[市況]
4月16日、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。4月17日の日経平均先物は、前日比50円高で寄り付くと、午前中は10円安から390円高の間で上下し、午後は260円高から510円高と上昇幅を拡げて、結局、510円高で取引を終えました。日経平均の終値は457円高の34377円で、出来高は15.66億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
4月16日の米国市場では、エヌビディアが中国向けに性能を落として設計したAI半導体「H20」が米政府の輸出規制の対象になったことを受け、同社株に売りが膨らみ、他の半導体株にも売りが波及しました。パウエルFRB議長が講演の中で早期利下げに慎重な見方を示したことも相場の重石となりました。NYDowとNASDAQは大幅に続落しました。
4月17日の日本市場では、日米関税交渉後の外国為替市場で、円相場が市場の予想に反して円安ドル高方向に振れたことから、海外短期筋が株価指数先物に買いを入れ、現物株を押し上げました。関税交渉について、緩和的な話し合いがもたれたとの観測が広がったことも、投資家心理を支えました。台湾TSMCの好決算を期待した先回り的な買いも入ったようです。日経平均は反発しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にありますが、9日線の上にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。
総合乖離率は-22.2%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-10.1%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。
NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.4ポイントとプラスに転換し、日経平均が480円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-3.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1340円ほど割安であることを示しています。
日経VIは31.51と前日より低下し、VIXは32.64と前日より上昇しました。両指数ともにピークアウトしましたが、依然として高水準にあります。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.9、米国-0.7と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.15ポイント(日経平均換算で46790円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.8万人増で、市場予想の13.5万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが13.87、PBRが1.27となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.4%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.5%となり、日経平均の割高幅は240円から1180円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+130円~+1180円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.04ポイントから3.01ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円高一服となりました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。
4月17日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数、3月の住宅着工件数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数や、ECB定例理事会のほか、ネットフリックス、ブラック・ストーン、チャールズシュワブ、スナップオン、アメリカン・エキスプレス、D.R.ホートン、マーシュ&マクレナン、ユナイテッドヘルス・グループ、ステート・ストリート、TSMCなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを380円ほど下回り、下値は想定ラインを800円ほど上回りました。目先は、25日線-400円(現在35160円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在33740円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、市場がパニックに陥っているとされる目安の40を下回りましたが、依然として高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。きょうの日経平均は反発したものの、半導体関連銘柄の決算次第では、まだまだ2番底を探る動きも想定されます。
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