[市況]
4月2日、NYDowとNASDAQは上昇しました。4月3日の日経平均先物は、前日比1730円安で寄り付くと、午前中は2370円安から880円安と下落幅を縮め、午後は1350円安から910円安と下落幅を縮めて、結局、910円安で取引を終えました。日経平均の終値は989円安の34735円で、出来高は27.13億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態ですが、売られ過ぎの水準です。
空売り比率は、5日平均を9日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。
4月2日の米国市場では、発動が迫る相互関税の詳細公表を控えて様子見ムードが強まるなか、ベッセント財務長官が「貿易相手国には交渉の余地がある」ことを示唆したことが安心感につながり、株買いを誘いました。イーロン・マスク氏が政府効率化省(DOGE)の特別職を退任するとの米ニュースサイトの記事を材料視した買いも入りました。NYDowは反発し、NASDAQは続伸しました。
4月3日の日本市場では、早朝に米相互関税の詳細が公表され、日本には24%の追加関税が課されることが判明し、企業業績や日本経済への悪影響を懸念した売りが幅広い銘柄に膨らみました。売り一巡後は自律反発狙いの買いも入りましたが、先行き不透明感が強いだけに戻りの勢いは限定的でした。日経平均は大幅に反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-25.9%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-9.8%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドにも赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の下にありますが、9日線と25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1700円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-9.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が3370円ほど割安であることを示しています。
日経VIは30.08と前日より上昇し、VIXは21.51と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.7、米国-0.7と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.93ポイント(日経平均換算で43850円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のISM製造業景況指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.21、PBRが1.30となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.7%で、こちらは3か月前より2.2ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず大幅に下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-4.5%となり、日経平均の割安幅は1310円から1640円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1640円~-700円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.73ポイントから2.73ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。
4月2日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、3月のISM非製造業景況指数のほか、ラム・ウェストン・ホールディングスや、コナグラ・ブランズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを1020円ほど下回り、下値は想定ラインを1010円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-2σ+200円(現在35610円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ(現在34570円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、目安の20を上回っています。また、信用の売り圧力は、かなり強い状態です。日経平均は大幅に反落しました。長い下ひげをつけたので、目先はリバウンドも期待できそうですが、ポジティブな材料が出ない限り、本格的な反転には時間がかかるでしょう。
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