日経平均の予想: February 2023

Tuesday, February 28, 2023

[2023/03/01]今後の日経平均の見通し

[市況]

228日、NYDowNASDAQは下落しました。31日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は170円安から20円安と下落幅を縮め、午後は20円安から70円高と上昇に転じて、結局、60円高で取引を終了しました。日経平均の終値は70円高の27516円で、出来高は11.29億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強まりました。

 

228日の米国市場では、FRBの利上げが長引くとの観測を背景に長期金利が上昇したことから、株式の相対的な割高感が意識され、売りが優勢となりました。31日に発表される2月のISM製造業景況指数が1月から上昇すると市場で予想されていることもあり、警戒感から引けにかけて売りが加速しました。NYDowNASDAQは反落しました。

31日の日本市場では、前日の米株安が重石となり、グロース(成長)株を中心に売りが先行しましたが、中国の2月のPMIが市場予想を大幅に上回ったと伝わると、中国関連銘柄や景気敏感株に買いが入り、相場を押し上げました。3月期末を基準日とする配当の権利取り目的の買いも支えとなりました。日経平均は続伸しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。

総合乖離率は+1.8%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+0.8%とプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.3ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が80円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-0.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が30円ほど割安であることを示しています

 

日経VI15.82と低下し、VIX20.70と低下しました。VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっていることを示しています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前日より弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-1.6と日本が5.6ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.49ポイント(日経平均換算で39130円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月の小売売上高、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指、1月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、1月の鉱工業生産指数、12月の製造業受注、1月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ停止が近付くという面では強気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比51.7万人増で、市場予想の19.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立で

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、223 4.9578% 224 4.9534% 227 4.9624%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023227日に記録した4.9624%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.06PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+4.4%で、こちらは3か月前より2.2ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.5%となり、日経平均は110円の割安から130円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円から+130円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.44ポイントから3.45ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

31日の株式市場では、2月のISM製造業景況指数のほか、ロウズ、ダラー・ツリー、セールスフォース・ドットコムなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを220円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ+100円(現在27850円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在27120円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっています。日経平均は相変わらず膠着ぎみに推移していますが、ボリンジャーバンドが狭まってきており、そろそろ上下どちらかに大きく動く局面に入りそうです。



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Monday, February 27, 2023

[2023/02/28]今後の日経平均の見通し

[市況]

227日、NYDowNASDAQは上昇しました。228日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付くと、午前中は170円高から100円高の間でもみあい、午後は110円高から10円安と一時下落に転じて、結局、60円高で取引を終了しました。日経平均の終値は21円高の27445円で、出来高は13.88億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

227日の米国市場では、長期金利の上昇一服が安心感につながり、短期的な売られ過ぎ感を意識した押し目買いが優勢となりました。ただ、利上げが長期化するとの懸念は根強く、買い一巡後は指数は伸び悩みました。2月のISM製造業・非製造業景況指数を見極めたいとの思惑もあり、積極的にリスクをとる動きは限定的でした。結局、NYDowNASDAQは反発しました。

228日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数が上昇した流れが引き継がれ、グロース(成長)株を中心に買いが先行しました。ただ、日経平均が心理的な節目の27500円を上回る水準では戻り待ちの売りが出て、相場の上値を抑えました。午後は一段と伸び悩み、日経平均は下落に転じる場面もありましたが、結局は小幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+1.1%とプラス幅を拡げ、200日線との乖離率は+0.6%と前日比横ばいでした。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.0ポイントとプラス幅を縮め、両指数がほぼ均衡していることを示しています。また、NYDowとの差は、-1.0ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が270円ほど割安であることを示しています

 

日経VI16.43と低下し、VIX20.95と低下しました。VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっていることを示しています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態であり、前日より弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-1.7と日本が5.5ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.49ポイント(日経平均換算で38840円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月の小売売上高、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、1月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、1月の鉱工業生産指数、12月の製造業受注、1月のISM製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指は市場予想を下回りました。経済指標57負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ停止が近付くという面では強気材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比51.7万人増で、市場予想の19.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、222 4.9281% 223 4.9578% 224 4.9534%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023223日に記録した4. 9578%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.06PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+4.2%で、こちらは3か月前より2.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は130円から110円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-410円から-110円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.45ポイントから3.44ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

228日の株式市場では、12月のS&Pコアロジック/ケース・シラー住宅価格指数や、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数のほか、ターゲットなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを90円ほど下回り、下値は想定ラインを260円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在27750円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ-100円(現在27100円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。一方、VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっています。日経平均は膠着ぎみに推移していますが、ボリンジャーバンドが狭まってきており、そろそろ上下どちらかに大きく動く局面に入りそうです。



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Sunday, February 26, 2023

[2023/02/27]今後の日経平均の見通し

[市況]

224日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。227日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は90円安から80円高と上昇に転じ、午後は0円高から70円高の間でもみあって、結局、30円高で取引を終了しました。日経平均の終値は29円安の27423円で、出来高は9.89億株と比較的高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラスに転換しました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態となりました。

空売り比率は5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

224日の米国市場では、幅広い銘柄に売りが膨らみました。1月の個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想を上回ったことから、インフレの高止まりが続きFRBによる利上げ停止の時期が遠のくとの警戒感が高まりました。わけても、長期金利の上昇が重石となり、高PERのハイテク株への売りが目立ちました。NYDowは反落し、NASDAQ3日ぶりに反落しました。

227日の日本市場では、前週末の米株式市場が大幅に下落した流れを受け、売りが先行しました。しかし、売り一巡後は円安ドル高を手がかりにホンダなど自動車株が堅調となり、相場の下値を支えました。午後は材料不足で膠着した展開となりました。日経平均は小幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の下にあり、25日線を下回りました。短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。

総合乖離率は+0.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.6%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の下に出ました。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号が点灯しています。中期トレンドには黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.6ポイントとプラスに転換し、日経平均が160円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-0.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が220円ほど割安であることを示しています

 

日経VI16.77と上昇し、VIX21.67と上昇しました。VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっていることを示しています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前週末より弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.2、米国-1.6と日本が5.6ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.52ポイント(日経平均換算で39240円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月の小売売上高、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、1月の鉱工業生産指数、12月の製造業受注、1月のISM製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指は市場予想を下回りました。経済指標66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比51.7万人増で、市場予想の19.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

1月の新築住宅販売件数数、2月の住宅市場指数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、1月の住宅着工件数、1月の中古住宅販売件数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、222 4.9281% 223 4.9578% 224 4.9534%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023223日に記録した4. 9578%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.02PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.6%で、こちらは3か月前より2.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は110円から130円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-550円から-110円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.37ポイントから3.45ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

227日の株式市場では、1月の耐久財受注や、1月の中古住宅販売仮契約指数などが注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを300円ほど下回り、下値は想定ラインを120円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在27650円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-200円(現在27180円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。一方、VIX20を上回っており、米国市場では不安心理が高まっています。日経平均は上値が重い状態ですが、円安が下値を支える環境が続きそうです。



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Saturday, February 25, 2023

[2023/02/26]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、長期金利の上昇やPCEがインフレ圧力の強さ示したことで、株価指数は売りが優勢となりました。

週間変動率 NYダウ:-2.99% NASAQ:-3.33% S&P500:-2.67%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.45ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.9に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER13.1との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.45ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER31.5程度になるか、又は、日経平均が66020円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は38560円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、38560円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陰線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.1となりました。3ヶ月前と同水準です。また、利益伸び率は+3.63ヶ月前に比べて-2.5%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は上昇し、日米間の金利差は3.31から3.44に拡大して、ドル円は133円から136円の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+1.33%上昇しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  23週は買い越しでした。24週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、③が強気材料で、①が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に0.7ポイント(日経平均に勘算すると190円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に0.7ポイント(日経平均に勘算する190円程度)割安です。

 

米国市場に対する日本市場の弱さは、この週に改善されました。 米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 21.7 まで上昇しました。 日経 VI は 週間で 16.6まで上昇しました。米国市場はやや悲観的ですが、日本市場はまだ楽観的であることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線の下にありますが、25日線の上にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は+1.4%で、200日移動平均線との乖離率は+0.7%でした。3つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"青信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQも、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には赤信号で、中期的には黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです。日本市場は中期上昇レンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、202111月より円高方向へ転換しましたが1月中旬から円安方向で推移しています。今週は135円台から137円台が想定されます。

 

今週、米国では、ISM製造業景気指数 シカゴ購買部協会景気指数の発表に加え、複数のFRB当局者の発言が注目されます。その他、インド、オーストラリア、ブラジルのGDP成長率、中国のPMI、ユーロ圏のインフレ率も注目されます。

 

先週の日経平均は、想定レンジを下ぶれしました。上値は想定ラインを160円ほど下回り、下値は想定ラインを40円ほど下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+2σ(現在27920円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-2σ(現在26920円近辺)の間での動きが想定されます。

 

今週は、米国の景気指数が注目されますが、米長期金利とVIXは上昇傾向であり、引き続き、成長株には売り圧力がかかりやすい状態が続きそうです。ただ、円安が下値を支える要因となりそうです。


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