2月28日、NYDowとNASDAQは下落しました。3月1日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は80円高から230円高と上昇幅を拡げ、午後は260円高から210円高の間でもみあって、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は217円高の21602円で、出来高は11.48億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
2月28日の米国市場では、米朝首脳会談で両国が合意に至らなかったことが嫌気され、売りが優勢となりました。一方、10~12月期の実質GDPや2月のシカゴ購買部協会指数が市場予想を上回ったことは好感され、指数は上昇に転じる場面もありました。
3月1日の日本市場では、外国為替市場で円相場が1ドル111円台後半の安値水準まで下落したことが好感され、輸出関連株を中心に買いが優勢となりました。また、英調査会社が発表した中国のPMIが前月比で上昇し、中国景気の先行きに対する過度な警戒感が和らいだことも支えとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+2.8%とプラスに転換し、200日線との乖離率は-2.0%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の上にありますが、9日線と200日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.3ポイント縮小して-2.8ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より600円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で14980円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は年率2.6%増となり、7~9月期の確定値の3.4%増を下回りました。また、10~12月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めているものの、おおむね良好でした。
経済指標を見てみます。2月のシカゴ購買部協会景気指数,2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のニューヨーク連銀製造業景気指数、1月のISM製造業景況指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、12月の製造業受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のISM非製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝6負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比30.4万人増で、市場予想の16.5万人増を大幅に上回りました。一方、失業率は4.0%で、先月の3.9%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。11月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売件数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+4.2%で、市場予想の+4.5%を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気面では中立材料です。
米国を除き、全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利が下降傾向にあり、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2月25日 2.6386% → 2月26日 2.6288% → 2月27日 2.6261%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあり、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.4、PBRが1.15となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.3%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は-3.9%で、こちらは3か月前より1.9ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は240円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円 から-100円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でもやや割安となっています。
日米の長期金利の差は2.69ポイントから2.74ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
3月1日の米国市場では、12月の個人消費支出や、2月のISM製造業景気指数などが注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回り、下値は想定ラインを280円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在21770円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在21310円近辺)が下値の目安になりそうです。
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2月28日、NYDowとNASDAQは下落しました。3月1日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は80円高から230円高と上昇幅を拡げ、午後は260円高から210円高の間でもみあって、結局230円高で取引を終えました。日経平均の終値は217円高の21602円で、出来高は11.48億株と比較的低水準でした。高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
2月28日の米国市場では、米朝首脳会談で両国が合意に至らなかったことが嫌気され、売りが優勢となりました。一方、10~12月期の実質GDPや2月のシカゴ購買部協会指数が市場予想を上回ったことは好感され、指数は上昇に転じる場面もありました。
3月1日の日本市場では、外国為替市場で円相場が1ドル111円台後半の安値水準まで下落したことが好感され、輸出関連株を中心に買いが優勢となりました。また、英調査会社が発表した中国のPMIが前月比で上昇し、中国景気の先行きに対する過度な警戒感が和らいだことも支えとなりました。
[テクニカル視点]
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
日経平均は25日線の上にあり、9日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変わりました。
総合乖離率は+2.8%とプラスに転換し、200日線との乖離率は-2.0%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうち1つがマイナスであり、中期トレンドには黄信号が点灯しています。
また、ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線の上にありますが、9日線と200日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日米市場(日経平均とNASDAQ)の200日移動平均線と株価の乖離率の差は、前日より1.3ポイント縮小して-2.8ポイントとなり、中長期的には日本市場が米国市場より600円ほど割安であることを示しています。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で14980円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
イールドスプレッドの日米差は、OECDの2019年予想実質GDP伸び率の日米差(-1.6ポイント)や金利差、予想PERを考慮すると、ファンダメンタル面では中長期的に日本市場が米国市場に比べて3.30ポイント(日経平均で14980円程度)割安であることを示しています。日本市場の割安感は日米の金利差と今期予想増益率差によるもので、長期的には大幅に割安です。
市場は現在、「英国のEU離脱やトランプ政権の通商政策の金融市場全体への影響」「中国の景気と世界経済や金・穀物・原油価格への影響」「アベノミクスによる日本経済のデフレ脱却の成否」「米国の景気、雇用状況、住宅市況」「米国の利上げに伴う新興国市場の減速懸念」「中東やウクライナ情勢を巡る地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP速報値は年率2.6%増となり、7~9月期の確定値の3.4%増を下回りました。また、10~12月期の米主要企業の決算には、貿易摩擦の影響が出始めているものの、おおむね良好でした。
経済指標を見てみます。2月のシカゴ購買部協会景気指数,2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月のニューヨーク連銀製造業景気指数、1月のISM製造業景況指数、12月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想を上回りました。一方、12月の製造業受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、12月の耐久財受注、1月の鉱工業生産指数、12月の小売売上高、1月のISM非製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝6負で、景気面ではやや弱気材料ですが、利上げしにくくなるという面ではやや強気材料です。
米国の1月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比30.4万人増で、市場予想の16.5万人増を大幅に上回りました。一方、失業率は4.0%で、先月の3.9%から上昇しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げしやすくなるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。11月の新築住宅販売件数、1月の住宅着工件数、2月の住宅市場指数は市場予想を上回りました。一方、1月の中古住宅販売件数、11月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を下回りました。また、12月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数は前年比+4.2%で、市場予想の+4.5%を下回りました。住宅関連の指標は3勝3負で、景気面では中立材料です。
米国を除き、全世界的に景気後退リスクが意識されるようになってきました。また、先進国の財政赤字が根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。先進国は大規模な財政出動を容認する方向に舵を切りつつあり、景気は緩やかな上昇を続けています。ただ、長期金利が下降傾向にあり、長短金利が縮小傾向にある点は要注意です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。FRBは追加利上げ時期を模索中です。ECBは政策金利の一段の引き下げに加え、民間銀行が中央銀行に預け入れる際のマイナス金利を-0.2%まで拡大しています。ただ、国債の買い取りを含む量的緩和政策は、2018年末で終了しました。日銀は2%のインフレ目標を設定し、加えて2014年10月31日から、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう調整し、さらにETFを従来の2倍の6兆円まで買い入れ、マイナス金利も継続、長期金利操作と金融緩和の継続期間を明確化する、などの金融緩和策を実施しています。
金融不安の気配を知るのに役立つのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、2月25日 2.6386% → 2月26日 2.6288% → 2月27日 2.6261%と推移しています。2015年5月までの2年5か月は低下傾向でしたが、その後は上昇傾向にあり、直近では上昇は一服しています。ギリシャ財政危機直前の2011年5月3日の0.346%を上回り、2012年1月5日につけたピークの0.5825%をも大きく上回っています。世界的に債務が大きく膨らんでいることを暗示しており、金融システム危機はいつ再燃してもおかしくない水準と言えます。なお、2018年12月20日に記録した2.8237%が、ここ5年の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが12.4、PBRが1.15となっています。1~3月期の決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.3%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は-3.9%で、こちらは3か月前より1.9ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowが下落したにもかかわらず上昇しました。結果、NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.4%となり、日経平均の割安幅は240円から100円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、-280円 から-100円の間で推移しています。
また、中長期的に見ると、ファンダメンタル面では日本市場は米国市場よりかなり割安で、テクニカル面でもやや割安となっています。
日米の長期金利の差は2.69ポイントから2.74ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にはもみあいです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、ここ5年来の最高値を更新して上昇しており、金融システム危機への懸念があることを示しています。欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。
上海銀行間取引金利は落ち着いていますが、今後も株価の急激な変化に注意が必要です。また、北京と上海の不動産価格は横ばいですが、引き続き国有企業・中国の地方政府を含めた不良債権問題に注意が必要です。
米国の経済指標は好転しているものの、利上げには打ち止め感が出はじめました。目先の長期金利の上昇にはブレーキがかかりつつあります。対ドルで円安が進みにくくなっています。
欧州市場でも景気回復の兆しが見られます。ECBはマイナス金利政策を継続していますが、量的緩和は2018年末に終了しました。EUも金融正常化へ向かう様子です。
3月1日の米国市場では、12月の個人消費支出や、2月のISM製造業景気指数などが注目されるでしょう。
今日の日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインの近辺で、30円ほど下回り、下値は想定ラインを280円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ(現在21770円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-100円(現在21310円近辺)が下値の目安になりそうです。
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