[市況]
4月23日、NYDowとNASDAQは大幅上昇しました。4月24日の日経平均先物は、前日比460円高で寄り付くと、午前中は500円高から220円高と上昇幅を縮め、午後は300円高から70円高と上昇幅を縮めて、結局、110円高で取引を終えました。日経平均の終値は170円高の35039円で、出来高は18.88億株でした。
高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。
空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。
4月23日の米国市場では、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任を否定したと伝わり、米金融市場が不安定になるとの警戒感が薄れ、主力株に買いが広がりました。ただ、ベッセント財務長官が「米中の貿易の完全なリバランスには2〜3年かかる」との見方を示した旨が伝わると、関税政策の不透明感が改めて意識され、投資家心理の重石となりました。NYDowとNASDAQは続伸しました。
4月24日の日本市場では、トランプ大統領が対中姿勢を軟化させたともとれる発言をしたことから、米中対立激化への懸念が後退し、株買いにつながりました。外国為替市場で円相場が円安ドル高方向に推移したことも追い風となりました。ただ、日米財務相会合を目前に控えて様子見ムードも強く、積極的に上値を追う展開とはなりませんでした。日経平均は続伸しました。
[テクニカル視点]
日経平均は、9日線の上にあり、25日線を上回りました。短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。
総合乖離率は-14.2%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-8.1%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。
ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、200日線の下にありますが、9日線と25日線の上にあります。
NYDowは、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、25日線と200日線の下にありますが、9日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには赤信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには赤信号が点灯しています。
日経平均とNASDAQの200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+0.9ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が320円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-1.8ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が630円ほど割安であることを示しています。
日経VIは30.57と前日より上昇し、VIXは28.45と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が不安心理を強めているとされる20を大きく上回っており、市場は不安定な状態にあります。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。
[ファンダメンタルの現状認識]
イールドスプレッドは、日本-5.7、米国-0.7と日本が5.0ポイント割安ですが、OECDの2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)は1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.93ポイント(日経平均換算で44450円)割安となっています。
市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。
米国の10~12月期のGDP確定値は前期比年率2.4%増で、改定値の2.3%から上方修正されました。また、10~12月期の米企業の決算は、概ね好調です。
経済指標を見てみます。
3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の製造業受注、3月のシカゴ購買部協会景気指数、3月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の鉱工業生産指数、4月のミシガン大学消費者信頼感指数、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、3月の消費者物価指数、3月のISM非製造業景況指数、3月のISM製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は5勝7負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です。
米国の3月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比22.8万人増で、市場予想の13.5万人増を上回りました。一方、失業率は4.2%で、前月の4.1%から悪化しました。雇用は、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気材料です。
米国の住宅関連の指標を見てみます。
3月の新築住宅販売件数、4月の住宅市場指数、2月の中古住宅販売仮契約指数、2月の中古住宅販売件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅着工件数は市場予想を下回りました。1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.7%で、市場予想を下回りました。住宅関連の指標は4勝2負で、景気面では強気材料ですが、利下げペースが鈍るという面では弱気強気材料です。
欧米日の金融政策をまとめてみます。
FRBは、米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、6会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.25%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。
日経平均採用銘柄全体では、今期予想PERが14.24、PBRが1.31となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROEは9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.3%で、こちらは3か月前より2.4ポイント悪化しています。
[今後の見通し]
日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+4.6%となり、日経平均の割高幅は2000円から1560円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+1560円~+2760円の間で推移しています。
日米の長期金利の差は、3.04ポイントから3.06ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。
テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。
4月24日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、3月の耐久財受注、3月の中古住宅販売件数のほか、P&G、インテル、ペプシコ、サウスウェスト航空、メルクなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、トランプ政権の動きや長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。
きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを120円ほど下回り、下値は想定ラインを670円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-1100円(現在35720円近辺)が上値の目安に、25日線-400円(現在34610円近辺)が下値の目安となります。
日経VIは、依然として20を大きく上回る高水準にあります。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は続伸し、終値で25日線に到達しました。25日線からどれほど上方乖離できるかが、目先の注目点です。
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