[市況]
10月7日、NYDowとNASDAQは下落しました。10月8日の日経平均先物は、前日比500円安で寄り付くと、午前中は230円安から660円安と下落幅を拡げ、午後は550円安から370円安の間でもみあって、結局、410円安で取引を終えました。日経平均の終値は395円安の38937円で、出来高は17.94億株と高水準でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、マイナスに転換しました。個別銘柄に関しては、「売り」が有利の状態となりました。
空売り比率は、5日平均を4日ぶりに上回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は強まりました。
10月7日の米国市場では、9月の雇用統計の堅調さを受けて長期金利が4%台に上昇したことから、株式の相対的な割高感が意識され、売りが優勢となりました。中東情勢が一段と悪化するとの懸念や、原油高がインフレ圧力を強めるとの観測も売りを促しました。NYDowとNASAQは反落しました。
10月8日の日本市場では、中東情勢の悪化懸念や前日の米株安を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まり、幅広い銘柄で売りが優勢となりました。米アップルの下落や、香港ハンセン指数の下落も重石となりました。日経平均は4営業日ぶりに反落しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線と25日線の上にあります。短期トレンドには青信号が点灯しています。
総合乖離率は+7.9%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+2.7%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドにも青信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線の下にあります。
NYDowは、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQも、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.7ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1830円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、-3.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1520円ほど割安であることを示しています。
日経VIは33.54と前日より上昇し、VIXも22.64と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.5、米国-0.3と日本が5.2ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)は0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より4.30ポイント(日経平均換算で81200円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の4~6月期のGDP確定値は前期比年率3.0%増で、改定値の3.0%増から変わりませんでした。また、4~6月期の米企業の決算は、まちまちです。
経済指標を見てみます。
9月のISM非製造業景況指数、9月のシカゴ購買部協会景気指数、9月のミシガン大学消費者信頼感指数、9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、8月の鉱工業生産指数、8月の小売売上高、9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の製造業受注は市場予想を上回りました。また、8月の耐久財受注、8月の消費者物価指数は市場予想と一致しました。一方、9月のISM製造業景況指数、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は10勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の9月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比25.4万人増で、市場予想の15.0万人増を大幅に上回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.2%から改善されました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
8月の住宅着工件数、9月の住宅市場指数、7月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、8月の中古住宅販売仮契約指数、8月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。7月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+5.9%で、市場予想と一致しました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げ幅が縮まるという面では弱気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを決定しました。ECBは、追加の利下げを実施し、中銀預金金利を3.5%としました。一方、日銀は、0.25%の金利水準を維持しています。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では9月26日 4.8652% → 9月27日 4.8549% → 9月30日 4.8537%と、ここ5年の最高値圏からピークアウトしています。なお、2021年9月9日の0.1141%が直近の最低金利で、2023年10月10日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。
一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが15.72、PBRが1.39となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは8.8%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+2.6%で、こちらは3か月前より1.9ポイント改善されています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.2%となり、日経平均は30円の割安から60円の割高に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-340円~+60円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.07ポイントから3.09ポイントに拡大しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的にも上昇トレンドです。
ファンダメンタル面も見てみましょう。
LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。
中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。
米国では、経済のハードランディングを避けるべく、0.5%の利下げが決まりました。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げを継続しています。
10月7日の米国市場ではノーベル賞(物理学賞)受賞者の発表や、8月の貿易収支のほか、ペプシコなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを820円ほど下回り、下値は想定ラインを240円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+2σ-400円(現在39530円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド+1σ-500円(現在38280円近辺)が下値の目安になりそうです。
日経VIは、依然として高水準にあり、前日比で上昇しました。また、信用の売り圧力は強まりました。きょうの日経平均は反落しました。しばらくは乱高下が続きそうですが、9月27日の高値(39830円)を越えられるかどうかが、目先の注目点です。
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