日経平均の予想: [2023/07/18]今後の日経平均の見通し

Thursday, July 18, 2024

[2023/07/18]今後の日経平均の見通し

[市況]

717日、NYDowは上昇し、NASDAQは大幅下落しました。718日の日経平均先物は、前日比860円安で寄り付くと、午前中は1020円安から660円安と下落幅を縮め、午後は730円安から980円安の間でもみあって、結局、840円安で取引を終えました。日経平均の終値は971円安の40126円で、出来高は17.65億株と高水準でした。

高値更新銘柄数と安値更新銘柄数との差は、プラス幅を縮めました。個別銘柄に関しては、「買い」が有利の状態です。

空売り比率は、5日平均を4日ぶりに下回りました。個別銘柄への信用の売り圧力は、弱まりました。

 

717日の米国市場では、FRBによる利下げ観測を背景に、シスコシステムズやマクドナルドなど、出遅れ感のある銘柄に買いが向かいました。また、J&Jなど、好決算を発表した銘柄にも買いが集まりました。一方、対中半導体輸出規制の強化や台湾情勢の不透明感を受けて半導体株が売られ、他のハイテク銘柄にも売りが波及しました。NYDow6日続伸し、NASDAQ4営業日ぶりに大幅に反落しました。

718日の日本市場では、対中半導体輸出規制強化への警戒感を背景に前日の米株式市場でハイテク株が軒並み下げたことや、外国為替市場の円高ドル安進行が重石となり、値がさの半導体関連株や輸出関連株を中心に売りが広がりました。台湾市場や韓国市場など、半導体関連が主力となっている市場が軒並み下落したことも投資家心理の重石となりました。日経平均は大幅に続落しました。

 

[テクニカル視点]

日経平均は、25日線の上にありますが、9日線の下にあります。短期トレンドには黄信号が点灯しています。

総合乖離率は+13.1%とプラス幅を縮め、200日線との乖離率も+10.0%とプラス幅を縮めました。一目均衡表では雲の上にあります。3つの要素すべてがプラスであり、中期トレンドには青信号が点灯しています。

ドルベースの日経平均(海外投資家からの見た目)は、25日線と200日線の上にありますが、9日線を下回りました。

 

NYDowは、9日線・25日線・200日線の上にあります。一目均衡表では雲の上あります。NASDAQは、200日線の上にありますが、9日線と25日線を下回りました。一目均衡表では雲の上にあります。米国市場の短期トレンドは青信号から黄信号に変わりました。中期トレンドには青信号が点灯しています。

 

日経平均とNASDAQ200日移動平均線と株価の乖離率の差は、-4.8ポイントとマイナス幅を縮め、日経平均が1930円ほど割安であることを示しています。一方、NYDowとの差は、+0.7ポイントとプラス幅を縮め、日経平均が280円ほど割高であることを示しています

 

日経VI18.85と前日より上昇し、VIX14.48と前日より上昇しました。両指数ともに、変動率の高まりを示す20を下回っています。NYDowと比べて、日経平均は強い状態ですが、前日比で強さは縮小しました。

 

[ファンダメンタルの現状認識]

イールドスプレッドは、日本-4.9、米国-0.2と日本が4.7ポイント割安ですが、OECD2025年予想GDP伸び率の日米差(日本が+3.0、米国が+3.9)0.9ポイント日本が下回っています。これらを勘案すると、ファンダメンタルでは、中長期的に日本市場は米国市場より3.63ポイント(日経平均換算で64440円)割安となっています。

 

市場は現在、「中国景気が世界経済や金・穀物・原油価格に与える影響」「米国の景気・雇用状況・住宅市況」「中東やウクライナ情勢をめぐる地政学リスク」「為替の動向」といった事柄を材料視しているようです。

 

米国の13月期のGDP確定値は前期比年率1.4%増で、改定値の1.3%増を上回りました。また、13月期の米企業の決算は、まちまちです。

 

経済指標を見てみます。

6月の鉱工業生産指数、6月の小売売上高、6月のシカゴ購買部協会景気指数、5月の耐久財受注は市場予想を上回りました。一方、7月のニューヨーク連銀製造業景況指数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数、6月の消費者物価指数、6月のISM非製造業景況指数、5月の製造業受注、6月のISM製造業景況指数、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、6月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想を下回りました。経済指標は48負で、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の6月の雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月比20.6万人増で、市場予想の20.0万人増をやや上回りました。一方、失業率は4.1%で、前月の4.0%から悪化しました。雇用は、景気面では弱気材料ですが、利下げ次期が早まるという面では強気材料です

 

米国の住宅関連の指標を見てみます。

6月の住宅着工件数、5月の中古住宅販売件数は予想を上回りました。一方、7月の住宅市場指数、5月の中古住宅販売仮契約指数、5月の新築住宅販売件数は予想を下回りました。4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(主要20都市圏の価格指数)は前年同月比+7.2%で、市場予想を上回りました。住宅関連の指標は33負で、景気・金利の両面で中立です。

 

欧米日の金融政策をまとめてみます。

市場は、FRB2024年内に複数回の利下げをおこなう可能性を意識していますが、利下げ開始時期は不透明です。ECBは、利下げを開始しましたが、追加の利下げには慎重な姿勢を示しています。一方、日銀は、2%のインフレ目標を維持しつつも、マイナス金利政策の解除と、ETFの買い入れ終了、YCC(長期金利の誘導)の終了、国債買い入れの減額を決定しています。

 

金融不安の気配を探る目安となるのが、金融機関間の取引金利の推移です。代表的な指標であるLIBORドル3か月物金利は、今年に入り上昇を続けています。直近では712 5.5477% 715 5.5473% 716 5.5408%と、ここ5年の最高値圏で推移しています。なお、202199日の0.1141%が直近の最低金利で、20231010日に記録した5.6873%がここ5年間の最高金利です。米国債金利と比べ、金融不安を示唆するレベルまで上昇していますが、直近ピークアウトしています。


一方、日経平均採用銘柄全体では、今期予想PER16.97PBR1.51となっています。直近の四半期決算発表に伴い、企業の今期収益力の見通しである予想ROE8.9%となり、これは3か月前より0.2ポイント悪化しています。また、今期予想利益の伸率は+1.3%で、こちらは3か月前より10.5ポイント悪化しています。


[今後の見通し]

日経平均は、前日のNYDowが上昇したにもかかわらず大幅に下落しました。NYDowに対する日経平均の短期的なプレミアム(ドルベース・為替考慮後)は-1.8%となり、日経平均の割安幅は150円から710円に拡大しました。プレミアム値は、ここ一週間、-710円から+940円の間で推移しています。

 

日米の長期金利の差は、3.15ポイントから3.14ポイントに縮小しました。ドル円相場は円高方向に推移しました。

 

テクニカル面を見ると、米国市場は短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。日経平均も、短期的にはもみあいで、中期的には上昇トレンドです。

 

ファンダメンタル面も見てみましょう。

LIBOR銀行間金利は、市中金利より高い状態が続いており、金融システムへの懸念があることを示しています。欧米の金融機関の健全性が疑問視されています。

中国では、不動産価格の下落が続いています。不動産企業の破綻と地方政府の財政問題が緊急課題となっており、金融システムへの影響に警戒が必要です。

米国では、景気が減速ぎみに推移しており、FRBが利下げに転換する時期を探る動きとなっています。対ドルで円安が進みにくい状況です。尚、ECBは利下げに踏み出しています

 

718日の米国市場では、週間の新規失業保険申請件数や、ECB定例理事会およびラガルド総裁の会見、7月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数のほか、ネットフリックス、M&Tバンク、ブラック・ストーン、キーコープ、マーシュ&マクレナン、スナップオン、テクストロン、アボット・ラボラトリーズ、D.R.ホートンなどの四半期決算が注目されるでしょう。引き続き、原油価格や長期金利の動向なども株式相場に影響を与えそうです。

 

きょうの日経平均は、想定範囲を下ぶれしました。上値は想定ラインを850円ほど下回り、下値は想定ラインを540円ほど下回りました。目先は、ボリンジャーバンド+1σ-500円(現在40640円近辺)が上値の目安に、25日線-300円(現在39650円近辺)が下値の目安になりそうです。

 

日経VIは、変動率の高まりを示す20を下回っていますが、上昇傾向にあります。一方、信用の売り圧力は弱まりました。日経平均は大幅に続落しました。米半導体株と為替の動向次第ですが、25日線を明確に下回るかどうかが次の注目点です。



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