[市況]
4月4日、NYDowとNASDAQは大幅下落しました。4月7日の日経平均先物は、前日比2750円安で寄り付くと、午前中は3110円安から1770円安と下落幅を縮め、午後は1910円安から2800円安の間で上下して、結局、2800円安で取引を終えました。日経平均の終値は2644円安の31136円で、出来高は36.64億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや弱い状態です。
4月4日の米国市場では、中国が米国の相互関税への報復措置を発表したことから、関税の応酬が景気や企業収益に悪影響をおよぼすとの懸念が高まり、株売りが強まりました。パウエルFRB議長が「金融政策の方向を示すのは時期尚早」と慎重姿勢を示したことも失望を呼びました。NYDowは昨年12月4日に付けた最高値から14.8%下落し、「調整局面」入りとされる水準となりました。NASDAQは昨年12月16日に付けた高値から22.7%下落し、「弱気相場」入りとされる水準となりました。
4月7日の日本市場では、貿易戦争の激化が世界的な景気後退をもたらすとの懸念を背景に、前週末の米株式相場で主要な株価指数が軒並み大幅下落した流れが引き継がれ、幅広い銘柄にリスク回避目的の売りが膨らみました。アジアの主要な株価指数が軒並み下落したことや、米株価指数先物が大幅に下落したことも投資家心理の重石となりました。日経平均は大幅に続落し、およそ1年5か月ぶりの安値となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-52.8%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-19.0%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.3ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1030円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-9.6ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2990円ほど割安であることを示しています。
日経VIは58.04と急上昇し、VIXも45.31と急上昇しました。両指数ともに、市場がパニックに陥っているとされる40を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-6.8、米国-1.1と日本が5.7ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.62ポイント(日経平均換算で43410円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。一方、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.8万人増で、市場予想の13.5万人増を上回りました。また、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.60、PBRが1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+6.8%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して大幅に下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-5.1%となり、日経平均の割安幅は990円から1820円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1820円~-990円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.83ポイントから2.79ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高水準でもみあいました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
4月7日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを460円ほど下回り、下値は想定ラインを1290円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-2σ(現在33620円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ(現在32080円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、市場がパニックに陥っているとされる目安の40を大きく上回っています。一方、信用の売り圧力は、やや弱い状態です。日経平均は大幅に続落しました。テクニカル指標からは、引き続き自律反発が近いことが読み取れますが、市場は、下落を止めるきっかけとなる材料を待っている状態と考えられます。
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