[市況]
7月4日、米国市場は休場でした。7月5日の日経平均先物は、前日比20円安で寄り付くと、午前中は230円高から70円安の間で上下し、午後は130円高から140円安の間で上下して、結局、30円安で取引を終えました。日経平均の終値は1円安の40912円で、出来高は16.36億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、やや強まりました。
7月4日の米国は独立記念日の祝日で、株式市場は休場でした。
7月5日の日本市場では、前日の欧州株高の流れを受けて幅広い銘柄に買いが先行しました。日経平均は取引時間中としての最高値を更新しましたが、朝方の買い一巡後は短期的な過熱感から利益確定の売りが出て相場を押し下げました。外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に振れたことも重石となりました。結局、日経平均は6営業日ぶりに小幅に反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+22.5%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+13.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が点灯しています。中期トレンドにも青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.7ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1920円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+8.0ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が3270円ほど割高であることを示しています。
日経VIは16.76と前日より低下しました。VIXも12.08と低水準です。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さはやや縮小しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-4.7、米国-0.1と日本が4.6ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.4、米国が+3.9)は0.5ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.06ポイント(日経平均換算で97770円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の1~3月期のGDP確定値は前期比年率1.4%増で、改定値の1.3%増を上回りました。また、1~3月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
6月のシカゴ購買部協会景気指数、6月のミシガン大学消費者信頼感指数、5月の耐久財受注、5月の鉱工業生産指数、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の消費者物価指数、5月の小売売上高は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です。
米国の5月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比27.2万人増で、市場予想の18.0万人増を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%で、前月の3.9%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ次期が遅れるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数、5月の住宅着工件数、6月の住宅市場指数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は2勝4負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
市場は、FRBが2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、7月1日 5.5825% → 7月2日 5.5797% → 7月3日 5.5758%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが17.35、PBRが1.55となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+0.9%で、こちらは3か月前より11.3ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
前日の米国市場は休場でしたが、日経平均は小幅に下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.0%となり、日経平均の割高幅は650円から810円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-290円から+810円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.29ポイントから3.29ポイントと横ばいでした。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています。
7月5日の米国市場では、6月の雇用統計が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを200円ほど下回り、下値は想定ラインを290円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+3σ-400円(現在41000円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在40260円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っています。また、信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。日経平均は、3月22日のザラ場に付けた高値(41088円)をいったん上回りました。継続的に上昇できるかどうかが今後の注目点です。
ブログランキング・アップに、ご協力をお願いします。