[市況]
4月29日、NYDowとNASDAQは上昇しました。4月30日の日経平均先物は、前日比40円安で寄り付くと、午前中は30円安から260円安と下落幅を拡げ、午後は230円安から10円高と一時上昇に転じて、結局、40円安で取引を終えました。日経平均の終値は205円高の36045円で、出来高は22.82億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。
4月29日の米国市場では、ベッセント財務長官が記者会見でインドや日本との貿易交渉が進展していると説明したことや、自動車の輸入部品にかかる関税を一部免除する措置が発表されたことなどを受け、米政権の強硬姿勢が和らいでいるとの見方が強まり、株買いを誘いました。ハネウェル・インターナショナルなど好決算を発表した銘柄が買われたことも指数の押し上げ要因となりました。NYDowは6日続伸し、NASDAQは反発しました。
4月30日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇が投資家心理を上向かせ、買いが優勢となりました。わけても、決算内容が評価されたTDKや、半導体子会社の分離独立と株式上昇を検討していると伝わったソニーグループが目立って買われ、指数を押し上げました。日経平均は5日続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は-4.8%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-5.3%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線と25日線の上にあり、200日線を上回りました。
NYDowは、200日線の下にありますが、9日線の上にあり、25日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が140円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-1.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が430円ほど割安であることを示しています。
日経VIは27.15と前日より低下し、VIXも24.38と前日より低下しました。両指数ともにピークアウトしたものの、投資家が不安心理を強めているとされる20を依然として上回っており、市場は不安定な状態にあります。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.7と日本が4.8ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.69ポイント(日経平均換算で42700円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
4月のミシガン大学消費者信頼感指数、4月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は6勝6負で、景気・金利の両面で中立です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.8万人増で、市場予想の13.5万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、4月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。2月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気・金利の両面で中立です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.69、PBRが1.35となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+6.1%で、こちらは3か月前より2.2ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.6%となり、日経平均の割高幅は1720円から1550円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1550円~+2000円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、2.95ポイントから2.87ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。
4月30日の米国市場では、4月のADP雇用統計や、1~3月期のGDP速報値、3月の個人消費支出(PCEデフレーター)、3月の中古住宅販売仮契約指数のほか、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、イーベイ、ウエスタン・デジタル、キャタピラー、ヒューマナなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、トランプ政権の動きや長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインを500円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+300円(現在36660円近辺)が上値の目安に、25日線+800円(現在35590円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱まりました。日経平均は5日続伸しました。引き続き、25日線からどれほど上方乖離できるかが、目先の注目点です。3月11日の安値(35987円)近辺で頭を押さえられており、ここが正念場といえそうです。
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