日経平均の予想: April 2019

Friday, April 26, 2019

[2019/04/26]今後の日経平均の見通し

[市況]
425日、NYDowは下落し、NASDAQは上昇しました。426日の日経平均先物は、前日比190円安で寄り付くと、午前中は150円安から290円安の間でもみあい、午後は250円安から70円安と下げ幅を縮めて、結局100円安で取引を終えました。日経平均の終値は48円安の22258円で、出来高は13.18億株と高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

425日の米国市場では、四半期決算がふるわなかった3Mが急落し、1銘柄でNYDow192ドルあまり押し下げました。一方、決算が好感されたマイクロソフトやフェイスブックなど主力ハイテク株の一角が買われ、NASDAQは上昇しました。
426日の日本市場では、前日のNYDowが下落したことや、外国為替市場で円高ドル安が進んだことなどが嫌気され、売りが先行しました。また、米半導体株安を受けて半導体関連株が売られ、相場を下押ししました。ただ、午後に入ると、日銀のETF買い観測や連休を意識した持ち高調整の買いが相場を支え、日経平均は下げ渋りました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+8.2%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.7%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より0.4ポイント拡大して-6.5ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1450円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.29ポイント(日経平均で15800円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.2%増で、速報値の2.6%増から下方修正されました1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月の耐久財受注、3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比196000人増で、市場予想の177000人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、4月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送りする方針です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、418 2.5811% 423 2.5802% 424 2.5863%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。直近では上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.6PBR1.14となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.8%で、こちらは3か月前より3.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.9%となり、日経平均の割高幅は150円から180円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円 から+180円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.56ポイントから2.58ポイントに拡大しましたが、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

426日の米国市場では、13月期のGDP速報値のほか、エクソンモービルやシェブロンなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインを40円ほど下回りました。連休明けについては、ボリンジャーバンド+2σ(現在22610円近辺)が上値の目安に、25日線(現在21810円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Thursday, April 25, 2019

[2019/04/25]今後の日経平均の見通し

[市況]
424日、NYDowNASDAQは下落しました。425日の日経平均先物は、前日比60円高で寄り付くと、午前中は20円安から120円高の間でもみあい、午後は60円高から190円高と上昇幅を拡げて、結局180円高で取引を終えました。日経平均の終値は107円高の22307円で、出来高は12.21億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

424日の米国市場では、売りが優勢となりました。4月の独Ifo企業景況感指数が市場予想に届かなかったことや、中国人民銀行が「預金準備率をさらに引き下げると」のうわさを否定したことなどを受け、世界景気の先行きに対する懸念が広がりました。
425日の日本市場では、買いが優勢となりました。日銀が金融政策決定会合で「少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」と明示したことが、株価指数先物への買い戻しをさそいました。外国為替市場の円安ドル高傾向も好感されました。ただ、主要企業の決算発表を見極めたいとの思惑もあり、指数の上値は限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+9.2%と前日よりプラス幅を拡げ、200日線との乖離率も+1.9%と前日よりプラス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より0.7ポイント縮小して-6.1ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1360円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.31ポイント(日経平均で15890円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.2%増で、速報値の2.6%増から下方修正されました1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数、2月の耐久財受注、3月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比196000人増で、市場予想の177000人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、4月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送りする方針です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、417 2.5915% 418 2.5811% 423 2.5802%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。直近では上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.6PBR1.14となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.2%で、こちらは3か月前より3.2ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均は60円の割安から150円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円 から+150円の間で推移しています。
一方、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.60ポイントから2.56ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

425日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、3月の耐久財受注のほか、アマゾン・ドット・コム、インテル、フォード、3M、ロックウェル・オートメーション、ヘス、コムキャストなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-100(現在22460円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100(現在22080円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, April 24, 2019

[2019/04/24]今後の日経平均の見通し

[市況]
423日、NYDowNASDAQは上昇しました。424日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は130円高から10円安と下げに転じ、午後には120円安まで下げ幅を拡げて、結局70円安で取引を終えました。日経平均の終値は59円安の22200円で、出来高は12.14億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

423日の米国市場では、買いが優勢となりました。ツイッター、コカ・コーラ、ユナイテッド・テクノロジーズなどが相次いで市場予想を上回る業績を発表し、投資家心理が強気に傾きました。また、NASDAQ8か月ぶり、S&P5007か月ぶりに過去最高値を更新しました。
424日の日本市場では、前日の米株式相場の上昇を好感した買いが先行しましたが、買い一巡後は利益確定の売りに押される展開となりました。10連休を前に買い控えムードが強まる中、上海市場の下落も重石となりました。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+8.0%と前日よりプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+1.5%と前日よりプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには青信号が、中期トレンドにも青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は前日より1.6ポイント拡大して-6.8ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1510円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2020年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.4ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.35ポイント(日経平均で16120円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.2%増で、速報値の2.6%増から下方修正されました1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景気指数、2月の耐久財受注、3月のISM製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の製造業受注は市場予想と一致しました。一方、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比196000人増で、市場予想の177000人増を上回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の3.8%から横ばいでした。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。3月の新築住宅販売件数は市場予想を上回りました。また、4月の住宅市場指数は市場予想と一致しました。一方、3月の中古住宅販売件数、3月の住宅着工件数、2月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げを年内は見送りする方針です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。一方、日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日からはマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整するとし、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、416 2.6008% 417 2.5915% 418 2.5811%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあります。直近では上昇は一服していますが、ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っており、世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しています。金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.6PBR1.14となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.2%で、こちらは3か月前より3.1ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.2%となり、日経平均は120円の割高から60円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-60円 から+120円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.62ポイントから2.60ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的・中期的に上昇トレンドです。日経平均も、短期的・中期的に上昇トレンドです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

424日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。マイクロソフト、キャタピラー、フェイスブック、バイオジェン、ビザ、ペイパル、アンフェノール、ノースロップ・グラマン、AT&Tなどの四半期決算が注目されそうです。

今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを50円ほど下回り、下値は想定ラインを90円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-200(現在22310円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-200(現在21930円近辺)が下値の目安になりそうです。



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