日経平均の予想: [2023/02/17]今後の日経平均の見通し

Thursday, February 16, 2023

[2023/02/17]今後の日経平均の見通し

[市況]

216日、NYDowNADSAQは大幅下落しました。217日の日経平均先物は、前日比190円安で寄り付くと、午前中は230円安から80円安の間で上下し、午後は160円安から210円安の間でもみあって、結局、210円安で取引を終了しました。日経平均の終値は183円安の27513円で、出来高は11.13億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

また、空売り比率は5日平均を5日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

216日の米国市場では、1月の卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことから、FRBが早期に利上げを休止するとの観測が後退し、株売りが進みました。長期金利の上昇を受けて高PERのハイテク株が売られたほか、消費関連株への売りも嵩みました。クリーブランド連銀のメスター総裁が、一段の利上げに積極的な発言をしたことも、投資家心理の重石となりました。NYDowは反落し、NASDAQ4日ぶりに反落しました。

217日の日本市場では、前日の米株式市場で主要な株価指数がそろって下落した流れが引き継がれ、リスク回避の売りが優勢となりました。日経平均は前日におよそ2か月ぶりの高値水準をつけており、利益確定の売りも出やすい環境でした。ただ、下値では押し目買いが入ったほか、円相場の下落を受けて先物に買い戻しが入ったことも相場の支えとなりました。日経平均は反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は25日線の上にありますが、9日線を下回りました。短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+2.7%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.9%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。

 

NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.1ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が850円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-3.3ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が910円ほど割安であることを示しています

 

日経VI15.40と上昇し、VIX20.17と上昇しました。VIX20を上回り、不安心理が高まったことを示しています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態ですが、前日より弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.1、米国-1.5と日本が5.6ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.61ポイント(日経平均換算で41950円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.9%増で、市場予想の2.8%増を上回りました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月の小売売上高、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の消費者物価指数、2月のミシガン大学消費者信頼感指数、1月のISM非製造業景況指数、12月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、1月の鉱工業生産指数、12月の製造業受注、1月のISM製造業景況指数、1月のシカゴ購買部協会景気指数、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指は市場予想を下回りました。経済指標66負で、景気・金利の両面で中立材料です

 

米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比51.7万人増で、市場予想の19.0万人増を大きく上回りました。また、失業率は3.4%で、先月の3.7%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の住宅市場指数、12月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、12月の新築住宅販売件数数、12月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+6.8%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立材料です。

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、213 4.8635% 214 4.8715% 215 4.8765%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、2023215日に記録した4. 8765%がここ5年間の最高金利です。市場金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER13.09PBR1.18となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+3.2%で、こちらは3か月前より3.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.6%となり、日経平均の割安幅は420円から460円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-460円から+0円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.29ポイントから3.39ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

217の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを340円ほど下回り、下値は想定ラインを130円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ+100円(現在27840円近辺)が上値の目安に、25日線-100円(現在27140円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

空売り比率は、5日平均を5日ぶりに上回りました。また、VIX20を上回り、米国市場では不安心理が高まっています。日経平均は反落しましたが、まだ明確な方向感は出ていません。200日線を下回るかどうかが、次の注目点です。



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