[市況]
4月9日、NYDowとNASDAQは急上昇しました。4月10日の日経平均先物は、前日比3240円高で寄り付くと、午前中は3250円高から2310円高と上昇幅を縮め、午後は2430円高から2870円高の間で上下して、結局、2810円高で取引を終えました。日経平均の終値は2894円高の34609円で、出来高は27.49億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。
空売り比率は、2営業日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
4月9日の米国市場では、トランプ大統領が、同日に発動した相互関税の上乗せ部分について、「報復措置をとらなかった国・地域では90日の猶予期間をもうける」旨を表明したことから、相場を覆っていた悲観ムードが一転し、急速に買い戻しが膨らみました。NYDowは5営業日ぶりに急反発し、一日の上げ幅としては過去最大を記録しました。NASDAQも急反発しました。
4月10日の日本市場では、米政権が「交渉に応じる姿勢を見せた国・地域に対しては相互関税の上乗せ部分を一時停止する」と表明したことが投資家心理を上向かせ、主力株への見直し買いや株価指数先物への買いが加速しました。朝方の買い一巡後は、日経平均は一進一退の展開となりましたが、終値での上昇幅は歴代2位となりました。
[テクニカル視点]
日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。
総合乖離率は-23.1%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-9.7%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。
NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は-2.5ポイントとマイナスに転換し、日経平均が870円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-5.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1970円ほど割安であることを示しています。
日経VIは38.63と前日より低下し、VIXも33.62と前日より低下しました。両指数ともに、市場がパニックに陥っているとされる40を下回りました。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.7、米国-0.7と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.94ポイント(日経平均換算で43250円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数は市場予想を上回りました。一方、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、2月の消費者物価指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.8万人増で、市場予想の13.5万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数、3月の住宅市場指数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.09、PBRが1.29となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.1%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して大幅に上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均の割安幅は260円から310円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1820円~+170円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.13ポイントから2.95ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。
4月10日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、3月の消費者物価指数(CPI)などが注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを1400円ほど上回り、下値は想定ラインを1010円ほど上回りました。目先は、25日線-500円(現在35660円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-500円(現在33740円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、市場がパニックに陥っているとされる目安の40を下回りました。また、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は急反発しました。この先も、トランプ政権の関税政策に一喜一憂する展開となりそうですが、目先は、反発が続きそうです。
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