Saturday, March 25, 2023

[2023/03/26]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、FRBなど日米欧の6中央銀行が協調し、市場へのドル供給を強化すると発表したことで、金融不安は一旦落ち着き、株価指数は上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.18% NASAQ:+1.66% S&P500:+1.39%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、改定された2024年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が4.29ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER17.8に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER12.8との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

これは、現在の日経平均の価格に対して、2022年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに4.29ポイント拡大するか(日本が下方修正又は米国が上方修正される)、又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER28.4程度になるか、又は、日経平均が60700円程度となると、日米市場が均衡すると解釈できますので、中長期的に日本市場は33310円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、33310円分魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2023GDP予測値(現在+3.5%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目したいと思います。

  四半期決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は9.0となりました。3ヶ月前と同水準です。また、利益伸び率は+3.13ヶ月前に比べて-2.7%ポイント悪化しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は3.15から3.14に縮小して、ドル円は133円から129円の範囲で円高方向に動きました。ドル・インデックスは週間で-0.72%下落しました。

  OECDの日米の2024年の名目GDP伸び率は、日本が+2.51%で、米国は+3.54%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.03ポイント劣ります。

  33週は売り越しでした。34週は売り越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料で、③が弱気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に3.8ポイント(日経平均に勘算すると1040円程度)割安です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に0.6ポイント(日経平均に勘算する160円程度)割高です。

 

米国市場に対する日本市場の強さは、この週に減少しました。 米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 21.7 まで低下しました。 日経 VI は 週間で 19.1まで低下しました。米国市場は、まだ悲観的であることを示唆しています。

 

日経平均は、9日線の上にあり、25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は、一目均衡表の雲の上に在ります。総合乖離率は-1.0%で、200日移動平均線との乖離率は+0.1%でした。2つの要素がプラスですので、中期トレンドには、"黄信号"が点灯しています。

                                                        

米国市場では、NYDowは、9日線の上にあり、25日線・200日線の下にあります。一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表の雲の上に在ります。

短期的には黄信号で、中期的にも黄信号が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済減速懸念は後退しているものの、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇とEU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東や東アジアの地政学的リスクなどがリスク要因として存在します。

 

直近のLIBOR金利は上昇傾向で、引き続き金融不安再燃に注意が必要です。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。日本市場は中期もみあいで、短期ももみあいです。

 

為替市場を分析すると、20231月より円安方向へ転換しましたが3月中旬から円高方向で推移しています。今週は130円台から128円台が想定されます。

 

今週、銀行業界を襲った混乱は、引き続き投資家の注目を集めるでしょう。米国では、FRB監督担当副議長が上院・下院で証言します。また、消費者所得・支出、PCE価格指数、第4四半期GDP成長率の確報値が発表されます。その他、ユーロ圏、ドイツ、フランス、スペインではインフレ率の発表が予定されています。

 

先週の日経平均は、想定レンジ内で推移しました。上値は想定ラインを100円ほど下回り、下値は想定ラインを190円ほど上回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在28040円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在27170円近辺)の間での動きが想定されます。

 

米国市場では銀行の経営不安がまだ燻り、VIXは依然として高い状態です。ただ、FOMCを通過したこともあり、日本市場はやや落ち着いた動きが期待できそうです。

 

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Friday, March 24, 2023

[2023/03/24]今後の日経平均の見通し

[市況]

323日、NYDowNASDAQは上昇しました。324日の日経平均先物は、前日比70円安で寄り付くと、午前中は130円安から10円高の間でもみあい、午後は80円安から60円高と上昇幅を拡げて、結局、60円高で取引を終了しました。日経平均の終値は34円安の27385円で、出来高は10.19億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を3日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり強い状態です。

 

323日の米国市場では、FRBFOMC2023年末の政策金利見通しを据え置いたことを受け、利上げ停止が近いとの観測が強まり、ハイテク株を中心に買いが先行しました。ただ、利上げで銀行の資金調達コストが上がり、融資姿勢が厳しくなるとの懸念も根強く、景気悪化を見越した売りも出るなど、不安定な相場展開となりました。NYDowNASDAQは反発しました。

324日の日本市場では、外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことが重石となり、輸出関連株の一角が売られました。また、欧米の信用不安への警戒感から、金融関連株が売られました。一方、前日の米ハイテク株高を受けて値がさの半導体関連株が買われ、相場を下支えしました。期末に向けた配当狙いの買いも支援材料となりました。日経平均は小幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は-0.1%とマイナスに転換し、200日線との乖離率は+0.1%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素のうちプラスは2つとなり、中期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上に戻りました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.5ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が960円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+0.9ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が250円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.23と低下し、VIX22.61と上昇しました。VIXは、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比較して、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.6、米国-2.2と日本が5.4ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.33ポイント(日経平均換算で34120円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月の製造業受注、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指、1月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標39負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.1万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.6%で、先月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数は市場予想を上回りました。一方、2月の新築住宅販売件数数は予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は42負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、320 4.9471% 321 5.0177% 322 5.0800%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202339日に記録した5.1537%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.80PBR1.15となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.7%で、こちらは3か月前より2.7ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.1%となり、日経平均の割高幅は990円から1080円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+440円から+1080円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.14ポイントから3.13ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均も、短期的・中期的にもみあいです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

324日の株式市場では、2月の耐久財受注や2月の製造業PMIなどが注目されるでしょう。引き続き、金融株や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを310円ほど下回り、下値は想定ラインを180円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在27710円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在27070円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は強まったものの、日本市場の不安心理は後退しました。きょうの日経平均は小幅に続落しましたが、引き続き、25日線を越えられるかどうかが、次の注目点です。



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Thursday, March 23, 2023

[2023/03/23]今後の日経平均の見通し

[市況]

322日、NYDowNASDAQは大幅下落しました。323日の日経平均先物は、前日比210円安で寄り付くと、午前中は310円安から70円安と下落幅を縮め、午後は120円安から30円安の間でもみあって、結局、110円安で取引を終了しました。日経平均の終値は47円安の27419円で、出来高は10.41億株と比較的高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、強まりました。

 

322日の米国市場では、景気敏感株や消費関連株を中心に売りが優勢となりました。FRBFOMCで従来の金融引き締め姿勢を維持する姿勢を示し、0.25%の利上げを決めたことから、景気の先行きに対する懸念が強まりました。NYDowNASDAQ3日ぶりに反落しました。

323日の日本市場では、前日の米株式市場が大幅に下落した流れが引き継がれ、幅広い銘柄に売りが先行しました。外国為替市場で円相場が円高ドル安方向に推移したことも重石となりました。ただ、米株価指数先物が下げ渋ると、日本市場でも買い安心感が広がり、日経平均は次第に下げ幅を縮めました。米長期金利の低下を受けて値がさの半導体株関連株の一角が買われたことも支えとなりました。結局、日経平均は小幅に反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の下にありますが、9日線を上回りました。短期トレンドは赤信号から黄信号に変わりました。

総合乖離率は+0.2%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+0.2%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の上にあります。

 

NYDowは、25日線の下にあり、9日線と200日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の中に入りました。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-2.4ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が660円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、+1.2ポイントとプラスに転換し、日経平均が330円ほど割高であることを示しています

 

日経VI19.61と低下し、VIX22.26と上昇しました。日経VIは、不安心理の高まりを示す20を下回りました。NYDowと比較して、日経平均は強い状態に戻りました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-2.2と日本が5.3ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.32ポイント(日経平均換算で34130円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月の製造業受注、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指、1月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標39負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.1万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.6%で、先月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、317 4.9984% 320 4.9471% 321 5.0177%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202339日に記録した5.1537%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.85PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.3%で、こちらは3か月前より3.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+3.8%となり、日経平均の割高幅は440円から1010円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、+440円から+1010円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.26ポイントから3.14ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

323日の株式市場では、週間の新規失業保険申請件数や、2月の新築住宅販売件数、英国の金融政策発表のほか、ダラー・ゼネラルやフェデックスなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、金融株や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを250円ほど下回り、下値は想定ラインとほぼ一致しました。目先は、25日線+100円(現在27710円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ-100円(現在27080円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力は強まりましたが、日本市場の不安心理は後退しました。きょうの日経平均は小幅に反落しました。引き続き、25日線を越えられるかどうかが、次の注目点です。



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Wednesday, March 22, 2023

[2023/03/22]今後の日経平均の見通し

[市況]

321日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。322日の日経平均先物は、前日比270円高で寄り付くと、午前中は180円高から370円高の間で上下し、午後は290円高から420円高と上昇幅を拡げて、結局、380円高で取引を終了しました。日経平均の終値は520円高の27466円で、出来高は12.52億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱まりました。

 

321日の米国市場では、金融株や景気敏感株など幅広い銘柄で買いが優勢となりました。イエレン財務長官が銀行協会のイベントで「中小金融機関の預金保護は必要な措置だ」「米国の銀行システムは健全性を保っている」などと発言したことから、金融当局が金融システム不安の拡大防止策を続けるとの見方が強まり、買い安心感につながりました。NYDowNASDAQは続伸しました。

322日の日本市場では、欧米の金融不安が後退したことから、金融株や景気敏感株を中心とした幅広い銘柄で運用リスクをとる動きが優勢となりました。午後に入ってからも株価指数先物への買いが続き、現物に波及しました。日経平均は大幅に反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線と25日線の下にあります。短期トレンドには赤信号が点灯しています。

総合乖離率は+0.7%とプラスに転換し、200日線との乖離率も+0.4%とプラスに転換しました。一目均衡表では雲の上に抜けました。3つの要素すべてがプラスとなり、中期トレンドは赤信号から青信号に変わりました。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の上にあり、9日線と25日線を上回りました。

 

NYDowは、25日線の下にありますが、9日線の上にあり、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドにも黄信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-3.9ポイントとマイナス幅をやや拡げ、日経平均が1070円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-0.2ポイントとマイナスに転換し、日経平均が50円ほど割安であることを示しています

 

日経VI20.48と低下し、VIX21.38と低下しました。ただ、両指数とも、不安心理の高まりを示す20を上回っています。NYDowと比較して、日経平均は弱い状態となりました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-7.5、米国-2.0と日本が5.5ポイント割安ですが、OECD2024年予想GDP伸び率の日米差(日本が+2.5、米国が+3.5)1.0ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.42ポイント(日経平均換算で36270円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.7%増で、速報値の2.9%増から下方修正されました。一方、1012月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

1月の製造業受注、2月のISM非製造業景況指数は市場予想を上回りました。また、2月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の鉱工業生産指数、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数数、2月の小売売上高、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月のISM製造業景況指数、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指、1月の耐久財受注は市場予想を下回りました。経済指標39負で、景気面では弱気材料ですが、利上げ圧力が弱まるという面では強気材料です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比31.1万人増で、市場予想の20.0万人増を上回りました。一方、失業率は3.6%で、先月の3.4%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利上げが続くという面では弱気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数数は市場予想を上回りました。一方、12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比+4.6%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は51負で、景気面では強気材料ですが、利上げ圧力が強まるという面では弱気材料です

 

新型コロナウイルス騒動に端を発する景気後退の影響で先進国の財政赤字はますます増加しており、これが根本的に解決されるにはかなり時間がかかりそうです。長期金利は上昇傾向に変化しており、相場はこの動きに敏感になっているので注意が必要です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRB20235月まで利上げを継続すると予想されています。また、量的引き締めも加速しています。ECBは、12月に0.5%の利上げを実施しました。また、資産圧縮を20233月から開始する予定です。日銀は、2%のインフレ目標を設定し、マイナス金利を継続するなど、金融緩和策を維持しています。ただ、2212月の金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大することを決めました。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では、316 4.9625% 317 4.9984% 320 4.9471%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、202339日に記録した5.1537%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇してきており、警戒が必要です。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER12.87PBR1.16となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.0%となり、これは3か月前と同水準です。また、今期予想利益の伸率は+3.7%で、こちらは3か月前より2.8ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.6%となり、日経平均の割高幅は650円から440円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+440円から+650円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.17ポイントから3.26ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的・中期的にもみあいです。日経平均は、短期的には下降トレンドで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。ドイツ銀行をはじめとする欧州の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。中国最大の不動産企業である恒大集団の破綻が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、インフレ対策を目的としたFRBの政策変更により金融緩和は収束に向かいつつあり、その影響で、長期金利は上昇傾向にあります。対ドルで円安が進みやすい状況です。

ECBは量的緩和政策を終了し、量的引き締めの検討を開始しています

 

322日の株式市場では、FOMCの結果公表およびパウエルFRB議長の会見が注目されるでしょう。引き続き、金融株や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを230円ほど上回り、下値は想定ラインを610円ほど上回りました。目先は、25日線+100円(現在27720円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ(現在27190円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

信用の売り圧力はかなり弱まりましたが、日米両市場の不安心理はまだ高い状態です。きょうの日経平均は大幅に反発しました。FOMC通過で25日線を越えられるかどうかが、次の注目点です。



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