日経平均の予想

Tuesday, March 25, 2025

[2025/03/25]今後の日経平均の見通し

[市況]

324日、NYDowNASDAQは大幅上昇しました。325日の日経平均先物は、前日比400円高で寄り付くと、午前中は520円高から250円高と上昇幅を縮め、午後は320円高から80円高の間でもみあって、結局、230円高で取引を終えました。日経平均の終値は172円高の37780円で、出来高は16.40億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を2日連続で上回りましたが、個別銘柄への信用の売り圧力は、弱い状態です。

 

324日の米国市場では、米政権が近く導入予定の相互関税について、対象となる国や品目は限定されると伝わり、安心感から主力株に買いが広がりました。アマゾン・ドット・コムやエヌビディア、テスラなど主力ハイテク株への買いも相場を押し上げました。NYDowNASDAQは続伸しました。

325日の日本市場では、前日の米ハイテク株高や円相場の下落を受けて買いが先行しましたが、日経平均が38000円を上回ったあとは戻り待ちの売りなどが相場の上値を抑える展開となりました。米関税政策への警戒感は根強く、また、国内長期金利の上昇も重石となったようです。日経平均は4日ぶりに反発しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にあり、25日線に到達しました。短期トレンドは黄信号から青信号に変りました。

総合乖離率は-6.5%とマイナス幅を縮め、200日線との乖離率も-2.0%とマイナス幅を縮めました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線・25日線・200日線の下にあります。

 

NYDowは、25日線の下にありますが、9日線の上にあり、200日線を上回りました。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にありますが、9日線の上にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドも赤信号から黄信号に変わりました。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-0.3ポイントとマイナスに転換し、日経平均が110円ほど割安であることを示しています。また、NYDowとの差は、-3.0ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が1130円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.39と前日よりやや低下し、VIX17.61と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.4と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.36ポイント(日経平均換算で40760円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、1012月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.45PBR1.42となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.3%で、こちらは3か月前より2.4ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの上昇と連動して上げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-0.6%となり、日経平均は260円の割高から230円の割安に転換しました。プレミアム値は、ここ一週間、-230円~+940円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.75ポイントから2.76ポイントに拡大しました。ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にももみあいです。日経平均は、短期的には上昇トレンドで、中期的には下降トレンドです。

 

325日の米国市場では、2月の新築住宅販売件数や、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数のほか、マコーミックなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を上ぶれしました。上値は想定ラインを40円ほど上回り、下値は想定ラインを560円ほど上回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-300円(現在38230円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在37330円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。朝方の勢いは続かず、日経平均は伸び悩みました。やはり、年度末までは、下降中の25日線を挟んだ動きが続きそうです。



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Monday, March 24, 2025

[2025/03/24]今後の日経平均の見通し

[市況]

321日、NYDowNASDAQは上昇しました。324日の日経平均先物は、前日比120円高で寄り付くと、午前中は190円高から20円安の間で上下し、午後は80円高から90円安と下落に転じて、結局、50円安で取引を終えました。日経平均の終値は68円安の37608円で、出来高は16.57億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を5日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

321日の米国市場では、貿易戦争激化への懸念から売りが先行しましたが、トランプ大統領が42日から発動される予定の相互関税について「柔軟性がある」との見解を示した旨が伝わると、市場の警戒感がいったん薄れ、引けにかけて買いが優勢となりました。NYDowNASDAQは反発しました。

324日の日本市場では、米関税政策の不透明感が引き続き投資家心理の重石となり、売りが優勢となりました。一方で、個人投資家による配当取り狙いの買いが相場の下値を支えました。日経平均は3日続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は-6.0%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.5%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の下にあり、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+1.4ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が530円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-2.1ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が790円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.77と前日よりやや上昇し、VIX19.28と前日より低下しました。日経VIは、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.5と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.37ポイント(日経平均換算で40520円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、1012月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。既に、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.41PBR1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前と同水準です。一方、今期予想利益の伸率は+6.9%で、こちらは3か月前より2.6ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前週末のNYDowが上昇したにもかかわらず下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+0.7%となり、日経平均の割高幅は400円から260円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+260円~+940円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.74ポイントから2.75ポイントに拡大しました。ドル円相場はもみあっています。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

 

324日の米国市場では、3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを190円ほど下回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、25日線+300円(現在38140円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+100円(現在37140円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は、25日線を越えられない状態が続いています。年度末までは、下降中の25日線を挟んだ動きが続きそうです。



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Saturday, March 22, 2025

[2025/3/23]今週の日経平均の見通し

 [ファンダメンタル視点]

先週の米国市場では、米政権の関税政策による貿易摩擦の激化と景気減速への懸念で下落してきたものの、短期的に下げすぎとの見方から、株価指数は週間では上昇しました。

週間変動率 NYダウ:+1.20%, NASDAQ:+2.01%, S&P500:+0.51%.

 

一方、中長期的なリスクとしてはウクライナ紛争の長期化懸念、エネルギー・コスト、金利上昇による金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、東アジア、中東の地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。

 

日米市場のイールド・スプレッドの差は、2025年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が3.37ポイント割安となっています。割安の要因はS&P500PER21.0対して、日経平均採用銘柄の今期予想PER15.4との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。

日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。

現在の日経平均の価格に対して、2025年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに3.37ポイント拡大する。(日本が下方修正又は米国が上方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PER31.9程度になる。又は、日経平均が78,190円程度となる。

結果的に、中長期的に日本市場は40,510円ほど割安です。

 

ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、40,510円ほど魅力に欠けるとも言えます。先週、日本市場の弱さは縮小しました。

      

[日経平均上昇の条件]

今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。

①米国市場の上昇

②従来以上の今期の予想増益率のUP

③日米の金利差の拡大による一段の円安

OECDによる日本の2025GDP予測値(現在+3.3%)の上方修正

⑤外人の買い越し

 

先週の動きを見ると、

  先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の下に在り、一目均衡表の雲の下に在ります。今週は、NYダウが25日線の上に戻れるか否かに注目。

  決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+9.1%となりました。3ヶ月前に比べて0.1%ポイント改善しています。また、利益伸び率は+6.9%となりました。3ヶ月前に比べて+4.6%ポイント改善しています。

  米国の長期金利は低下し、日米間の金利差は2.81から2.74と縮小したものの、ドル円は148円台から150円台の範囲で円安方向に動きました。ドル・インデックスは週間で+0.40%上昇しました。

  OECDの日米の2025年の名目GDP伸び率は、日本が+3.3%で、米国は+4.4%と予想されていますので、この面では日本市場の方が1.1ポイント劣ります。

  3月第2週は売り越しで、3月第3週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。

 

[テクニカル視点]

日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に1.6ポイント(日経平均に勘算すると660円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に1.9ポイント(日経平均に勘算する720円程度)割安です。

 

日本市場はNYダウとNASDAQに対しては弱い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で 19.3 と低下しました。 日経 VI は 週間で 21.7と低下しました。米国市場と日本市場ともやや不安定です。

 

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには"信号”が点灯しています。

日経平均は一目均衡表の雲の下にあります。総合乖離率は-5.7%、200日移動平均線との乖離率は-2.3%。これら3つの要因がマイナスですので、中期トレンドには"赤信号が点灯しています。

                                                        

NYDowは、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。

短期的には"黄信号”で、中期的には"信号”が点灯しています。

 

[今週の見通し]

米国市場をファンダメンタル面で見ると目先、景気後退懸念は後退しています。ただ、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレと金利上昇、EU圏のエネルギー不足と政治情勢悪化などによる景気後退、米中貿易摩擦、中国の不動産バブルの崩壊と信用収縮に伴う金融市場混乱、中東の地政学的リスク拡大などがリスク要因として存在します。

 

テクニカルな面を見ると、米国市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。

日本市場は中期下降トレンドで、短期はもみあいです。

 

為替市場を分析すると、20251月につけた156円をトップに円高方向に転換しています。今週は148円台から150円台が想定されます。

 

今週の米国市場では、個人所得・支出、PCE価格指数、S&PグローバルPMICB消費者信頼感指数、耐久消費財受注、第4四半期GDP成長率最終値などの主要経済データ発表とともに、FRB高官数名による講演が注目されます。新築住宅販売件数、仮契約住宅販売指数など、住宅市場の最新情報も注目されます。世界的には、日本、ドイツ、ユーロ圏、英国の3PMIが発表される。インフレ率は英国、フランスで発表されます。一方、ドイツの失業率とIfo景況感も注目されます。

 

先週の日経平均は想定範囲を上振れしました。上値は170円上回り、下値は1150円下回りました。

今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在38770円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在37050円近辺)の間での動きが想定されます。

                       

日経平均は、年度末まで25線を挟んだ動きが続きそうです。


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Friday, March 21, 2025

[2025/03/21]今後の日経平均の見通し

[市況]

320日、NYDowNASDAQは下落しました。321日の日経平均先物は、前日比130円安で寄り付くと、午前中は240円安から150円高と上昇に転じ、午後は90円高から190円安と下落に転じて、結局、170円安で取引を終えました。日経平均の終値は74円安の37677円で、出来高は26.64億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

空売り比率は、5日平均を4日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

320日の米国市場では、前日のFOMCFRBがタカ派的な姿勢を示さなかったことや、足元で好調な経済指標や住宅関連の指標が発表されたことが投資家心理を支えましたが、一方で米政権の政策や世界経済の先行き不透明感に対する警戒感は根強く、結局は売りが優勢となりました。NYDowNASDAQは反落しました。

321日の日本市場では、米半導体設計アンペア・コンピューティングの買収を発表したソフトバンクグループが買われ、指数を押し上げました。また、長期金利の上昇を受け、銀行株が買われました。ただ、日経平均が38000円に近付くと利益確定の売りや戻り待ちの売りが出て、相場の上値を抑えました。結局、日経平均は続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は-5.7%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.3%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQも、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドには黄信号が点灯しています。中期トレンドには赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+2.1ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が790円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-1.9ポイントとマイナス幅を拡げ、日経平均が720円ほど割安であることを示しています

 

日経VI21.72と前日より低下し、VIX20.07と前日より低下しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態であり、前日比で弱さは拡大しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.0、米国-0.6と日本が4.4ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.26ポイント(日経平均換算で37870円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、1012月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

3月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の中古住宅販売件数、12月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBは米経済は堅調であるとして利下げを急がない姿勢を示しており、年内の利下げ回数は2回との見通しを維持しています。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.38PBR1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.1%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.1%で、こちらは3か月前より2.3ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+1.1%となり、日経平均の割高幅は900円から400円に縮小しました。プレミアム値は、ここ一週間、+400円~+1020円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.79イントから2.74ポイントに縮小しましたが、ドル円相場は円安方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的にも下降トレンドです。日経平均も同様に、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

 

319日の米国市場では、重要な経済指標の発表は予定されていません。個別の材料が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを240円ほど下回り、下値は想定ラインを270円ほど上回りました。目先は、25日線+200円(現在38110円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+200円(現在37250円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は、三度25日線に押し戻される形となりました。さらに上昇できるかどうかは微妙な状況が続いています。



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Wednesday, March 19, 2025

[2025/03/19]今後の日経平均の見通し

[市況]

318日、NYDowNASDAQは下落しました。319日の日経平均先物は、前日比90円安で寄り付くと、午前中は90円安から250円高と上昇に転じ、午後は220円高から150円安と下落に転じて、結局、120円安で取引を終えました。日経平均の終値は93円安の37751円で、出来高は18.46億株でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を拡げました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態ですが、買われ過ぎの水準です。

空売り比率は、5日平均を3日連続で下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、かなり弱い状態です。

 

318日の米国市場では、FOMCの結果公表を間近に控えて様子見ムードが強まり、利益確定の売りが優勢となりました。大手ハイテク株が軒並み売られたことや、中東で地政学的リスクが再燃したことも重石となりました。結局、NYDowNASDAQ3営業日ぶりに反落しました。

319日の日本市場では、日銀が金融政策決定会合で政策金利を据え置くことを見込んだ海外短期筋による株価指数先物への買いが先行しました。また、商社株をはじめ、大型株に買いが集まりました。ただ、20日が休日とあって午後は買いの勢いが鈍化し、結局、日経平均は4営業日ぶりに反落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、9日線の上にありますが、25日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は-5.3%とマイナス幅を拡げ、200日線との乖離率も-2.2%とマイナス幅を拡げました。一目均衡表では雲の下にあります。3つの要素すべてがマイナスであり、中期トレンドには赤信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、9日線の上にありますが、25日線と200日線の下にあります。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の下にあります。一目均衡表では雲の下にあります。NASDAQは、25日線と200日線の下にあり、9日線を下回りました。一目均衡表では雲の下にあります。米国市場の短期トレンドは黄信号から赤信号に変わりました。中期トレンドにも赤信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、+3.2ポイントとプラス幅を拡げ、日経平均が1210円ほど割高であることを示しています。また、NYDowとの差は、-1.0ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が380円ほど割安であることを示しています

 

日経VI22.79と前日より上昇し、VIX21.73と前日より上昇しました。両指数ともに、投資家が相場変動に警戒を強めているとされる目安の20を上回っています。NYDowと比べて、日経平均は弱い状態ですが、前日比で弱さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-5.1、米国-0.6と日本が4.5ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.3、米国が+4.4)1.1ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.35ポイント(日経平均換算で39620円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の1012月期のGDP改定値は前期比年率2.3%増で、速報値の2.3%増と同水準でした。また、1012月期の米企業の決算は、概ね好調です。

 

経済指標を見てみます。

2月の鉱工業生産指数、2月のISM非製造業景況指数、1月の製造業受注、2月のシカゴ購買部協会景気指数、2月の耐久財受注、2月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を上回りました。一方、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の小売売上高、3月のミシガン大学消費者信頼感指数、2月の消費者物価指数、2月のISM製造業景況指数、2月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は市場予想を下回りました。経済指標は66負で、景気・金利の両面で中立です

 

米国の2月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比15.1万人増で、市場予想の16万人増を下回りました。また、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

2月の住宅着工件数は市場予想を上回りました。一方、3月の住宅市場指数、1月の中古住宅販売件数、1月の中古住宅販売仮契約指数、1月の新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。12月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+4.5%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は24負で、景気面では弱気材料ですが、利下げペースが上がるという面では強気材料です

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

FRBはトランプ政権の政策を見極める必要があるとし、1月のFOMCで利下げを一旦停止しました。ECBは、5会合連続で利下げを実施し、中銀預金金利を2.5%としました。日銀は、3月の金融政策決定会合では0.5%の金利水準を維持しました。また、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。


日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER15.28PBR1.41となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE9.2%となり、これは3か月前より0.1ポイント改善されています。一方、今期予想利益の伸率は+7.0%で、こちらは3か月前より2.1ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowの下落と連動して下げました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は+2.4%となり、日経平均は900円ほど割高の状態です。プレミアム値は、ここ一週間、+900円~+1450円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、2.80イントから2.79ポイントに縮小しました。ドル円相場はもみあいました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的には下降トレンドで、中期的にも下降トレンドです。日経平均は、短期的にはもみあいで、中期的には下降トレンドです。

 

319日の米国市場では、FOMCおよびパウエルFRB議長の会見のほか、ゼネラル・ミルズなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、関税政策の景気への影響や、長期金利の動向も株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲内で推移しました。上値は想定ラインを130円ほど下回り、下値は想定ラインを370円ほど上回りました。目先は、25日線+300円(現在38260円近辺)が上値の目安に、ボリンジャーバンド-1σ+300円(現在37380円近辺)が下値の目安となります。

 

日経VIは、目安の20を上回っています。一方、信用の売り圧力は、弱い状態です。日経平均は、前日上値は超えたものの、長い上ひげをつけた陰線となり、再び25日線に押し戻される形となりました。さらに上昇できるかどうかは微妙な状況が続いています。



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