[ファンダメンタル視点]
先週の米国市場では、AIへの巨額投資の収益性を巡る懸念が悪材料となったものの、このところ調整が続いていた主力銘柄を買い直す動きもあり、株価指数は週間では上昇しました。
週間変動率 NYダウ:+1.97%, NASDAQ:+2.12%,
S&P500:+1.76%
一方、中長期的なリスクとしては中東の軍事衝突とウクライナ紛争の長期化懸念、米政権の関税政策、金利上昇などによる金融不安と世界経済の減速懸念、不動産バブル崩壊と中国の景気減速懸念があります。また、このことから、スタグフレーションの到来も懸念されています。さらに、中南米、東アジアの地政学的リスクにも引き続き注意が必要です。
日米市場のイールド・スプレッドの差は、2026年のOECDの名目GDP予想値を考慮すると、日本市場が0.37ポイント割高となっています。割高の要因はS&P500のPERが21.7に対して、日経平均採用銘柄の今期予想PERの18.5との差と日米金利差、GDP伸率差によるものです。
日米市場が均衡するためには、次の条件が必要です。
現在の日経平均の価格に対して、2026年の日米のGDP伸び率差がOECD予想値に比べ、さらに0.37ポイント縮小する。(日本が上方修正又は米国が下方修正される)。又は、日経平均採用銘柄の今期予想PERが17.3程度になる。又は、日経平均が65,300円程度となる。
結果的に、中長期的に日本市場は4,450円ほど割高です。
ファンダメンタルからは、日本市場は米国市場に比べ、4,450円ほど魅力的とも言えます。先週、日本市場の強さは拡大しました。
[日経平均上昇の条件]
今後、日経平均がさらに上昇する為には次の前提条件が必要と思われます。
①米国市場の上昇
②従来以上の今期の予想増益率のUP
③日米の金利差の拡大による一段の円安
④OECDによる日本の2026年GDP予測値(現在+2.9%)の上方修正
⑤外人の買い越し
先週の動きを見ると、
① 先週のNYDowの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の上に在ります。NASDAQの週足は陽線となりました。日足は200日線の上に在り、一目均衡表の雲の中に在ります。今週は、NYDowが25日線の上を維持できるか否かに注目。
② 決算の発表の結果、日経225採用銘柄のROE予想値は+10.5%となりました。3ヶ月前に比べて+1.6%ポイント改善しています。利益伸び率は+11.8%となりました。3ヶ月前に比べて+13.3%ポイント改善しています。
③ 米国の長期金利は上昇したものの、日米間の金利差は1.78から1.71と縮小し、ドル円は162円台から160台で、円高方向に推移しました。ドル・インデックスは週間で-0.48%下落しました。
④ OECDの日米の2026年の名目GDP伸び率は、日本が+2.9%で、米国は+5.8%と予想されていますので、この面では日本市場の方が2.9ポイント劣ります。
⑤ 6月4週は売り越しで7月1週は買い越しだった可能性が高く、今週は売り越しが予想されます。先週は、5つのポイントのうち、①が強気材料でした。今週は、①②③⑤が影響すると思われます。
[テクニカル視点]
日本市場をテクニカル面で見ると、NASDAQとの200日線乖離率差では、中長期的に18.2%ポイント(日経平均に勘算すると12,690円程度)割高です。一方、NYDowとの200日線乖離率差では、中長期的に18.0%ポイント(日経平均に勘算すると12,550円程度)割高です。
日本市場はNYダウとNASDAQより強い状態です。米国市場のボラティリティーを示す指標である VIX は、週間で
15.8と低下ました。 日経 VI は 週間で 34.1と上昇しました。米国市場は” 恐怖”状態で日本市場は” 極度の恐怖”状態です。
日経平均は、9日線の下にありますが、25日線の上にあります。短期トレンドには"黄信号”が点灯しています。
日経平均は一目均衡表の雲の上にあります。総合乖離率は+41.8%となり、200日移動平均線乖離率は+26.9%となりました。3つの要因がプラスですので、中期トレンドには"青信号“が点灯しています。
NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上にあります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線の下にあります。一目均衡表では雲の中にあります。
米国市場は、短期的には"黄信号”で、中期的には"黄信号”が点灯しています。
[今週の見通し]
米国市場では、中東紛争の長期化にともなう長期金利上昇と原油高による景気後退懸念が当面の強い関心事と考えられます。
テクニカルな面を見ると、米国市場は中期上昇トレンドで、短期はもみあいです。
日本市場は中期上昇トレンドで、短期も上昇トレンドです。
為替市場を分析すると、2025年4月につけた139円をボトムに円安方向に転換しています。今週は160円台から162円台が想定されます。
今週の米国市場では、エネルギー価格は下落したものの、長期金利は高水準にあり、金融政策が再び市場の注目の的となっており、公開される6月のFOMC議事録が注目されます。経済指標面では、ISMサービス業PMI、中古住宅販売件数、貿易収支が発表されます。世界的には、ドイツの鉱工業生産統計、貿易統計、日本の個人消費、生産者物価指数、中国のインフレ率、OPECの原油生産量の決定などが注目されます。
先週の日経平均は、想定範囲を上振れしました。上値は1250円ほど上回り、下値は1500円ほど上回りました。
今週の日経平均の想定範囲は、上値がボリンジャーバンド+1σ(現在70880円近辺)で、下値がボリンジャーバンド-1σ(現在66110円)の間での動きが想定されます。
今週の日経平均は、米国市場で、AIへの巨額投資の収益性を巡る懸念が払しょくできなければ、下落傾向が続きそうです。
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