)が上値の目安に、25日線-800円(現在18840円近辺)が下値の目安になりそうです。騰落レシオが68.3RSI48%となり、テクニカル指標は目先の底値圏を脱したことを示しています。日経平均のPBR0.94で、長期的にはまだ買い場と言えそうです。



ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート

Saturday, March 28, 2020

[2020/03/29]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、新型コロナウイルスによる景気後退に対する大規模な経済対策の決定で、株価指数は大幅反発しました。一方、中長期的には、新型肺炎拡大、世界的な自国中心の内向きな政治状況銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国などの景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2021年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が1.11ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER15.8に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2021年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに1.1%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER14.5程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が22530円程度となる)と、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は3140円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2021GDP予測値(現在+0.74%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、3月のISM製造業景気指数、3月の雇用統計などが注目されそうです。NYDow25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は直近四半期の決算発表に伴い、ROE予想値は7.5%3ヶ月前に比べて0.4ポイント悪化しています。また、今期業績予想の利益伸び率は-9.9%3ヶ月前に比べて1.8ポイント悪化しています。
   米国の長期金利は低下し、日米の金利差は 0.81%から0.68%と縮小して、為替は111円台から107円台で円高方向の動きでした。
   OECDの日米の2021年の実質GDP伸び率予測が発表されて、日本が+0.74%で、米国は+1.98%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.24ポイント劣ります。
   33週は売り越しで、34週は買い越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.8ポイント(日経平均に勘算すると160円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は縮小しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。総合乖離率は-27.2%となり先週と比較してマイナス幅が縮小しました。200日移動平均線乖離率は-11.8%でマイナス幅が縮小しました。3つの要素がマイナスですので、中期トレンドは、"赤信号"が点灯しています。
日経平均は、25日線の下に在りますが、9日線の上に在ります。短期的トレンドには"黄信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線・25日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。Nasdaq200日線・25日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。
短期的には黄信号"で、中期的には赤信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米中貿易摩擦、米国政治の不透明感、北朝鮮の問題、などの懸念は後退しているものの、新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大、世界的な長期金利低下傾向、原油相場の低迷、米企業業績の伸び悩み、ハイイールド債市場の下落、信用収縮に伴う金融市場混乱、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利は、短期金利が低下しているにも関わらず上昇しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国のゼロ金利政策と2兆ドルの経済対策、トランプ大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・12兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによるマイナス金利の深堀と量的緩和の拡大表明などが揚げられます。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。日本市場は中期下降トレンドで、短期もはもみあいです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は低下して、日米長期金利差は縮小した結果、為替は週間では円高でした。今週は108円台から105円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジを上回りました。上値は想定ラインを1700円ほど上回り、下値は想定ラインを800円ほど上回りました。今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在21940円近辺)で、下値はボリンジャーバンド-1σ(現在17700円近辺)の間での動き想定されます


ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。

右のボタンをクリック!

世界の市場のリアルチャートはこちら世界の市場のリアルチャート