日経平均の予想: July 2024

Wednesday, July 31, 2024

[2023/07/31]今後の日経平均の見通し

[市況]

730日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。731日の日経平均先物は、前日比440円安で寄り付くと、午前中は540円安から80円安と下落幅を縮め、午後は400円安から740円高と上昇に転じて、結局、740円高で取引を終えました。日経平均の終値は575円高の39101円で、出来高は21.31億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

730日の米国市場では、6月のJOLTS求人件数や7月の消費者信頼感指数が市場予想を上回ったことから、米景気の底堅さが意識され、出遅れ感のある景気敏感株の一角が買われました。一方で、大型ハイテク企業の決算発表を見極めたいとの雰囲気も強く、一部のハイテク株へは持ち高調整の売りがかさみました。結局、NYDowは反発し、NASDAQ3営業日ぶりに反落しました。

731日の日本市場では、日銀の利上げ観測を背景に、リスク回避の動きが先行しました。前日の米ハイテク株安も重石となりました。ただ、実際に金融政策決定会合の結果が公表されると、不透明感が払拭されたことから買い戻しが活発化しました。また、バイデン政権が対中半導体輸出規制の対象国から日本や韓国を除外するとの報道も追い風となりました。日経平均は大引けにかけて急激に上昇幅を拡げ、結局は大幅に3日続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+4.1%とプラスに転換し、200日線との乖離率は+6.2%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上に出ました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドは黄信号から青信号に変りました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-1.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が700円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-1.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が430円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.39と前日より上昇し、VIX17.69と前日より上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.4と日本が4.6ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.63ポイント(日経平均換算で58270円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、6月の耐久財受注、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。5月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、725 5.5252% 726 5.5169% 729 5.5137%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.49PBR1.48となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+1.5%で、こちらは3か月前より7.0ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

前日のNYDowは上昇しました。日経平均は、下落して始まったものの、結局は大幅に上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.9%となり、日経平均の割安幅は1360円から340円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1360円から-340円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.19ポイントから3.09ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

731日の米国市場では、FOMCおよびパウエルFRB議長の会見、7月のADP雇用統計、6月の中古住宅販売仮契約指数のほか、メタ・プラットフォームズ、クアルコム、ボーイング、イーベイ、マスターカード、デュポン、オートマティックデータなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上下に逸脱しました。上値は想定ラインを340円ほど上回り、下値は想定ラインを160円ほど下回りました。目先は、25日線-500円(現在39530円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在38750円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、かなり弱まりました。日経平均は3日続伸し、75日線を上回りました。FOMCを波乱なく通過すれば、25日線までの戻りも期待できそうです。



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Tuesday, July 30, 2024

[2023/07/30]今後の日経平均の見通し

[市況]

729日、NYDowは下落し、NASDAQは小幅上昇しました。730日の日経平均先物は、前日比80円安で寄り付くと、午前中は80円安から400円安と下落幅を拡げ、午後は330円安から80円高と上昇に転じて、結局、40円高で取引を終えました。日経平均の終値は57円高の38525円で、出来高は17.27億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

729日の米国市場では、前週末の株高の反動で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出ました。一方、マクドナルドなど個別に材料の出た銘柄が買われ、指数を支えました。週内に大型ハイテク企業の決算発表やFOMCを控えて様子見ムードが強く、持ち高を一方に傾ける動きは限定的でした。NYDow3営業日ぶりに反落し、NASDAQは続伸しました。

730日の日本市場では、前日の株高の反動で、値がさ株を中心に利益確定の売りや戻り待ちの売りが先行しました。午前中は軟調な時間が続きましたが、午後には日経平均の下値の堅さを意識した買いが入り、相場を押し上げました。それまで売られていた半導体関連株の一角が買い直されたことも支えとなりました。結局、日経平均は小幅に続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-0.3%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+4.8%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の中にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1850円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が770円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.37と前日より低下し、VIX16.60と前日より上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.3と日本が4.9ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.80ポイント(日経平均換算で62740円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

7月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、6月の耐久財受注、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、722 5.5449% 723 5.5462% 724 5.5408%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.29PBR1.46となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+1.4%で、こちらは3か月前より8.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.4%となり、日経平均の割安幅は1130円から1360円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1360円から-590円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.16ポイントから3.19ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

730日の米国市場では、5月の住宅価格指数、5月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数、6月のJOLTS求人件数、7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、マイクロソフト、AMD、スターバックス、ペイパル、エレクトロニック・アーツ、ウェスタン・ユニオン、メルク、P&Gなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを330円ほど下回り、下値は想定ラインを100円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在38860円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+500円(現在38180円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。また、信用の売り圧力は、かなり強まりました。日経平均は小幅に続伸しました。日銀の利上げの有無やFOMCの結果次第ですが、75日線へ向けてリバウンドの動きが続きそうです。



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Monday, July 29, 2024

[2023/07/29]今後の日経平均の見通し

[市況]

726日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。729日の日経平均先物は、前日比660円高で寄り付くと、午前中は530円高から1020円高の間で上下し、午後は710円高から970円高の間で上下して、結局、760円高で取引を終えました。日経平均の終値は801円高の38468円で、出来高は16.12億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

726日の米国市場では、6月の個人消費支出(PCE)物価指数がおおむね市場予想通りの内容だったことや、46月期のGDP速報値がインフレ鈍化を示す内容だったことなどを受け、FRB9月にも利下げを開始するとの観測が強まり、足元で売られていたハイテク株や、出遅れ感のある景気敏感株などに買いが向かいました。NYDowは続伸し、NASDAQ4営業日ぶりに反発しました。

729日の日本市場では、前週末までの8日続落の反動で、幅広い銘柄に自律反発狙いの買いが入りました。前週末の米株式市場で主要3指数がそろって上昇したことや、注目度の高いハイテク関連銘柄で好決算が続いていることも投資家心理を上向かせました。ただ、30日から開かれる日銀の金融政策決定会合の結果を見極めたい投資家も多く、上値では利益確定売りも出ました。日経平均は9営業日ぶりに大幅反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-0.7%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率は+4.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の中に入りました。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にあり、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.9ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1880円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が880円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.47と前日より低下し、VIX16.39と前日より低下しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.3と日本が4.8ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.79ポイント(日経平均換算で61640円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

7月のミシガン大学消費者信頼感指数、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、6月の耐久財受注、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、722 5.5449% 723 5.5462% 724 5.5408%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.25PBR1.46となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.8%で、こちらは3か月前より10.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-2.9%となり、日経平均の割安幅は1310円から1130円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1310円から-590円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.19ポイントから3.16ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

729日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。マクドナルド、ロウズ、オン・セミコンダクターなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを500円ほど上回り、下値は想定ラインを590円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在38880円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ+300円(現在38020円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。一方、信用の売り圧力は弱まりました。日経平均は大幅に反発しました。FOMCの結果公表までは、75日線へ向けてリバウンドの動きが続きそうです。



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Saturday, July 27, 2024

[2024/7/28]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、FRB9月にも利下げを始めるとの見方から、景気敏感株が買われた一方、決算に伴い一部ハイテク株が売られ、株価指数はまちまちとなりました。

週間変動率 NYダウ:+0.75%, NASDAQ:-2.08%, S&P500:-0.83%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.90ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER22.1に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.9との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.90ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER41.9程度になるか、又は、日経平均が99,240円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は61,580円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、61,580円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2025GDP予測値(現在+2.9%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。今週は、NYダウが25日線を維持できるか否かに注目。

  3月期本決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.0%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+1.8%となりました。3ヶ月前に比べて10.7%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.21から3.14と縮小して、ドル円は157円台から151円台の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.04%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+2.9%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.0ポイント劣ります。

  7月第3週は売り超しで、7月第4週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に7.0ポイント(日経平均に勘算すると2640円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に4.4ポイント(日経平均に勘算する1660円程度)割高です。

 

日本市場はNYダウに対しては強く、NASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 16.4 と低下しました。 日経 VI は 週間で 22.2と上昇しました。米国市場はやや楽観的で日本市場は悲観的です。

 

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の下に在ります。日経平均の総合乖離率は-6.9%となり、また、200日移動平均線との乖離率は+2.7%でした。 2つの要素がマイナスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。

NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の中に在ります。

短期的には"信号”で、中期的にも"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。

日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。

 

為替市場を分析すると、19904月以来の160円台となっています。今週は153台から150台が想定されます。

 

今週の米国市場では、FRBの利上げ決定と雇用統計が注目されます。その他、JOLT求人倍率、CB消費者信頼感指数、ISM製造業PMI、製造業受注、S&Pケース・シラー住宅価格指数、住宅販売保留件数、主要企業の決算発表も注目されます。世界的には、イングランド銀行、日本銀行が金融政策を発表します。また、ユーロ圏のインフレ率とGDP成長率、中国の製造業とサービス業のPMIなどが注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下振れしました。上値は想定を60円ほど下回り、下値は想定ラインを130円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線 (現在40050円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在37740円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週も、米国の経済指標や主要企業の四半期決算が景気後退を示唆するか、利下げ時期にどう影響するかを検証する週となりそうでが、日経平均は売られ過ぎのから、リバウンドが期待できそうです。


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Friday, July 26, 2024

[2023/07/26]今後の日経平均の見通し

[市況]

725日、NYDowは上昇し、NASDAQは下落しました。726日の日経平均先物は、前日比100円高で寄り付くと、午前中は60円安まで下落したのち370円高まで上昇幅を拡げ、午後は340円高から130円安と下落に転じて、結局、40円安で取引を終えました。日経平均の終値は202円安の37667円で、出来高は17.81億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

725日の米国市場では、46月期の実質GDP速報値が市場予想を上回ったことから、米景気への過度な懸念が後退し、ボーイングやキャタピラーなど相対的に出遅れ感のある景気敏感株や、IBMなど一部のハイテク株が買われました。一方で、これまで人気が集中してきた主力ハイテク株は引き続き売られました。NYDow3営業日ぶりに反発しましたが、NASDAQ3日続落しました。

726日の日本市場では、前日の米ハイテク株安の流れを受け、半導体関連株などに売りが先行しました。売り一巡後は短期的な戻りを期待した買いが相場を押し上げましたが、FOMCや日銀の金融政策決定会合を来週に控えて買い手控えムードも強く、引けにかけては主力株への売りが強まって指数を押し下げました。日経平均は8日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は-6.9%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率は+2.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドも青信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が2260円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-2.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1020円ほど割安であることを示しています

 

日経VI22.05と前日より上昇し、VIX18.46と前日より上昇しました。日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.2、米国-0.2と日本が5.0ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.07ポイント(日経平均換算で69080円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の46月期のGDP速報値は前期比年率2.8%増で、市場予想の2.1%増を上回りました。また、46月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数は市場予想を上回りました。一方、6月の耐久財受注、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、6月の新築住宅販売件数、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、722 5.5449% 723 5.5462% 724 5.5408%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.91PBR1.43となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.2%で、こちらは3か月前より10.7ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-3.4%となり、日経平均の割安幅は980円から1310円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-1310円から-590円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.20ポイントから3.19ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

726日の米国市場では、6月の個人所得、6月の個人消費支出、6月のPCE価格指数のほか、エーオン、3M、ブリストルマイヤーズ、コルゲート・パルモリブなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを380円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド-2σ+500円(現在38240円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-300円(現在37440円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を上回っています。また、信用の売り圧力は、強い状態です。日経平均がボリンジャーバンド-2σを下回ったことで、日本株の弱さが確認されましたが、米PCE価格指数次第では、まだ下げ止まる可能性も少しありそうです。



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