日経平均の予想: March 2019

Saturday, March 30, 2019

[2019/03/31]今週の日経平均の見通し

[ファンダメンタルの現状認識]
先週の米国市場では、米中貿易交渉が順調との見方が広がって、買いが優勢となりました。一方、中長期的には、米国政治の混乱FRBの利上げ、欧州政治の混乱、欧州の銀行の信用力不足と信用収縮懸念中国など新興国の景気減速、貿易戦争などによる世界経済の減速懸念や、中東、朝鮮半島やウクライナの地政学的リスクに引き続き注意が必要です。

日米市場のイールド・スプレッドの差は、発表された2020年のOECDの実質GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.29ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.0に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.3との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
これは、現在の日経平均の価格に対して、2020年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.3%分拡がる(日本が下方修正又は米国が上方修正される)か、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER20.8程度になる(今期業績が下方修正されるか、又は、日経平均が35710円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は14510円ほど割安です。

[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇、
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大と一段の円安、
OECDによる日本の2020GDP予測値(現在+0.68%)の上方修正、
⑤外人の買い越し、

最近の動きを見ると、
   先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は住宅指標、四半期決算発表、3月のISM製造業景気指数、3月の雇用統計、が注目されそうです。NYDow25日線の上を維持できるか否かに注目したいと思います。
   日経225採用銘柄の今期予想増益率は10-12月期の決算発表に伴い、ROE予想値は9.1%3ヶ月前に比べて0.2ポイント悪化しています。また、今期業績予想の利益伸び率は-6.1%3ヶ月前に比べて3.9ポイント悪化しています。
   米国の長期金利は低下し、日米の金利差は2.52%から2.51%と縮小したものの、為替は109台から110円台で円安方向の動きでした。
   OECDの日米の2020年の実質GDP伸び率予測が改定されて、日本が+0.68%で、米国は+2.13%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.45ポイント劣ります。
   33週は売り越しで、34週は売り越しだった可能性が高く、今週は買い越しが予想されます。
5つのポイントのうち、①⑤が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に6.7ポイント(日経平均に勘算すると1420円程度)割安となっています。先週と比べ割安幅は拡大しました。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は-3.3%となり先週と比較してマイナス転換しました。200日移動平均線乖離率は-3.3%でマイナス幅が拡大しました。2つの要素がマイナスすので、中期トレンドは、"黄信号"が点灯しています。
日経平均は、9日線、25日線の下にあります。短期的トレンドには"赤信号"が点灯しています。

米国市場ではNY Dow200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。Nasdaq200日線、25日線、9日線の上に在ります。一目均衡表の雲の上に在ります。
短期的には青信号"で、中期的にも青信号"が点灯しています。

[今週の見通し]
米国市場をファンダメンタル面で見ると米国の利上げ、米企業業績の伸び悩み、信用収縮に伴う金融市場混乱、北朝鮮の情勢、ハイイールド債市場の下落などの懸念は後退しているものの、世界的な長期金利低下傾向、米国の景気減速、原油相場の低迷、米国政治の不透明感、EU圏の銀行の信用力不足と政治情勢、中国など新興国の景気減速や貿易戦争に伴う世界経済減速懸念、中東やウクライナの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

中国の不動産価格は大都市では横ばいですが設備過剰など中国全体の不良債権問題は解消していません。処理を急ぐと目先の市場下落を招き、先延ばしすると景気後退が長引く懸念があります。

また、直近のLIBOR金利は上昇傾向で、ここ5年来の高値を更新し続け、世界全体の不良債務が増加を続けていることを暗示しており、金融不安再燃の可能性が意識されています。

一方、好材料としては米国の緩やかな利上げペースの可能性、トランプ大統領の政策期待、日銀による2%のインフレターゲットの設定やマイナス金利導入と80兆の国債・6兆円のETF購入などの金融緩和措置に加え、長期金利操作と金融緩和の継続期間明確化やECBによる政策金利水準の年内維持表明などが揚げられます。

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。日本市場は中期もみあいで、短期は下降トレンドです

先週の為替市場を分析すると、米国の長期金利は低下し、日米長期金利差は縮小したものの、為替は週間では円安でした。今週は110円台から112円台が想定されます。こからは、テクニカル指標、米国市場動向、為替の動き、外国人投資家動向を注目する必要があります。


先週の日経平均は、想定レンジを下回りました。上値は想定ラインを10円ほど上回り、下値は想定ラインを140円ほど下回りました。今週の日経平均は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在21640円近辺)で、下値はボリンジャーバンド-1σ(現在20210円近辺)の間での動き想定されます


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Friday, March 29, 2019

[2019/03/29]今後の日経平均の見通し

[市況]
328日、NYDowNASDAQは上昇しました。329日の日経平均先物は、前日比190円高で寄り付くと、午前中は220円高から80円高の間でもみあい、午後は180円高から110円高の間でもみあって、結局130円高で取引を終えました。日経平均の終値は172円高の21205円で、出来高は11.75億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

328日の米国市場では、米中貿易協議の再開を受けて交渉進展への期待が広がり、キャタピラーや3Mなど中国売上比率の高い銘柄を中心に買いが広がりました。また、長期金利の低下が一服し、銀行株が買われたことも相場を押し上げました。
329日の日本市場では、前日の米株高が投資家心理を改善させ、買いが優勢となりました。外国為替市場で円相場が対ドルで下落したことや、アジアの株式相場が堅調に推移したことなども支えとなりました。ただ、米中貿易協議の行方や中国の3月のPMIを見極めたいとの思惑もあり、上値を追う動きは限定的でした。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-3.3%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-3.3%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が、中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.6ポイント縮小して-5.9ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1250円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.26ポイント(日経平均で14310円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP確定値は前期比年率2.2%増で、速報値の2.6%増から下方修正されました。また、1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の製造業受注、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2万人増で、市場予想の18万人増を大幅に下回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の4.0%から低下しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は15負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、325 2.6087% 326 2.5973% 327 2.6010%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にありますが、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.3PBR1.12となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.0%で、こちらは3か月前より3.9ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.0%となり、日経平均は50円の割高から10円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 から+240円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.49ポイントから2.45ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

329日の米国市場では、3月のシカゴ購買部協会景気指数や、2月の新築住宅販売件数のほか、カーマックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを60円ほど上回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、25日線(現在21430円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-2σ(現在21000円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Thursday, March 28, 2019

[2019/03/28]今後の日経平均の見通し

[市況]
327日、NYDowNASDAQは下落しました。328日の日経平均先物は、前日比250円安で寄り付くと、午前中は190円安から420円安と下げ幅を拡げ、午後は260円安から380円安の間でもみあって、結局320円安で取引を終えました。日経平均の終値は344円安の21033円で、出来高は12.25億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

327日の米国市場では、売りが優勢となりました。長短金利の逆転が一段と進むとの観測が世界経済減速への警戒感につながりました。一方で、1月の貿易赤字が市場予想以上に縮小したことが相場を下支えしました。
328日の日本市場では、英国のEU離脱問題やトルコの信用不安、欧米の半導体株安などの外部要因が投資家心理を悪化させ、幅広い銘柄に売りが広がりました。日経平均の下げ幅は一時400円を超えました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-5.8%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-4.2%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にあり、9日線と25日線を下回りました。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が、中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.0ポイント拡大して-6.5ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1370円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.28ポイント(日経平均で14120円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.6%増で、79月期の確定値3.4%増を下回りました。また、1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の製造業受注、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2万人増で、市場予想の18万人増を大幅に下回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の4.0%から低下しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売件数、1月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうですが、先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあります。にもかかわらず、景気後退リスクが意識されており、長期金利が下降傾向にあることは気がかりです。直近では長短金利の逆転状態も見られ、これがどの程度続くかには注意が必要です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、322 2.6096% 325 2.6087% 326 2.5973%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にありますが、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.2PBR1.11となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-6.1%で、こちらは3か月前より4.0ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均の割高幅は240円から50円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 から+240円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.49ポイントから2.45ポイントに縮小し、ドル円相場は円高方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

328日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、1012月期のGDP確定値、2月の中古住宅販売仮契約指数のほか、アクセンチュアなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを350円ほど下回り、下値は想定ラインを150円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド-1σ(現在21230円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-3σ(現在20800円近辺)が下値の目安になりそうです。



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Wednesday, March 27, 2019

[2019/03/27]今後の日経平均の見通し

[市況]
326日、NYDowNASDAQは上昇しました。327日の日経平均先物は、前日比140円高で寄り付くと、午前中は230円高から80円高の間でもみあい、午後は130円高から230円高の間でもみあって、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は49円安の21378円で、出来高は13.11億株と比較的高水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

326日の米国市場では、買いが優勢となりました。ベネズエラの大停電を受けて原油の輸出が停滞していることから、原油価格が上昇し、収益改善期待で石油株が買われました。また、長期金利の低下が一服したことを受け、金融株も買われました。
327日の日本市場では、前日の株高の反動で戻り待ちの売りが出たほか、3月期末の配当権利落ち分が指数を下押ししました。一方で、アジアの株式相場が堅調だったことや、外国為替市場で円相場が円安方向に推移したこと、日銀によるETF買い観測などが相場の下値を支えました。

 [テクニカル視点]
日経平均は9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。
総合乖離率は-1.2%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.6%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち2つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が、中期トレンドには青信号が点灯しています。

日米市場(日経平均とNASDAQ)200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より0.9ポイント拡大して-5.5ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より1180円ほど割安であることを示しています

[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECD2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.14ポイント(日経平均で13830円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。

市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

米国の1012月期のGDP速報値は前期比年率2.6%増で、79月期の確定値3.4%増を下回りました。また、1012月期の米主要企業の決算は、貿易摩擦の影響を受けつつも、おおむね良好でした。

経済指標を見てみます。3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の小売売上高、2月のISM非製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方,3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、1月の耐久財受注、1月の製造業受注、3月のニューヨーク連銀製造業景気指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は56負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比2万人増で、市場予想の18万人増を大幅に下回りました。一方、失業率は3.8%で、先月の4.0%から低下しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

米国の住宅関連の指標を見てみます。2月の中古住宅販売件数、1月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、1月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+3.6%で、市場予想の+3.8%を下回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面では強気材料です。

米国を除き、全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利が下降傾向にあり、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。

欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて20141031日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。

金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、321 2.6015% 322 2.6096% 325 2.6087%と推移しています。20155月までの25か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあり、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の201153日の0.346%を上回り、201215日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、20181220日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。

一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.5PBR1.14となっています。13月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は-5.8%で、こちらは3か月前より3.7ポイント悪化しています。

[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下げました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.2%となり、日経平均の割高幅は230円から240円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-130円 から+240円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でも割安となっています。

日米の長期金利の差は2.502ポイントから2.49ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的にはもみあいです。

ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。

327日の米国市場では、1月の貿易収支のほか、レナーやペイチェックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。

今日の日経平均は、想定範囲をやや下ぶれしました。上値は想定ラインを260円ほど下回り、下値は想定ラインの近辺で、20円ほど下回りました。目先は、25日線+100(現在21550円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100(現在21160円近辺)が下値の目安になりそうです。



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