[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、次期大統領候補のトランプ氏の発言から対中規制強化への懸念や台湾情勢を巡る不透明感が意識されて、半導体株を中心にハイテク銘柄が売られ、株価指数はまちまちとなりました。
週間変動率 NYダウ:+0.72%,
NASDAQ:-3.65%, S&P500:-1.97%.
一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.67ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500のPERが22.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの17.0との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.67ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが45.5程度になるか、又は、日経平均が107,050円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は66,980円ほど割安です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、66,980円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2025年GDP予測値(現在+2.9%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線を維持できるか否かに注目。
② 3月期本決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+8.9%となりました。3ヶ月前に比べて0.1ポイント悪化しました。また、利益伸び率は+1.2%となりました。3ヶ月前に比べて11.1%ポイント悪化しています。
③ 米国の長期金利は上昇下し、日米間の金利差は3.13から3.21と拡大して、ドル円は157円台から158円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.27%上昇しました。
④ OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+2.9%で、米国は+3.9%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.0ポイント劣ります。
⑤ 7月第2週は買い超しで、7月第3週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①と③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に3.0ポイント(日経平均に勘算すると1200円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に3.0ポイント(日経平均に勘算する1200円程度)割高です。
日本市場はNYダウに対しては強く、NASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
16.5 と上昇しました。 日経 VI は 週間で 19.5と上昇しました。米国市場はやや楽観的で日本市場はやや悲観的です。
日経平均は、9日線の下にありますが、25日線の上にあります。短期トレンドには"黄信号”が点灯しています。
日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。日経平均の総合乖離率は+12.3%となり、また、200日移動平均線との乖離率は+9.7%でした。 3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。
米国市場では、NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。
NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。また、一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には"黄信号”で、中期的には"青信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。
直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。
日本市場は中期もみあいで、短期は上昇トレンドです。
為替市場を分析すると、1990年4月以来の160円台となっています。今週は157台から159台が想定されます。
今週の米国市場では、第2四半期GDP成長率速報値、PCE価格指数が主な注目材料となります。また、S&Pグローバル製造業・サービス業PMI、耐久財受注、中古住宅販売件数も注目されます。世界的には、日本、ユーロ圏、イギリスの製造業・サービス業PMI、中国人民銀行の金融政策、韓国のGDP成長率なども注目されます
先週の日経平均は、想定レンジを下振れしました。上値は想定を680円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど下回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値が25日線
(現在40000円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在37680円近辺)の間での動きが想定されます。
今週も、米国の経済指標や主要企業の四半期決算が景気後退を示唆するか、利下げ時期にどう影響するかを検証する週となりそうでが、日経平均の調整は続きそうです。
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