日経平均の予想: [2023/07/23]今後の日経平均の見通し

Tuesday, July 23, 2024

[2023/07/23]今後の日経平均の見通し

[市況]

722日、NYDowNASDAQは上昇しました。723日の日経平均先物は、前日比470円高で寄り付くと、午前中は470円高から120円高と上昇幅を縮め、午後は30円高から200円高の間でもみあって、結局、60円高で取引を終えました。日経平均の終値は4円安の39594円で、出来高は13.90億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強い状態です。

 

722日の米国市場では、前週末に大きく売られた反動で、主力株の一部に押し目買いが入りました。また、中国への輸出規制に沿った新しいAI向け半導体を開発していると伝わったエヌビディアが5%弱上昇し、他のハイテク株にも買いが波及しました。ただ、世界規模のシステム障害を惹き起こしたクラウドストライク・ホールディングスは引き続き大幅安となりました。NYDow3営業日ぶりに反発し、NASDAQ4営業日ぶりに反発しました。

723日の日本市場では、前日の米株式相場の反発を手がかりに、値がさの半導体関連株の一角が買われました。足元の株安の反動で、自律反発狙いの買いも入りました。ただ、日銀の金融政策決定会合や主要企業の決算発表、FOMCなどを前に様子見ムードも強く、朝方の買いが一巡したあとは上値の重い展開となりました。結局、日経平均は小幅に5日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+8.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+8.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の下にありますが、200日線の上にあり、25日線を上回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-6.2ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が2450円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.2ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が480円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.06と前日より低下し、VIX14.91と前日より低下しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.2と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.9、米国が+3.9)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.73ポイント(日経平均換算で66650円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率1.4%増で、改定値の1.3%増を上回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は57負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、717 5.5410% 718 5.5436% 719 5.5446%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.81PBR1.50となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.1%で、こちらは3か月前より10.9ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.7%となり、日経平均の割安幅は790円から670円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-820円から-150円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.18ポイントから3.19ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

723日の米国市場では、6月の中古住宅販売件数のほか、アルファベット、TI、テスラ、コムキャスト、GM、キンバリー・クラーク、コカ・コーラ、ムーディーズ、フィリップモリス・インターナショナル、ロッキード・マーチン、インベスコなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを170円ほど下回り、下値は想定ラインを300円ほど上回りました。目先は、25日線-200円(現在39890円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ(現在39020円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回りました。一方、信用の売り圧力は強い状態です。日経平均は小幅に5日続落しました。引き続き、75日線(現在39107円)を下回るかどうかが、次の注目点です。



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